森の踏切番日記

ただのグダグダな日記です

小説

森見登美彦『ペンギン・ハイウェイ』~世界の果ては折りたたまれて世界の内側にもぐりこんでいる

MY LIBRARY ーーーーーーーー ペンギン・ハイウェイ 森見登美彦 角川文庫(2012/11/25:2010) ★★★★☆ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 私は森見登美彦の小説が好きで、ほとんどの小説は読んでいると思うのですが、この『ペンギン・ハイウェイ』は…

平野啓一郎『マチネの終わりに』を読む~凡庸な人間の愚かな行為が歴史を動かす

読書録2018ーーーーーーーーー マチネの終わりに 平野啓一郎 毎日新聞出版(2016/04/15) ★★★★ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 何で読んだかは忘れてしまったのだが、天才というのは指数関数なのだという意見を読んで、なるほどと思ったことがあ…

京極夏彦『鬼談』を読む~人であり人であらぬものの物語

読書録2018ーーーーーーーーー 鬼談 京極夏彦 角川文庫(2018/02/25:2015) ★★★★ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー だって私は人だから。 「見えないものは見ようとするな」 「全ての恐怖は、予感なのよ」 夏といえば京極夏彦、ということで、京極…

『デート・ア・ライブ18 澪ゲームオーバー』あらすじと感想

読書録2018ーーーーーーーーー デート・ア・ライブ18 澪ゲームオーバー 橘公司 ファンタジア文庫(2018/03/20) ★★★ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 私はラノベ読みではないのですが、たまにラノベが読みたくなります。書店に行ってもラノベ・コ…

東野圭吾『ラプラスの魔女』の感想

読書録2018ーーーーーーーーー ラプラスの魔女 東野圭吾 角川文庫(2018/02/25:2015) ★★★ ──────────────────── 宇宙の全ての物理現象が古典物理学(ニュートン力学)で記述可能であり、かつその全ての情報を知りうる知性が存在するならば、宇宙は決定論的…

最果タヒの『星か獣になる季節』を読んだ感想~俺は星にも獣にもなりたくなかった

2月の読書録04ーーーーーーー 星か獣になる季節 最果タヒ ちくま文庫(2018/02/10:2015) ★★★★ ──────────────────── 俺の高校時代のガッコーは猿山だったどいつもこいつも阿呆づらで☆落ち着きが無くて☆キーキー騒いでうるさくて☆猿山のてっぺんを争ったり…

藤野可織の『爪と目』を読んでみた~見て見ぬふりをしたくなること

2月の読書録03ーーーーーーー 爪と目 藤野可織 新潮文庫(2016/01/01:2013) ★★★☆ ──────────────────── 「あんたもちょっと目をつぶってみればいいんだ。かんたんなことさ。どんなひどいことも、すぐに消え失せるから。見えなければないのといっしょだか…

綿矢りさの『勝手にふるえてろ』を読んでみた~種の保存と多様性

2月の読書録02ーーーーーーー 勝手にふるえてろ 綿矢りさ 文春文庫(2012/08/10:2010) ★★★☆ ──────────────────── とどきますか、とどきません。光りかがやく手に入らないものばかり見つめているせいで、すでに手に入れたものたちは足元に転がるたくさん…

幕末を暗く彩った暗殺者たち~司馬遼太郎の『幕末』を読む

1月の読書録05ーーーーーーー 幕末 司馬遼太郎 文春文庫(2001/09/10:1977:1963) ★★★☆ ──────────────────── 本書の「あとがき」の冒頭には、「暗殺者だけは、きらいだ」とある。その司馬が幕末の暗殺者たちを描いたのが、この連作短編集である。司馬に…

今村昌弘『屍人荘の殺人』を読んだら評判通りの傑作ミステリ・オブ・ザ・デッド!

1月の読書録04ーーーーーーー 屍人荘の殺人 今村昌弘 東京創元社(2017/10/13) ★★★★ ──────────────────── 神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介は、曰くつきの映画研究部の夏合宿に加わるため、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子と共にペンショ…

三島由紀夫の『肉体の学校』は分かりやすい恋愛小説です

1月の読書録02ーーーーーーー 肉体の学校 三島由紀夫 集英社(1964/02/15) ★★★★ ──────────────────── この小説は1963年(昭和38)に雑誌『マドモアゼル』に連載され、翌年に集英社から単行本が刊行されたのですが、家の押し入れにあった本です(上の画像…

三島由紀夫の小説『命売ります』を読んで考えたこと

1月の読書録01ーーーーーーー 命売ります 三島由紀夫 ちくま文庫(1998/02/24:1968) ★★★★ ──────────────────── 私は、世間が左を向けば右を向きたくなり、右を向けば左を向きたくなるというひねくれた性格をしていて、ベストセラーや話題作などは、それ…

川上弘美著『なめらかで熱くて甘苦しくて』の感想~万物は流転する

12月の読書録02ーーーーーーー なめらかで熱くて甘苦しくて 川上弘美 新潮文庫(2015/08/01:2013) ★★★★ ──────────────────── 私は、本を購入するとき、単行本よりは文庫本を、新品よりは古本を優先する。つまり、あまりお金をかけないケチ臭い性格をして…

『ヒア・カムズ・ザ・サン 東京バンドワゴン』をようやく読んだ

12月の読書録01ーーーーーーー ヒア・カムズ・ザ・サン 小路幸也 集英社文庫(2017/04/25:2015) ★★★ ──────────────────── 小路幸也の東京バンドワゴンシリーズは、文庫本になれば読むことにしています。ところが今年は、文庫本が出た4月頃はバタバタして…

『羊をめぐる冒険』を久し振りに読んでみた

11月の読書録04ーーーーーーー 羊をめぐる冒険 村上春樹 講談社文庫(1985:1982) ★★★★☆ ──────────────────── 「変な言い方かもしれないけれど、今が今だとはどうしても思えないんだ。僕が僕だというのも、どうもしっくり来ない。それから、ここがここだと…

『オリエント急行の殺人』を久し振りに読んでみた

11月の読書録03ーーーーーーー オリエント急行の殺人 アガサ・クリスティー 山本やよい訳 ハヤカワ文庫(2011/04/25:1934) ★★★★ ──────────────────── 「〈前略〉友よ。あらゆる階級、あらゆる国籍、あらゆる年齢の人が集まっている。これから三日間、この…

カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』を読んでみたのだが…

11月の読書録02ーーーーーーー わたしを離さないで カズオ・イシグロ 土屋政雄訳 ハヤカワ文庫(2008/08/25:2005) ★★★★ ──────────────────── カズオ・イシグロがノーベル文学賞を受賞しなければ、この小説を読むことはなかったと思います。実をいうと、私…

カズオ・イシグロの『日の名残り』を読んでみた

11月の読書録01ーーーーーーー 日の名残り カズオ・イシグロ 土屋政雄訳 ハヤカワ文庫(2001/05/31:1989) ★★★★ ──────────────────── ずっと気になってはいるのだけれども、なかなかきっかけがなくて読まずにいる作家が何人もいて、その中の一人がカズオ・…

『デート・ア・ライブ17 狂三ラグナロク』のあらすじと感想

10月の読書録05ーーーーーーー デート・ア・ライブ17 狂三ラグナロク 橘公司 ファンタジア文庫(2017/08/20) ★★★ ──────────────────── 〈Nibelcole〉 前作『デート・ア・ライブ16 狂三リフレイン』に引き続いて、本作を読んだ。やっと最新巻が読めた。ふぅ…

『デート・ア・ライブ16 狂三リフレイン』のあらすじと感想

10月の読書録04ーーーーーーー デート・ア・ライブ16 狂三リフレイン 橘公司 ファンタジア文庫(2017/03/20) ★★★ ──────────────────── 〈TOKISAKI Kurumi〉 今回は、久し振りに時崎狂三がメインキャラクターということで、ストーリーが大きく動くことを期…

吉村昭の『高熱隧道』を読む(2)

10月の読書録03ーーーーーーー 高熱隧道 (新潮文庫) 作者: 吉村昭 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1975/07/29 メディア: 文庫 購入: 6人 クリック: 40回 この商品を含むブログ (41件) を見る ♨吉村昭の『高熱隧道』を読む(1) - 森の踏切番日記の続き 仙…

吉村昭の『高熱隧道』を読む(1)

10月の読書録03ーーーーーーー 高熱隧道 吉村昭 新潮社(1967/06/20) ★★★☆ ──────────────────── 我が家の押し入れには、祖母や伯父が遺した昭和の本がしまってあるのだが、その中に吉村昭の作品が何冊かあって、以前読んだことがある。読んだのは、『戦艦…

新田次郎の短編小説「昭和新山」のあらすじ

MY LIBRARY ーーーーーーーー 昭和新山 新田次郎 文藝春秋社(1971/11/05) ★★★★ ──────────────────── 11月4日(土)放送のNHK『ブラタモリ #89洞爺湖』を視聴して、思い出したのが本書である。これは、1971年に刊行された新田次郎の短編集だが、表題作の…

三島由紀夫のラブコメ小説を読む~『夏子の冒険』(3)

10月の読書録02ーーーーーーー 夏子の冒険 (角川文庫) 作者: 三島由紀夫 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング 発売日: 2009/03/25 メディア: 文庫 クリック: 18回 この商品を含むブログ (39件) を見る 三島由紀夫のラブコメ小説を読む~『夏子の冒…

三島由紀夫のラブコメ小説を読む~『夏子の冒険』(2)

10月の読書録02ーーーーーーー 夏子の冒険 (角川文庫) 作者: 三島由紀夫 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング 発売日: 2009/03/25 メディア: 文庫 クリック: 18回 この商品を含むブログ (39件) を見る 三島由紀夫のラブコメ小説を読む~『夏子の冒…

三島由紀夫のラブコメ小説を読む~『夏子の冒険』(1)

10月の読書録02ーーーーーーー 夏子の冒険 三島由紀夫 角川文庫(1960/04/10:1951) ★★★☆ ──────────────────── この小説は、昭和26年(1951)、三島由紀夫が26歳のときに「週刊朝日」に連載し、年末に刊行された娯楽色の強い小説です。三島は、この連載の…

まとめ読み『デート・ア・ライブ』(13)~(15)

9月の読書録12~14ーーーーー デート・ア・ライブ(13)~(15) 橘公司 ファンタジア文庫 ──────────────────── 〈HOSHIMIYA Mukuro〉 今年の7月に『デート・ア・ライブ』の第1巻から第12巻までをまとめて読んだのだが、8月に最新巻が出たので、残りも…

『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を再読して思い浮かんだこと

10月の読書録01ーーーーーーー アンドロイドは電気羊の夢を見るか? フィリップ・K・ディック 浅倉久志・訳 ハヤカワ文庫(1977/03/15:1969) ★★★★ ──────────────────── 最終世界大戦後、地球は放射能灰に汚染され、生き残った人々の多くは他の惑星へ植民…

まとめ読み『デート・ア・ライブ アンコール』(1)~(6)

9月の読書録06~11ーーーーー デート・ア・ライブ アンコール (1)~(6) 橘公司 ファンタジア文庫 (2013/05/25~2016/12/20) ★★☆ ──────────────────── 今年の7月に『デート・ア・ライブ』の第1巻から第12巻までをまとめて読んだのだが、8月に最…

藤野可織の『ファイナルガール』~女は度胸なのだ

9月の読書録05ーーーーーーー ファイナルガール 藤野可織 角川文庫(2017/01/25:2014) ★★★☆ ──────────────────── 藤野可織は、以前から気になっていた作家の一人で、一度小説を読んでみたいと思っていたのだが、なかなか機会がなくて、今年の9月によう…