森の踏切番日記

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トラピスト1系に関する基礎知識 ~トラピスト星人は存在するの? 

Eテレ『サイエンスZERO

2017.05.28. 放送

~7つの地球を大発見!?  トラピスト1 惑星系


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🐙今年2月、およそ39光年先にある恒星トラピスト1に7つの惑星があることが発表されました。これらの惑星は地球と似たサイズで、うち3つは生命が存在する可能性があるということで話題になりました。

🐙今回、Eテレ『サイエンスZERO』で特集されたので、それを基に自分なりにまとめてみました。ただし、本記事の内容は必ずしも放送通りではありません。

※上の画像は、2月に発表された時のトラピスト1系の想像図(NASAによる)

 

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👽トラピスト1はどこにあるの?

👾トラピスト1(TRAPPIST-1)は、水瓶座の位置にあり、地球からおよそ39光年離れている。天の川銀河系の中では、ご近所といってよい。(下図の赤丸)


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TRAPPIST-1 - Wikipediaより

 

 

👽トラピスト1系の構成は? 

👾中心星のトラピスト1は赤色矮星で、その周りを公転する地球と似た大きさの岩石惑星が7つある。アルファベットの小文字は通例発見順に付けられる。aは中心星に付けるので、惑星はbから始まる。

👾このうち、efgの三つの惑星はハビタブルゾーンにあり、生命が存在するかもしれないと期待されている。


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👽惑星にはどんな種類があるの?

👾小規模の岩石惑星(地球型惑星~水星、金星、地球、火星)、中規模の氷惑星(天王星型惑星~天王星海王星)、大規模の巨大ガス惑星(木星型惑星木星土星)がある。

👾この他に近年、スーパーアースと呼ばれる地球の数倍の大きさの惑星が、系外惑星で数多く発見されている。大きさは岩石惑星と氷惑星の中間くらいで主に岩石でできていると考えられるが、形成過程など詳しいことは分かっていない。

 

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👽そもそも系外惑星とは?

👾太陽系の外にある惑星。太陽系外惑星の略。1992年、パルサーの周囲で発見されたのが最初。

👾主系列星の周囲で発見されたのは、1995年が最初で、ペガサス座51番星b (51Pegasi b) と呼ばれている。

👾この惑星は、木星の半分ほどの重さで、中心星のすぐ近くを4日ほどの周期で公転している。これは予想外のことで、あわてた天文学者たちが従来のデータを見直すと似たような惑星がいくつも見つかり、系外惑星発見ラッシュの時代が始まった。

 

 

👽ホット・ジュピターとは?

👾ペガサス座51番星bのように、軌道半径が小さい巨大ガス惑星は、潮汐ロックにより常に同じ面を恒星に向けているので大気が千度以上の高温になっていると考えられるので、ホット・ジュピターと呼ばれている。

 

 

👽潮汐ロックとは?

👾大ざっぱに云うと、二つの天体の距離が比較的近く、相手の天体が及ぼす潮汐力が強い場合に起きる自転周期と公転周期が等しくなる現象。常に相手に同じ面を向けて回転することになる。

👾代表的な例が、地球の衛星の月。太陽系の惑星の衛星は、ほとんどすべて自転と公転が同期している。冥王星カロンは両方とも潮汐ロックで互いに同じ面を向け合っている。

 

 

👽系外惑星の見つけ方は?

👾主にドップラー法とトランジット法の二つの方法がある。他に直接撮像法などがある。

👾惑星が中心星のまわりを回ると、中心星は惑星の重力に引かれてわずかに位置がふらつく。その様子から惑星の存在を推定するのがドップラー法。

👾惑星が中心星の前面を通る時に、惑星の影によって中心星が少しだけ暗くなる様子から惑星の存在を推定するのがトランジット法。地球から見て惑星が中心星の前を通過しないと使えない。トラピスト1系は、トランジット法で発見された。

👾望遠鏡によって、系外惑星の光を直接とらえるのが直接撮像法で、すばる望遠鏡ハッブル宇宙望遠鏡が成功している。

 

 

👽これまでに見つかった系外惑星の数は?

👾当初は、ドップラー法によるホット・ジュピターや、彗星のような極端な楕円軌道を回るガス惑星エキセントリック・プラネットが数多く発見された。

👾2009年から地球型系外惑星の発見を目指したケプラー(Kepler : 宇宙望遠鏡)の運用が始まり、トランジット法によって2300個以上もの系外惑星が発見された。(2016年末現在)

👾これまでに発見された系外惑星の確定数は3500個以上にのぼっている。(2016年末現在)

 

 

👽ハビタブルゾーンとは?

👾ハビタブルゾーン(HZ:habitable zone)は、宇宙の中で生命が誕生するのに適した環境と考えられている領域のこと。太陽系のハビタブルゾーンにある惑星は地球だけ。

👾ケプラーは、ハビタブルゾーンにある地球型惑星も数多く発見している。


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ケプラー宇宙望遠鏡が発見したハビタブルゾーンにある地球型惑星の例。

 

 

👽赤色矮星とは?

👾赤色矮星(red dwarf)は、主系列星の中で特に小さい恒星のグループ。特徴としては、直径が小さい、表面温度が低い、暗い、寿命が非常に長い。実は、恒星の中では最も数が多く、恒星全体の4分の3が赤色矮星だという。

👾系外惑星を探査するにあたって、当初は赤色矮星は重要視されていなかったが、今世紀に入ってから赤色矮星でも系外惑星が発見され注目され始めた。赤色矮星は暗いので、太陽系近傍の赤色矮星が探査目標となる。

 

👾ケプラーは、当初は比較的遠方の恒星を探査目標にしていたが、2013年に姿勢制御系の故障により、太陽系近傍に観測区域の変更を余儀なくされた。『サイエンスZERO』の解説によると、それにより、暗い赤色矮星も探査目標に加えられることになったという。


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※HR図。主系列星(MAIN SEQUENCE)の右下M型が赤色矮星。太陽はG型。

 

 

👽プロキシマ・ケンタウリbとは?

👾太陽系に最も近い恒星であるプロキシマ・ケンタウリも赤色矮星。2016年8月にハビタブルゾーンを公転する惑星プロキシマ・ケンタウリbの存在がドップラー法によって発見された事が発表された。


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プロキシマ・ケンタウリb想像図

(ESO/M.KORNMESSER)

 

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👽トラピスト1系の発見は?

👾トラピスト1系はまず、2016年5月に南米のチリにあるTRAPPIST望遠鏡を用いたトランジット法による観測で3つの地球型惑星が発見された。その後、NASAによるスピッツァー望遠鏡を用いた観測により、合計7つの地球型惑星があることが分かった。

👾NASAの記事によると、TRAPPISTは、Transiting Planets and Planetesimals Small Telescope の略だとか。

 

 

👽トラピスト1はどんな星なの?

👾表面温度は約2500K。大きさは太陽の約10分の1で木星より少し大きいくらい。質量は太陽の約8%で木星の約80倍。年齢は30億年から80億年。寿命は4~5兆年。

👾この大きさの天体で惑星が見つかったのは初めてのこと。

👾明るさは太陽の千分の一程度で、赤色光が中心だが大部分は赤外線。


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※太陽とトラピスト1の大きさの比較

 

 

👽何故トラピスト1系が注目されるの?

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👾地球と比較して、公転周期が非常に短いが、半径と質量は地球とよく似ている。


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👾このうち、efgの3つの惑星の公転軌道がハビタブルゾーンに入る。

👾中心星と惑星の相対的な大きさが理想的で、大気の存在が確認されていて、生命存在の可能性がある。

👾特にfが有望だとされている。


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👾1行目は公転周期。

👾2行目は恒星からの距離で、太陽地球間の距離を1AU天文単位)としている。トラピスト1系の惑星は中心星に非常に近いことが分かる。しかも、惑星どうしも互いに接近し合っている。

👾3行目は半径で、地球の半径を1としている。

👾4行目は質量で、地球の質量を1としている。

 
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👾太陽系の軌道と比較した場合、トラピスト1系は、水星の軌道の内側に入ってしまう。


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👾このため、惑星の自転と公転が同期する現象、潮汐ロックが起こる。常に恒星に同じ面を向けることになるので、昼夜が逆転しない。


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※トラピスト1fの想像図

 

👽昼夜が逆転しないトラピスト1系の惑星に本当に生命は存在できるの?

👾『サイエンスZERO』の解説によると、大気と水が存在すると、昼側の大気が熱せられて厚い雲が発生することにより地表が高温になることが防がれる。また、大気の循環によって夜側にも熱が拡散することによって惑星全体が15℃から35℃の生命存在に適した温度になる可能性があるとのこと。

👾渡部潤一国立天文台副台長は、昼側で活動して夜側で睡眠をとるサイクルを持つ生命が存在するかも知れないと解説していた。また、赤い世界の中に赤い色(赤外線)を識別する生命がいる可能性があるという。

👾惑星間の距離が近いので微生物が惑星間を移動することができると主張する研究者もいる。また、惑星どうしが近接しているので互いの重力が影響し合い、過酷な環境ではないかと考える研究者もいる。

 

🐙その他、色んな意見が出されているが、すべて単なる憶測、妄想、冗談に過ぎないという印象である。ハッキリしたことはまだ何も分かっていないので、言ったもん勝ちという感じがする。

 

 


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※トラピスト1dの想像図

(ESO/M.KORNMESSER)

 

 

👽今後はどういう観測をするの?

👾2016年12月からは、ケプラーでも観測が始まった。また、2018年以降に打ち上げが予定されているジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)でも観測する予定だという。

👾光の波長から大気の組成を分析する事が当面の目標のようだ。トラピスト1は太陽系に近いので大気の分析が可能である点もトラピスト1が注目されている理由の一つなのだ。

👾これまでに酸素が見つかった系外惑星は、まだ無い。

 


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🐙飽くまで「かもしれません」というお話でしたが、科学には夢とロマンとユーモアが欠かせないと思います。

🐙逆に云うと、夢もロマンもユーモアも無いような科学はすべきでない。

 

 

 

 

🌏参考記事

https://nasa.tumblr.com/post/157579604399/largest-batch-of-earth-size-habitable-zone

 

※他にWikipediaTRAPPIST-1 - Wikipediaなどを参考にした。

 

 

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📖おすすめ図書

地球の長い午後 (ハヤカワ文庫 SF 224)

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😸★★★★☆

🐙はるか未来、寿命が尽きかけ膨張した太陽に照らされた地球は自転が停止し、地上には永遠の昼と夜が訪れた。文明が崩壊し知性が衰退した人類は、暴力的に進化した植物が支配する昼の世界と死が支配する夜の世界の中で滅びようとしていた。昼夜が逆転しない世界と人類の行く末を想像力豊かに描いたSFの古典的名作。

🐙トラピスト1系の惑星の場合は、赤外線が支配する世界であるし、厚い雲におおわれている可能性もあるというので、地球上の生命とは全く異なる形態の生命が存在すると考えられるが、昼夜が逆転しない世界を想像するにはちょうど良い作品ではないかと思う。🐸