森の踏切番日記

人生LARKしたい

今更ながら読んでみた

 11月の読書録04ーーーーーーー

 小説  君の名は。

 新海誠

 角川文庫(2016/06/25)

 1611-04★★★

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🐱今更ながら、『小説  君の名は。』を読んでみた。映画の方は観ていない。予告編の映像はチェックしたが、それ以上の情報はインプットしていない。これは、そういう状況で本書を読んだ、小説としての『君の名は。』の感想です。

 

 

🐱一応基本的な情報を書いておくと、著者はアニメーション映画『君の名は。』の監督で、過去にも自身の監督作『秒速5メートル』、『言の葉の庭』を自ら小説化している。

 

 

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🐱あとがきによると、本書は映画の製作と並行して書かれ、映画よりも先に完成して、小説を書いたことが映画にもフィードバックされたようだ。

🐱著書はあとがきで、小説と映画の語り口の違いについて、

小説版は瀧と三葉の一人称、つまり二人の視点のみで描かれている。彼らが知らないことは語られないのだ。一方、映画はそもそもが三人称──つまりカメラが映し出す世界である。だから、瀧と三葉以外の人々も含めて文字通り俯瞰で語られるシーンも多くなる。

と書いている。もちろん、小説でも三人称で語ることは可能だが、本書では、あえて映画とは異なるアプローチをしたということだろう。一人称で描くことによって瀧と三葉が場面場面で何を思っているのか直接知ることができるということになる。その分、映画よりも分かりやすいと云えるかも知れない。

🐱ただ、少し語り過ぎの印象があった。そのため、情感と余韻に欠ける部分があるように感じた。ラス前の一行は必要だっただろうか。

🐱さすがにアニメーション映画監督だけあって「絵」はよく見えるのだけれども、文章が薄味で、やはり文章で勝負する人ではないかなと思った。

🐱本作品は小説としては、感想を書くのが困るくらい平凡な作品だと思う。「すれ違い」、「男女の入れ替わり」、「時空のズレ」、「都会と田舎の対比」などといった個々の要素には目新しさは無くて、これらの組み合わせの妙がこの作品の特徴だと思う。ただ、テーマが普遍的なラブストーリーなので小説にすると平凡にならざるを得ないのだ。あと、この小説に関して云えばカタルシスが弱いように思う。そこが、映像表現と文章表現の違いだと思う。だとしたら、最終章の書き方はもうひと工夫あるべきだったのかも知れない。いずれにしても、映画から独立した作品とは思わない。やはりこれは、「アニメーション映画という形がいちばん相応しい」作品だと思う。

 

 

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🐱彗星による繰り返し訪れる災厄は津波を連想させる。津波だと現実的だが、彗星だとファンタジーになる。従って、この彗星は合理的である必要はないだろう。

 

 

🐱ご神体の巨木があるカルデラ型の窪地が印象的な場面だった。著者は「異界」を正しく理解しているようだ。ダンテの『神曲』で煉獄の最奥にある楽園を思わせる光景だと思った。🐥

 

 

 

 

 

 

 

 


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ふたご座流星群(関係無いけれど)