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森の踏切番日記

人生LARKしたい

『青の数学』~その答えは42

MY LIBRARYーーーーーーーーー

 青の数学

 王城夕紀

 新潮文庫(2016/08/01)

 1608-05★★★

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その数式(まほう)が、
君の青春を変える。

雪の日に出会った女子高生は、数学オリンピックを制した天才だった。その少女、京香凛(かなどめかりん)の問いに、栢山は困惑する。「数学って、何?」───。

若き数学者が集うネット上の決闘空間「E^2」。全国トップ偕成高校の数学研究会「オイラー倶楽部」。ライバルと出会い、競う中で、栢山は香凛に対する答えを探す。ひたむきな想いを、身体に燻る熱を、数学へとぶつける少年少女たちを描く青春小説。

 
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🐱この小説は、去年の夏頃に数学をテーマにした青春小説は珍しいなと思って読んでみたもので、続編を読もうとしたところ、登場人物のキャラとかを忘れてしまっていたので、読み直した。今度は忘れないように登場人物をここにメモしておくことにした。

 

 

🔘登場人物

栢山(かやま)公立高校1年2組男子。一度見た数字は忘れない才能がある。

「そこにあるから解く、それだけだった」

「山を登っているときに、なぜ山に登るのか、なんて考えないんだ」

「負けると分かっていたら、なおさら行きます」

 

東風谷(こちたに)栢山の幼なじみ。男子。山岳部。

「それでもやるんだよ」

 

蓼丸(たでまる)栢山の幼なじみ。男子。生徒会。軟派。

「いつまでも数学やってる暇はないんだよ」

 

 

柊(ひいらぎ)数学者。男性。子供時代の栢山、東風谷、蓼丸に数学教室で数学を教えた。栢山たちは、キフユと呼んでいた。

「とにかくやり続けていくんだ。やり続けていれば、いつか着く」

 

十河(そごう)九十九書房店主。男性。柊の教え子。

「数学的風景。それぞれの人の中に、それぞれの数学世界がある」

「大学にあがってもしお前が数学を続けるなら、そのとき、本当の数学が始まる」

 

夜の数学者 フィールズ賞受賞数学者。日本人。男性。「E^2」の主催者。盲目で車椅子に乗る。(数学者ではないが、梅棹忠夫を思い出した)

「目の前の答えほど、人は気づかない。目に入っていても、見えていない。その中にいても、気づかない」

「数学にたった一人で挑んでいるのが、自分一人ではないと知るためだ」

※現実の世界では日本人フィールズ賞受賞者は、小平邦彦(1954)、広中平祐(1970)、森重文(1990)の三人のみ。

 

 

王子(おうじ)栢山の同級生。男子。丸坊主。野球部。

「青春は、待ったなしだぞ」

 

柴崎(しばさき)栢山の同級生。女子。薙刀部。数学が壊滅的に駄目で、栢山に数学を教えて欲しいと頼む。

「戦うのって、会話をしている感じがする。それも、すごく真剣な会話」

「負けると分かっていたら、なおさら行くよ」

 

七加(ななか)1年4組女子。数学研究会。栢山を数学研究会に誘う。軽音部、美術部、チアリーディング部の助っ人もする。

「あなたに分かりますか。やってもやってもたどり着けない人間の気持ち」

 

 

京香凛 二年連続で国際数学オリンピックで金メダルを獲得した天才少女。

「数学って、何?」

 

 

※夏合宿参加者

皇大河(すめらぎたいが)偕成高校3年生男子。オイラー倶楽部部長。

「数学がいいのは、なぜ、と問わないところにある」

 

庭瀬(にわせ)偕成高校1年生男子。オイラー倶楽部。ノイマン

「得意だから。ただそれだけ」

「この世界は、結局のところ競争でできている」

「負けると分かっているなんて、誰も証明できない」

 

弓削(ゆげ)偕成高校2年生男子。オイラー倶楽部副部長。

「あやふやなものから、あやふやじゃないものが生まれるんだよ」

 

美作(みまさか)偕成高校男子。オイラー倶楽部。

オイラー倶楽部の定員は5人。1人不参加)

 

 

新開(しんかい) 公立高校1年生男子。スピードスター。

「行けるところまで、どこまでも」

「え、だって問題解くの阿呆みたいに面白いだろ」

 

三枝(さえぐさ)襟足結びの男子。第六正多面体卿。

「美しくない問題なんて解いたって時間の無駄だもの」

 

五十鈴(いすず)女子。クォーククォーク

「なぜ決闘するの?」

「数学は、美しいものです」

 

伊勢原(いせはら)女子。弓削に憧れている。好きな数字は45。

「私の誕生日で、カプレカ数だから」

「その人になれないから、憧れなんだよ」

 

高梨姉妹(たかなし)双子。三つ編みとツインテールで識別。皇に憧れている。

 

 

木村 合宿スタッフ。壮年の男性。エルデシュ数6。

 

相馬 合宿スタッフ。若い女性。

「君らのやってる数学は、まだ数学じゃないから。本当の数学のための、手習い」

 


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引用元:1,1,2,3,5,8...The Golden Ratio
 

 

🐱今回、ザッと読み直してみたが、青春小説としては悪くないと改めて思った。数学をテーマにしているところが珍しいだけで、内容的にはオーソドックスな青春小説だと云える。いかにも青春らしいフレーズもたくさん出てくる。ただ、数学がテーマということで敬遠する人が多いかも知れない。また、数学好きの人間にとっては巻末の参考文献を読んだ方がはるかに面白い。そこが難点だと思う。

 

 

🐱数学で決闘をするという「E^2」の設定は、数学の本質とは関係ないように思われる。話を分かりやすく面白くするための創作上の工夫に過ぎないだろう。数学を対戦型ゲームに置き換えれば、この小説は、ありふれた青春バトルものに過ぎない。数学も一種の異能力だから能力者バトルものと言った方がよいか。

 

 

🐱登場人物それぞれの数学との関わり方や数学に対する考え方を丁寧に書き分けているところは好感が持てた。彼らの考え方は、それぞれ間違ってはいない。また、数学関係ではない登場人物も効果的に配されていると思う。

 

 

🐱カプレカ数(Kaprekar Number)は、次のどちらかで定義される整数のこと。

定義1.二乗して、前の部分と後ろの部分に分けて加えると元の数に等しくなる。

(例)45^2=2025, 20+25=45

   297^2=88209, 88+209=297

定義2.桁を並べ替えたとき、最大になる数から最小になる数を引いたとき元の数に等しくなる。

(例)954-459=495

   7641-1467=6174

※定義2の場合、カプレカ数は必ず9の倍数になる。

 

 

🐱こういうのは、「だから何なんだ」と言ってしまえばそれまでであるが、それは数学に限らない。世の中はたいてい「だから何なんだ」で出来ているのだ。

 

 

🐱最後に、出典元は不明なのだが、ピンタレストPinterest)で見つけた、おそらく東大数学科を紹介したと思われる文章を貼り付けておく。


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🐱これは、数学世界には人生の多くのものを諦めてでも冒険する価値のあるものがあるけれども、覚悟のないものは数学世界に安易に踏み込むなという警告なのだろう。🐥

 

 

 

青の数学 (新潮文庫nex)

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