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森の踏切番日記

人生LARKしたい

『青の数学2』の感想~数学よりも女心の方が難しいぞ

2月の読書録03ーーーーーーー

 青の数学2 ユークリッドエクスプローラ

 王城夕紀

 新潮文庫(2016/11/01)

 1702-03★★★

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数式(まほう)は解け、
僕の青春が始まる。

数学オリンピック出場者との夏合宿を終えた栢山は、自分を見失い始めていた。そんな彼の前に現れた偕成高校オイラー倶楽部・最後の1人、二宮。京香凛(かなどめかりん)の数列がわかったと語る青年は、波乱を呼び寄せる。さらに、ネット上の数学決闘空間「E^2」では多くの参加者が集う“アリーナ”の開催が迫っていた。ライバル達を前に栢山は……。数学に全てを賭ける少年少女を描く青春小説、第2弾。


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🐱この小説は、出てすぐに購入したのだが、他に読みたい本もあって、読むのを後回しにしていた。それだけ期待していなかったということになるが、まあ、予想の範囲内の内容だった。

 

🐱前回にも書いたが、数学をテーマにしているところは珍しいが、内容的にはオーソドックスな青春小説なので展開が読めるのである。つまり、主人公が壁にぶち当たり、それを乗り越える話である。悪くはないが平凡な印象という感じである。

 

 

🔘登場人物2

※前回からの登場人物は例外を除き省略する。

二宮(にのみや)偕成高校3年生男子。オイラー倶楽部。夏合宿には参加せず、夏中バックパッカーをしていた。

「問題を解くだけが数学じゃないからな」

 

美作(みまさか)偕成高校男子。オイラー倶楽部。夏合宿に参加。(前回も登場)

「自分と戦うのが楽しすぎて、他人とやる暇なんてないよ」

 

ダークマター 夏に「E^2」に突然現れた新勢力

 


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引用元:September 18, The Day Leonhard Euler Died | Ama...

筆者:Dr. Stefan Gruenwald

 

 

🐱主人公は、基本的に数学の問題を解いているだけなので、話にアクセントをつけるのが難しい小説である。定期試験や文化祭といった日常的な学園風景の中で、主人公は、一度立ち止まったりしながらも、ひたすら数学の問題を解いていく。その中で、お使いで訪れた大学での数学者との会話と緑に覆われた柊の研究室跡の風景は印象的だった。

 

🐱各登場人物の夏以降の変化を丁寧に書き分けているところは好感が持てたが、ありふれた話なので、もう一工夫あっても良かったかと思う。ダークマターのエピソードは、もう一つピンと来なかった。

 

🐱話の合間合間に挿入される、ごま塩頭の男が少年に語る数学の歴史は、作者の理解するところの数学史が分かって興味深かった。

 

🐱七加と柴崎が栢山のことをどう思っているのかが気になるところなのだが、興味が好意に変わり、好意が恋愛感情に変わる手前位のところだろうかと推測する。特に、柴崎の方は恋心を抱いていても不思議ではないと思うのだが。栢山は母性本能をくすぐるタイプだと思う。

 

 

🐱数学の問題を解くという行為は潜水に近いかと想像する。数学の海に潜って行くようなイメージである。数学の海の風景は地上の風景とは全く異なるのだろう。数学の問題を解き続けることによって深く長く潜り続けられるようになるのだ。そして、限られた一部の人間は、数学の海を自由に泳ぐためのエラを持つように進化するのだろう。天才というのは、最初からエラ呼吸が出来る人のことなのだろう。というようなことを高校時代に考えたことを思い出した。ま、こっちは浜辺でパシャパシャやっていただけだけどね。同じ理系でも数学科は異世界なのだ。

 

🐱ここ数年、数学や物理の一般向け解説書を再びいろいろ読むようになったのだが、今の方がよく理解できて面白く感じる。数学の楽しみ方は一通りではない。

 

🐱巻末の参考文献を読んだ方がはるかに面白いという前回の感想は変わらなかった。数学は言葉で説明するよりも、実際に数学に向き合った方が良いに決まっているし、現実の天才数学者の話の方が断然面白いのだから仕方が無い。

 

🐱まあ、数学とは「関係」なんだろう。数学に向き合うときの自己と数学との「関係」、それが数学なのではないだろうか。🐥

 

 

 

青の数学2: ユークリッド・エクスプローラー (新潮文庫nex)

青の数学2: ユークリッド・エクスプローラー (新潮文庫nex)

 

 

 

 

 

物事があまりに複雑になりすぎたら、ときには立ち止まって、自分の問いが正しかったのかどうかを考えてみるがよい。

(エンリコ・ボンビエリ)

素数の音楽』マーカス・デュ・ソートイ著より

 

 

 

 

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