森の踏切番日記

読書録など気ままな日記をグダグダやってます

小説

綿矢りさの『勝手にふるえてろ』を読んでみた~種の保存と多様性

2月の読書録02ーーーーーーー 勝手にふるえてろ 綿矢りさ 文春文庫(2012/08/10:2010) ★★★☆ ──────────────────── とどきますか、とどきません。光りかがやく手に入らないものばかり見つめているせいで、すでに手に入れたものたちは足元に転がるたくさん…

幕末を暗く彩った暗殺者たち~司馬遼太郎の『幕末』を読む

1月の読書録05ーーーーーーー 幕末 司馬遼太郎 文春文庫(2001/09/10:1977:1963) ★★★☆ ──────────────────── 本書の「あとがき」の冒頭には、「暗殺者だけは、きらいだ」とある。その司馬が幕末の暗殺者たちを描いたのが、この連作短編集である。司馬に…

今村昌弘『屍人荘の殺人』を読んだら評判通りの傑作ミステリ・オブ・ザ・デッド!

1月の読書録04ーーーーーーー 屍人荘の殺人 今村昌弘 東京創元社(2017/10/13) ★★★★ ──────────────────── 神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介は、曰くつきの映画研究部の夏合宿に加わるため、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子と共にペンショ…

三島由紀夫の『肉体の学校』は分かりやすい恋愛小説です

1月の読書録02ーーーーーーー 肉体の学校 三島由紀夫 集英社(1964/02/15) ★★★★ ──────────────────── この小説は1963年(昭和38)に雑誌『マドモアゼル』に連載され、翌年に集英社から単行本が刊行されたのですが、家の押し入れにあった本です(上の画像…

三島由紀夫の小説『命売ります』を読んで考えたこと

1月の読書録01ーーーーーーー 命売ります 三島由紀夫 ちくま文庫(1998/02/24:1968) ★★★★ ──────────────────── 私は、世間が左を向けば右を向きたくなり、右を向けば左を向きたくなるというひねくれた性格をしていて、ベストセラーや話題作などは、それ…

川上弘美著『なめらかで熱くて甘苦しくて』の感想~万物は流転する

12月の読書録02ーーーーーーー なめらかで熱くて甘苦しくて 川上弘美 新潮文庫(2015/08/01:2013) ★★★★ ──────────────────── 私は、本を購入するとき、単行本よりは文庫本を、新品よりは古本を優先する。つまり、あまりお金をかけないケチ臭い性格をして…

『ヒア・カムズ・ザ・サン 東京バンドワゴン』をようやく読んだ

12月の読書録01ーーーーーーー ヒア・カムズ・ザ・サン 小路幸也 集英社文庫(2017/04/25:2015) ★★★ ──────────────────── 小路幸也の東京バンドワゴンシリーズは、文庫本になれば読むことにしています。ところが今年は、文庫本が出た4月頃はバタバタして…

『羊をめぐる冒険』を久し振りに読んでみた

11月の読書録04ーーーーーーー 羊をめぐる冒険 村上春樹 講談社文庫(1985:1982) ★★★★☆ ──────────────────── 「変な言い方かもしれないけれど、今が今だとはどうしても思えないんだ。僕が僕だというのも、どうもしっくり来ない。それから、ここがここだと…

『オリエント急行の殺人』を久し振りに読んでみた

11月の読書録03ーーーーーーー オリエント急行の殺人 アガサ・クリスティー 山本やよい訳 ハヤカワ文庫(2011/04/25:1934) ★★★★ ──────────────────── 「〈前略〉友よ。あらゆる階級、あらゆる国籍、あらゆる年齢の人が集まっている。これから三日間、この…

カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』を読んでみたのだが…

11月の読書録02ーーーーーーー わたしを離さないで カズオ・イシグロ 土屋政雄訳 ハヤカワ文庫(2008/08/25:2005) ★★★★ ──────────────────── カズオ・イシグロがノーベル文学賞を受賞しなければ、この小説を読むことはなかったと思います。実をいうと、私…

カズオ・イシグロの『日の名残り』を読んでみた

11月の読書録01ーーーーーーー 日の名残り カズオ・イシグロ 土屋政雄訳 ハヤカワ文庫(2001/05/31:1989) ★★★★ ──────────────────── ずっと気になってはいるのだけれども、なかなかきっかけがなくて読まずにいる作家が何人もいて、その中の一人がカズオ・…

『デート・ア・ライブ17 狂三ラグナロク』のあらすじと感想

10月の読書録05ーーーーーーー デート・ア・ライブ17 狂三ラグナロク 橘公司 ファンタジア文庫(2017/08/20) ★★★ ──────────────────── 〈Nibelcole〉 前作『デート・ア・ライブ16 狂三リフレイン』に引き続いて、本作を読んだ。やっと最新巻が読めた。ふぅ…

『デート・ア・ライブ16 狂三リフレイン』のあらすじと感想

10月の読書録04ーーーーーーー デート・ア・ライブ16 狂三リフレイン 橘公司 ファンタジア文庫(2017/03/20) ★★★ ──────────────────── 〈TOKISAKI Kurumi〉 今回は、久し振りに時崎狂三がメインキャラクターということで、ストーリーが大きく動くことを期…

吉村昭の『高熱隧道』を読む(2)

10月の読書録03ーーーーーーー 高熱隧道 (新潮文庫) 作者: 吉村昭 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1975/07/29 メディア: 文庫 購入: 6人 クリック: 40回 この商品を含むブログ (41件) を見る ♨吉村昭の『高熱隧道』を読む(1) - 森の踏切番日記の続き 仙…

吉村昭の『高熱隧道』を読む(1)

10月の読書録03ーーーーーーー 高熱隧道 吉村昭 新潮社(1967/06/20) ★★★☆ ──────────────────── 我が家の押し入れには、祖母や伯父が遺した昭和の本がしまってあるのだが、その中に吉村昭の作品が何冊かあって、以前読んだことがある。読んだのは、『戦艦…

新田次郎の短編小説「昭和新山」のあらすじ

MY LIBRARY ーーーーーーーー 昭和新山 新田次郎 文藝春秋社(1971/11/05) ★★★★ ──────────────────── 11月4日(土)放送のNHK『ブラタモリ #89洞爺湖』を視聴して、思い出したのが本書である。これは、1971年に刊行された新田次郎の短編集だが、表題作の…

三島由紀夫のラブコメ小説を読む~『夏子の冒険』(3)

10月の読書録02ーーーーーーー 夏子の冒険 (角川文庫) 作者: 三島由紀夫 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング 発売日: 2009/03/25 メディア: 文庫 クリック: 18回 この商品を含むブログ (39件) を見る 三島由紀夫のラブコメ小説を読む~『夏子の冒…

三島由紀夫のラブコメ小説を読む~『夏子の冒険』(2)

10月の読書録02ーーーーーーー 夏子の冒険 (角川文庫) 作者: 三島由紀夫 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング 発売日: 2009/03/25 メディア: 文庫 クリック: 18回 この商品を含むブログ (39件) を見る 三島由紀夫のラブコメ小説を読む~『夏子の冒…

三島由紀夫のラブコメ小説を読む~『夏子の冒険』(1)

10月の読書録02ーーーーーーー 夏子の冒険 三島由紀夫 角川文庫(1960/04/10:1951) ★★★☆ ──────────────────── この小説は、昭和26年(1951)、三島由紀夫が26歳のときに「週刊朝日」に連載し、年末に刊行された娯楽色の強い小説です。三島は、この連載の…

まとめ読み『デート・ア・ライブ』(13)~(15)

9月の読書録12~14ーーーーー デート・ア・ライブ(13)~(15) 橘公司 ファンタジア文庫 ──────────────────── 〈HOSHIMIYA Mukuro〉 今年の7月に『デート・ア・ライブ』の第1巻から第12巻までをまとめて読んだのだが、8月に最新巻が出たので、残りも…

『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を再読して思い浮かんだこと

10月の読書録01ーーーーーーー アンドロイドは電気羊の夢を見るか? フィリップ・K・ディック 浅倉久志・訳 ハヤカワ文庫(1977/03/15:1969) ★★★★ ──────────────────── 最終世界大戦後、地球は放射能灰に汚染され、生き残った人々の多くは他の惑星へ植民…

まとめ読み『デート・ア・ライブ アンコール』(1)~(6)

9月の読書録06~11ーーーーー デート・ア・ライブ アンコール (1)~(6) 橘公司 ファンタジア文庫 (2013/05/25~2016/12/20) ★★☆ ──────────────────── 今年の7月に『デート・ア・ライブ』の第1巻から第12巻までをまとめて読んだのだが、8月に最…

藤野可織の『ファイナルガール』~女は度胸なのだ

9月の読書録05ーーーーーーー ファイナルガール 藤野可織 角川文庫(2017/01/25:2014) ★★★☆ ──────────────────── 藤野可織は、以前から気になっていた作家の一人で、一度小説を読んでみたいと思っていたのだが、なかなか機会がなくて、今年の9月によう…

藤野可織『おはなしして子ちゃん』~キモカワイイ短編集

9月の読書録01ーーーーーーー おはなしして子ちゃん 藤野可織 講談社文庫(2017/06/15:2013) ★★★★ ──────────────────── 藤野可織は、1980年京都生まれ。同志社大学大学院美学芸術学専攻博士課程前期修了。2006年「いやしい鳥」で第103回文學界新人賞を受…

なつかしの『アスラクライン』

8月の読書録09~22ーーーーー アスラクライン 全14巻 三雲岳斗 電撃文庫(2005/07/25~2010/02/10) ★★★☆ ──────────────────── 7月に『デート・ア・ライブ』を第1巻から第12巻まで読んだので、8月は『デート・ア・ライブ アンコール』の方を読もうと思…

まとめ読み『デート・ア・ライブ』(1)~(12)

7月の読書録06~17ーーーーー デート・ア・ライブ(1)~(12) 橘公司 富士見ファンタジア文庫 (2011/03/25~2015/06/25) ──────────────────── 時々かる~い小説が無性に読みたくなる時があって、そういう時は少し前のラノベを読むことにしています。…

米澤穂信の短編集『満願』の感想

8月の読書録08ーーーーーーー 満願 米澤穂信 新潮文庫(2017/08/01:2014) ★★★☆ ──────────────────── 本書は2014年に刊行された米澤穂信の短編集が文庫化されたものである。本作は、2014年に山本周五郎賞を受賞し、「このミステリーがすごい!」「ミステ…

筒井康隆の短編集『繁栄の昭和』の感想

8月の読書録07ーーーーーーー 繁栄の昭和 筒井康隆 文春文庫(2017/08/10:2014) ★★★★ ──────────────────── 本書は2014年に刊行された短編集が文庫化されたものである。短編が9編とコントが2題、それにエッセイが1編という構成になっている。表題は、…

三島由紀夫の『美しい星』読んだら草生えたわ

8月の読書録05ーーーーーーー 美しい星 三島由紀夫 新潮文庫(1967/10/30:1962) ★★★★☆ ──────────────────── 本書は、五月頃に書店で山積みにされているのを見て、懐かしいなと思って購入した。懐かしいなと思ったのは、高校時代に同級生がこの本を読んで…

作者にまったく共感できない小説の感想は書けないものだ

8月の読書録04ーーーーーーー 若冲 澤田瞳子 文春文庫(2017/04/10:2015) ★★☆ ──────────────────── 伊藤若冲『仙人掌群鶏図』西福寺 私が初めて若冲の作品を知ったのは、小学生の時だった。切手の鶏の絵を見て、むっちゃカッコええなあと思い、強く印象…