森の踏切番日記

ただのグダグダな日記です

読書

森見登美彦『ペンギン・ハイウェイ』~世界の果ては折りたたまれて世界の内側にもぐりこんでいる

MY LIBRARY ーーーーーーーー ペンギン・ハイウェイ 森見登美彦 角川文庫(2012/11/25:2010) ★★★★☆ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 私は森見登美彦の小説が好きで、ほとんどの小説は読んでいると思うのですが、この『ペンギン・ハイウェイ』は…

筒井康隆『読書の極意と掟』を読む~書籍の大海を漂流する幸福

読書録2018ーーーーーーーーー 読書の極意と掟 筒井康隆 講談社文庫(2018/07/13:2011) ★★★★ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 本書は2011年1月に朝日新聞出版より刊行された単行本『漂流 本から本へ』が改題され、文庫化されたものです。『読書…

小松和彦『鬼と日本人』を読む~鬼とはなにか?

読書録2018ーーーーーーーーー 鬼と日本人 小松和彦 角川ソフィア文庫(2018/07/25) ★★★★ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー まずは、鬼の字が入ったことわざや熟語を思いつくかぎり並べてみる。 鬼の目にも涙 鬼に金棒 鬼も十八番茶も出花 鬼が出…

平野啓一郎『マチネの終わりに』を読む~凡庸な人間の愚かな行為が歴史を動かす

読書録2018ーーーーーーーーー マチネの終わりに 平野啓一郎 毎日新聞出版(2016/04/15) ★★★★ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 何で読んだかは忘れてしまったのだが、天才というのは指数関数なのだという意見を読んで、なるほどと思ったことがあ…

京極夏彦『鬼談』を読む~人であり人であらぬものの物語

読書録2018ーーーーーーーーー 鬼談 京極夏彦 角川文庫(2018/02/25:2015) ★★★★ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー だって私は人だから。 「見えないものは見ようとするな」 「全ての恐怖は、予感なのよ」 夏といえば京極夏彦、ということで、京極…

『デート・ア・ライブ18 澪ゲームオーバー』あらすじと感想

読書録2018ーーーーーーーーー デート・ア・ライブ18 澪ゲームオーバー 橘公司 ファンタジア文庫(2018/03/20) ★★★ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 私はラノベ読みではないのですが、たまにラノベが読みたくなります。書店に行ってもラノベ・コ…

東野圭吾『ラプラスの魔女』の感想

読書録2018ーーーーーーーーー ラプラスの魔女 東野圭吾 角川文庫(2018/02/25:2015) ★★★ ──────────────────── 宇宙の全ての物理現象が古典物理学(ニュートン力学)で記述可能であり、かつその全ての情報を知りうる知性が存在するならば、宇宙は決定論的…

最果タヒの『星か獣になる季節』を読んだ感想~俺は星にも獣にもなりたくなかった

2月の読書録04ーーーーーーー 星か獣になる季節 最果タヒ ちくま文庫(2018/02/10:2015) ★★★★ ──────────────────── 俺の高校時代のガッコーは猿山だったどいつもこいつも阿呆づらで☆落ち着きが無くて☆キーキー騒いでうるさくて☆猿山のてっぺんを争ったり…

藤野可織の『爪と目』を読んでみた~見て見ぬふりをしたくなること

2月の読書録03ーーーーーーー 爪と目 藤野可織 新潮文庫(2016/01/01:2013) ★★★☆ ──────────────────── 「あんたもちょっと目をつぶってみればいいんだ。かんたんなことさ。どんなひどいことも、すぐに消え失せるから。見えなければないのといっしょだか…

綿矢りさの『勝手にふるえてろ』を読んでみた~種の保存と多様性

2月の読書録02ーーーーーーー 勝手にふるえてろ 綿矢りさ 文春文庫(2012/08/10:2010) ★★★☆ ──────────────────── とどきますか、とどきません。光りかがやく手に入らないものばかり見つめているせいで、すでに手に入れたものたちは足元に転がるたくさん…

千年という時間の長さと短さを想う~『千年後の百人一首』の感想

2月の読書録01ーーーーーーー 千年後の百人一首 清川あさみ+最果タヒ リトルモア(2017/12/01) ★★★★ ──────────────────── この本は、見開きページの右側に百人一首の歌が一首と清川あさみさんの作品が配され、左側に最果タヒさんの詩という形式の現代語…

そして、だれもいなくなった~半藤一利の『幕末史』を読む

1月の読書録06ーーーーーーー 幕末史 半藤一利 新潮文庫(2012/11/01:2008) ★★★☆ ──────────────────── 今年のNHK大河ドラマは最初から見る気にならないのであります。でありますから、視聴していないのでありますが、今年の読書テーマは久し振りに「…

幕末を暗く彩った暗殺者たち~司馬遼太郎の『幕末』を読む

1月の読書録05ーーーーーーー 幕末 司馬遼太郎 文春文庫(2001/09/10:1977:1963) ★★★☆ ──────────────────── 本書の「あとがき」の冒頭には、「暗殺者だけは、きらいだ」とある。その司馬が幕末の暗殺者たちを描いたのが、この連作短編集である。司馬に…

今村昌弘『屍人荘の殺人』を読んだら評判通りの傑作ミステリ・オブ・ザ・デッド!

1月の読書録04ーーーーーーー 屍人荘の殺人 今村昌弘 東京創元社(2017/10/13) ★★★★ ──────────────────── 神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介は、曰くつきの映画研究部の夏合宿に加わるため、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子と共にペンショ…

2月に入ったというのに12月の読書録がまだ終わらない!

あ! もう2月ではないか! 最近、本を読み終わってからこのブログに読書録を載せるまでの間隔が徐々に延びておりまして、それでも次の月には載せていたのですが、先月は1月の読書録も並行して載せたこともあって12月の読書録を先月中に全部載せることがで…

マジカル粘菌ワールド(3)~粘菌アルゴリズムなのだ

1月の読書録03ーーーーーーー 粘菌 偉大なる単細胞が人類を救う (文春新書) 作者: 中垣俊之 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2014/10/20 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る ※マジカル粘菌ワールド(2)~粘菌のインテリジェンスなの…

マジカル粘菌ワールド(2)~粘菌のインテリジェンスなのだ

1月の読書録03ーーーーーーー 粘菌 偉大なる単細胞が人類を救う (文春新書) 作者: 中垣俊之 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2014/10/20 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る ※マジカル粘菌ワールド(1)~粘菌は不思議な生き物なのだ …

マジカル粘菌ワールド(1)~粘菌は不思議な生き物なのだ

1月の読書録03ーーーーーーー 粘菌 偉大なる単細胞が人類を救う 中垣俊之 文春新書(2014/10/20) ★★★☆ ──────────────────── 本書の著者は、北海道大学電子科学研究所教授で、粘菌をはじめ、単細胞生物の知性について研究している研究者です。2008年と2010…

『自己組織化とは何か 第2版』~薄皮をむいたミカンに醤油をつけたノリを巻いて食べる

12月の読書録03ーーーーーーー 自己組織化とは何か 第2版 都甲潔/江崎秀/林健司/上田哲男/西澤松彦 講談社ブルーバックス(2009/04/20) ★★★☆ ──────────────────── 本書の前著である『自己組織化とは何か』は1999年12月20日に刊行されたのだが、その後…

三島由紀夫の『肉体の学校』は分かりやすい恋愛小説です

1月の読書録02ーーーーーーー 肉体の学校 三島由紀夫 集英社(1964/02/15) ★★★★ ──────────────────── この小説は1963年(昭和38)に雑誌『マドモアゼル』に連載され、翌年に集英社から単行本が刊行されたのですが、家の押し入れにあった本です(上の画像…

三島由紀夫の小説『命売ります』を読んで考えたこと

1月の読書録01ーーーーーーー 命売ります 三島由紀夫 ちくま文庫(1998/02/24:1968) ★★★★ ──────────────────── 私は、世間が左を向けば右を向きたくなり、右を向けば左を向きたくなるというひねくれた性格をしていて、ベストセラーや話題作などは、それ…

川上弘美著『なめらかで熱くて甘苦しくて』の感想~万物は流転する

12月の読書録02ーーーーーーー なめらかで熱くて甘苦しくて 川上弘美 新潮文庫(2015/08/01:2013) ★★★★ ──────────────────── 私は、本を購入するとき、単行本よりは文庫本を、新品よりは古本を優先する。つまり、あまりお金をかけないケチ臭い性格をして…

『ヒア・カムズ・ザ・サン 東京バンドワゴン』をようやく読んだ

12月の読書録01ーーーーーーー ヒア・カムズ・ザ・サン 小路幸也 集英社文庫(2017/04/25:2015) ★★★ ──────────────────── 小路幸也の東京バンドワゴンシリーズは、文庫本になれば読むことにしています。ところが今年は、文庫本が出た4月頃はバタバタして…

鎌田浩毅先生の『地学ノススメ』は現代日本人の必修科目(3)大量絶滅/巨大地震/熊本地震/破局噴火

11月の読書録07ーーーーーーー 鎌田浩毅先生の『地学ノススメ』は現代日本人の必修科目(2)地球の内部構造/プルームテクトニクス - 森の踏切番日記の続き 第7章大量絶滅のメカニズム 地球史における5つの大量絶滅事件 古生代オルドビス紀末(O-S境界)…

鎌田浩毅先生の『地学ノススメ』は現代日本人の必修科目(2)地球の内部構造/プルームテクトニクス

11月の読書録07ーーーーーーー 鎌田浩毅先生の『地学ノススメ』は現代日本人の必修科目(1) - 森の踏切番日記の続き 地球の内部構造 地球の内部構造その1(出典:地震本部) ※温度は、上部マントルで1500~2000℃、下部マントルで2000~3000℃、外核で5000…

鎌田浩毅先生の『地学ノススメ』は現代日本人の必修科目(1)地質時代区分/プレートテクトニクス

11月の読書録07ーーーーーーー 地学ノススメ 鎌田浩毅 講談社ブルーバックス(2017/02/20) ★★★★ ──────────────────── 私は、宇宙科学には昔から興味があって一般向けの解説書をよく読むのだが、地球科学の方はこれまであまり興味がなかった。『ブラタモリ…

『人類と気候の10万年史』を読む ~奇跡の湖・水月湖の話

11月の読書録06ーーーーーーー 人類と気候の10万年史 中川毅 講談社ブルーバックス(2017/02/20) ★★★★ ──────────────────── 福井県三方五湖 レインボーライン山頂公園Google マップ 三方五湖の思い出 福井県若狭地方にある三方五湖は、三方湖(みかたこ)…

三島由紀夫の『文章読本』を読んだ

11月の読書録05ーーーーーーー 文章読本 三島由紀夫 中公文庫(1973/08/10:1959) ★★★★ ──────────────────── 美は珍奇からはじまって滑稽で終わる 私は、子供の頃から作文とか読書感想文とかが嫌いで、本を読むのは好きだが文章を書くのは苦手である。だか…

『羊をめぐる冒険』を久し振りに読んでみた

11月の読書録04ーーーーーーー 羊をめぐる冒険 村上春樹 講談社文庫(1985:1982) ★★★★☆ ──────────────────── 「変な言い方かもしれないけれど、今が今だとはどうしても思えないんだ。僕が僕だというのも、どうもしっくり来ない。それから、ここがここだと…

『オリエント急行の殺人』を久し振りに読んでみた

11月の読書録03ーーーーーーー オリエント急行の殺人 アガサ・クリスティー 山本やよい訳 ハヤカワ文庫(2011/04/25:1934) ★★★★ ──────────────────── 「〈前略〉友よ。あらゆる階級、あらゆる国籍、あらゆる年齢の人が集まっている。これから三日間、この…