森の踏切番日記

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『デート・ア・ライブ17 狂三ラグナロク』のあらすじと感想

10月の読書録05ーーーーーーー

 デート・ア・ライブ17 狂三ラグナロク

 橘公司

 ファンタジア文庫(2017/08/20)

 ★★★

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デート・ア・ライブ17 狂三ラグナロク (ファンタジア文庫)

〈Nibelcole〉

 

 

前作『デート・ア・ライブ16 狂三リフレイン』に引き続いて、本作を読んだ。やっと最新巻が読めた。ふぅ💨

 

本作のサブタイトル「狂三ラグナロク」のラグナロク(Ragnarøk)は、北欧神話世界における終末の日のことで「神々の黄昏」と訳される。本書のあとがきによると、決戦感が欲しくて、語感がかっこいいからサブタイに決めたとか。北欧神話の用語もいろんな所で使われているから、いろいろ被るよね。

表紙はなんと、ニベちゃん。敵対勢力のボスであるDEMインダストリー業務執行取締役、アイザック・ウェストコット(アイク)が持つ全知の魔王〈神蝕篇帙(ベルゼバブ)〉から生まれた擬似的な精霊がニベルコル、通称ニベちゃんなのだ。ニベちゃんは狂三の分身体同様量産タイプなのでウヨウヨ出てくる。「ベルゼバブ」ってスマホで打つと「べるぜバブ」が先に出てくるね。

ベルゼバブは、キリスト教世界における魔界の君主でハエの王とも呼ばれる大悪魔・ベルゼブブ(Beelzebub)にちなむ。天使〈囁告篇帙(ラジエル)〉の反転体にぴったりのネーミングだ(ラジエルは宇宙の神秘の知識をまとめた書物を携えた座天使長の名前にちなむ)。

十六世紀のフランスでニコール(Nicole)という名前の少女にベルゼブブ(フランス語形は Belzébuth ベルゼビュート)が取り憑いて生まれたといわれる子供の名前がニベルコル(Nibelcole)なのだ。ニコールとベルゼビュートでニベルコル。なんだかなあ。この小説のニベルコルは、この事件に基づいた命名だろう。

ということは、二亜がニコールということになるのかな? だから二亜? ニコールは子供の頃を修道院で過ごしたという記述が「ベルゼブブ - Wikipedia」にあるのだけど、だから二亜の霊装はシスターだったのかな。

 

 

それでは、あらすじと感想を始めます。

まずは断章として、アイクとエリオットとエレンとカレンの四人の物語が語られる。四人は「魔術師(メイガス)」の一族の末裔なのだ。彼ら一族は、普通の人々から迫害され山間の小さな村でひっそりと暮らしていたのだが、四人が幼い頃に襲撃され滅んでしまった。生き残った四人は、いつの日か、人類を放逐し、魔術師のための世界を創ることを誓う。

月日が流れ、彼らは十分な資産と隠れ蓑を手に入れ、魔術の研究に没頭した。そしてついに、「精霊術式」を行い精霊を生み出すことに成功したのだ。精霊は全身に淡い輝きをまとった少女の姿をしていた。この精霊は、人が思い描いたことを現実化する随意領域を持っている。その空間は地球を覆い尽くすほどの規模を誇っているという。それこそが「隣界」と呼ばれるもう一つの世界なのだ。

「それが、我々の世界だ。我々は隣界で以て、この世界を上書きする」

 

本章は、前作のラストの続きで時崎狂三の場面から始まる。狂三は、影の中に呑み込んだ〈ファントム〉が自分の力を分け与えてまでも精霊を増やした理由をいぶかしがる。

一方、〈フラクシナス〉に回収された五河士道は、琴里たちに狂三の目的を話す。士道と士道の実妹・崇宮真那は狂三の話に出てきた「崇宮澪」という名前に心当たりがあるのだが、記憶が失われていて思い出せない。そこで天使〈封解主(ミカエル)〉の力を使って士道の記憶の扉を開けようとしたが失敗に終わる。

狂三が影の中に呑み込んだ〈ファントム〉は村雨令音の姿をしていたが、〈フラクシナス〉には普段通りに令音の姿がある。ただ、琴里が令音を見て奇妙な違和感を覚えたという思わせぶりな記述がある。

ここは深読みせずに、

〈ファントム〉=始原の精霊=崇宮澪=村雨令音 

と、素直に解釈しておこう。始原の精霊の霊力については未知だが、「隣界」という随意領域を持っているくらいだから、なんでもありの可能性すらある。狂三の影の中に呑み込まれた令音も〈フラクシナス〉にいる令音も本体でない可能性すらある。

 

少年はある日、空間震と呼ばれる大爆発に遭遇する。彼は運良く無事だったが、何もかもが吹き飛んだ爆心地で美しい少女を見つける。彼女は一糸まとわぬ姿で大地にうずくまっていた。

少女は言葉を持たなかった。少年は少女に自分の上着を着せ、彼女を背負って、大混乱に陥った街をあきらめ、幸運にも無事だった自宅に連れ帰る。さて、どうしよう?

そこへ、妹の真那が帰宅する。互いの無事を確認して安心したものの、半裸の少女の存在を真那は誤解する。必死に弁解する少年。くしゃみをする少女。仕方ねーですね。真那が部屋着を持ってこようとしたその時、少女の周りに淡い光の粒子が纏わり付いたかと思うと、真那が着ているセーラー服と同じものが出現した……

 

士道は久し振りに琴里に手荒く起こされ目覚める。そこへゴスロリ眼帯の狂三の分身体が現れる。彼女は独断で、二月二十日にDEM社が、その総力を持って士道を殺しに来ることを伝えに来たのだ。それは狂三の心を挫くための作戦でもあった。

狂三の分身体がもたらした情報を受けて、〈フラクシナス〉では、司令・琴里を始めとするクルー、精霊たち、AIマリア、士道による作戦会議が開かれる。DEM社の目的は士道殺害により精霊たちを反転させ、その霊結晶(セフイラ)を奪うこと。精霊保護を目的とする〈ラタトスク〉とは、決して相容れない。琴里たちが取るべき手段はただひとつ、DEMを倒すことのみ。〈ラタトスク〉意志決定機関・円卓会議議長、エリオット・ウッドマンの賛同も得て、琴里たちは打倒DEMを誓うのだった。

そういえば〈ラタトスク〉も北欧神話に出てくる世界樹ユグドラシルに住む栗鼠の名前だったね。〈フラクシナス〉はひとひねりあるみたいだけど。

 

少女は瞬く間に言語を習得して話ができるようになった。少女は自分が何者なのかわからないと言う。少年と真那は、取りあえず少女を崇宮家に同居させることにする。両親は長期の出張で長らく家を空けているので問題はない。少女は名前を持たなかった。少年は出会った日が三〇日だったからというアレな理由で、少女に「ミオ」という名前をつけた。対外的なことも考えて、フルネームは「崇宮澪」と決まった。澪は、自分の名前を口すると、涙が溢れてくるのを押さえることができなかった……

 

対DEM作戦会議の翌々日。精霊たちは決戦までの間延びした時間の中でそれぞれの過ごし方をしていた。折紙と真那は陸自のASTを説得に行くが簡単な話ではない。十香と六喰は差し入れのおにぎりづくり。そこへ四糸乃と七罪が加わる。みんな何かの役に立ちたいのだ。とはいうものの、彼女たちのすることなのでなんだかおかしな方向に。二亜と美九と夕弦と耶倶矢の四人は、古今東西、エロくないのにエロく聞こえる言葉ー。ええと、マンゴスチン? パイタン? そこへ十香たちから連絡が入り、二亜たちもおにぎりづくりに参戦。

一方、〈フラクシナス〉では、クルーたちが作業に追われていた。琴里もいらだち気味。士道は時間を持て余していた。休むことも仕事のうちというやつなのだが、平均的日本人な小心者の士道は落ち着かないのだ。士道は狂三のことを心配する。琴里は〈ファントム〉の目的をいぶかしがる。令音は「くだらないことかもしれないよ」とつぶやいて、肌身離さず持ち歩いているクマのぬいぐるみの頭を撫でる。そこへ差し入れのおにぎりを持って十香たちがやって来る。士道のおにぎりの具は何だったのやら。

日付が変わった深夜、決戦に備えて狂三も準備に余念がない。一方、十香と語らう士道は何かを思いついた様子。

ゲームとかはやらないので分からないのだが、AIマリアはやはり或守鞠亜のキャラとかが反映されているのだろうか。マリアは前作より、かなり人間くさくなったような気がする。二亜とのからみはそこそこ面白かった。 

 

少女が澪となってから二週間後、少年は澪を外へ連れ出した。好奇心で目を輝かせる澪。そんな彼女を見ながら思案を巡らせる少年。彼女は自分の存在を「精霊」のようなものだと言う。澪には、わからないことが多すぎる。澪がクレーンゲームに興味を示す。

「取ってやろうか?」

少年は苦労してクマのぬいぐるみをゲットする。少年はクマのぬいぐるみを澪に手渡す。

「──ありがとう。嬉しい。私、あなたのことが『好き』」

少女の微笑み…… 

 

その日の朝がやってきた。空間震警報が鳴り渡り無人となった天宮市上空に旗艦〈レメゲトン〉(魔術書の名前にちなむ)以下三〇隻もの空中艦を擁するDEMインダストリー空中艦隊が姿を現す。迎え撃つ〈ラタトスク〉の空中艦は〈フラクシナス〉以下五隻。

DEM艦隊から機械人形〈バンダースナッチ〉第一陣が射出される。そこへ現れた狂三の分身体たちが〈バンダースナッチ〉に取りついて破壊していく。さらに、DEM艦隊が地上から砲撃を受ける。なんと、天宮市の幾つもの民家が街路がビルが銭湯の煙突がスーパーマーケットが魔力砲にトランスフォームして砲撃を始めたのだ。

余裕を見せるウェストコットは、〈バンダースナッチ〉第二陣、魔術師(ウィザード)部隊、エレン、アルテミシア、〈ニベルコル〉たちを出動させる。兵力に勝るDEM艦隊は圧倒的物量でもって〈ラタトスク〉を殲滅させるつもりなのだ。

 

狂三分身隊に襲いかかるニベルコル隊。どちらも同じ顔した集団だから、なんか絵面がすごそう。

DEM社の要請を受けて出動した日下部燎子隊長以下AST隊員たちは、捨て駒にされそうになったところを精霊たちに助けられて混乱する。

〈バンダースナッチ〉相手に奮闘する折紙と真那。ASTを助けたあと二人に合流する四糸乃と六喰。彼女たちの任務は、DEMに記憶処理を施されたと思われるアルテミシアを捕獲するという困難なミッションだ。〈フラクシナス〉には琴里と二亜。その前方にいる美九と七罪は皆をアシスト。十香と八舞姉妹は〈ニベルコル〉に対応する。

 

折紙に襲いかかるアルテミシア。迎え撃つ折紙。真那や四糸乃、六喰は雑魚どもの対応に追われて加勢できない。折紙は〈絶滅天使(メタトロン)〉を駆使して応戦するが、苦戦を強いられる。その時二亜から、エレンが接近中という絶望的な通信が!

高速で一直線にアルテミシアの応援に駆け付けようとするエレンに衝撃が襲う。エレンの行く手を阻むように空中に立った魔術師は、金髪の若い男、かつてエレンやウェストコットたちとともにDEMを創設した同志にして、裏切り者。

 

天宮市街に点在する魔力砲の破壊という塩っぱい任務に当てられた〈ニベルコル〉たちはブーブー言いながら地上に降りた。そこへ十香と八舞姉妹が現れる。「遊び相手」が出てきて喜ぶ〈ニベルコル〉たち。だが、十香たちは攻撃を仕掛けようとしない。なぜなら、彼女たちは護衛に過ぎないからだ。〈ニベルコル〉の相手をするのは他ならぬDEMのターゲット、五河士道その人だったのだ。

まさかのターゲットが無防備にも最前線に出てきて〈ニベルコル〉たちは驚くが、すぐさま攻撃に転じる。士道に肉薄する一体の〈ニベルコル〉。その時、

「──愛してるよ」

予想外の言葉に、一瞬隙を見せた〈ニベルコル〉を抱き寄せ唇にキスする士道。恍惚の中で淡い光とともに消えていく〈ニベルコル〉。その光景を見ていた付近の〈ニベルコル〉たちまでもが同じように消えていく。

 

これは、マリアが解析した〈ニベルコル〉対処法なのだ。擬似的とはいえ〈ニベルコル〉も精霊には変わりないので士道の力で封印できるという理屈なのだ。普通は、相手が心を開いた状態でなければ封印出来ないのだが、〈ニベルコル〉は〈神蝕篇帙(ベルゼバブ)〉が生み出した精霊で、〈神蝕篇帙(ベルゼバブ)〉は、もともと二亜の天使〈囁告篇帙(ラジエル)〉だったわけで、その霊結晶(セフイラ)は全てが二亜から奪われたわけではないのだから、二亜の好感度と連動しているという理屈なのだ。はあ。

また、〈ニベルコル〉は、一にして全、全にして一の群体生命なので、一人がキスされると、それを見ていた他の個体にも効果が現れるのだ。はあ。

 

「──さあ始めようか〈ニベルコル〉。俺とおまえの、戦争(デート)の時間だ」

封印を免れた〈ニベルコル〉たちが怒り心頭に発して、一斉に襲いかかる。天使の力を借りて対応する士道。唇を奪われた個体が、その光景を目撃した個体が、次々と光の粒になる。警戒して遠くから飛び道具で応戦する〈ニベルコル〉たちには、投げキッス! 逃げまどうニベちゃんズ。

「逃がさないぜ──子猫ちゃん」

──そして、愛の嵐が巻き起こった。

なんだ?この小説!

その姿、まさに精霊無双。

斜め上を行ったね。

周囲の〈ニベルコル〉の大半が光と消えたが、未だ〈ニベルコル〉の姿は地上に溢れている。場所を移動しようとした士道の背後から現れたのは、狂三だった。

ニベちゃんズは書物の形をした魔王〈神蝕篇帙(ベルゼバブ)〉の頁からできているので、なんか水に弱そうだな。

 

その日、いつものように街を歩いていた少年と澪に謎の外国人集団が襲ってきた。どうやら澪を追ってきたらしい。澪の手を引いて逃げる少年の前に金髪黒服の欧米人の男が立ちふさがる。ところが、仲間からウッドマンと呼ばれたその男はなぜか二人を見逃してやる。さらに逃げ続けた二人だったが、ついにくすんだ銀髪の男(アイクだろ)に追いつめられてしまう。その男は、真那を人質にとったことをほのめかす。澪は観念して追っ手の方へ行こうとするが、少年は澪の手を引いて逃げ出す選択をする。男が銃を構える。少年の胸を熱い感触が襲う。がくりと崩れおちる少年……

 

折紙とアルテミシアの一騎打ちは、折紙が劣勢ながらも膠着状態が続いていた。そこへASTが現れる。アルテミシアの応援要請を受けたAST隊員たちが一斉射撃を行ったのは、そのアルテミシアに向けてだった。それが燎子の結論だった。その一瞬の隙を逃さず折紙はアルテミシアに斬りかかる。その攻撃を受けながら折紙を斬り付けるアルテミシア。相打ちかと思われたその時、鍵の形をした六喰の天使〈封解主(ミカエル)〉がアルテミシアの側頭部に突き刺さる。よみがえる記憶の波。

 

戦場の真っ只中で分身体ではない本物の精霊・時崎狂三と出会った士道は、狂三に命を助けてもらったことに感謝の言葉を告げる。〈ニベルコル〉と戦いながら、狂三を説得しようとする士道と抗弁する狂三。士道は狂三との出会いを無かったことにしたくないと告げる。士道は狂三の天使の力で狂三の記憶を追体験したとき、狂三の士道に対する熱い乙女の感情までも感じとってしまっていたのだ。

士道が思いついた士道と狂三双方の希望を叶える方法とは、まず、士道が狂三の霊力を封印する。それから、士道が霊力を使って〈刻々帝(ザフキエル)〉で三〇年前に戻る。そして、始原の精霊をデレさせて、その霊力を封印する。そうすれば、その霊力を使って歴史をやり直すことができるはず。しかも、展開を取捨選択し、悪かったことだけやり直して、ご都合主義的な理想的な歴史を作り出すことが出来るはず。士道の言葉に、動きが止まる狂三。

その時、一人の〈ニベルコル〉に結集し、紙の鎧を纏った〈ニベルコル〉となった〈ニベルコル〉が凄まじいスピードで狂三に迫ってきた。狂三の銃弾は紙の鎧に弾き返され、士道の投げキッスも通じない。紙の鎧は〈ニベルコル〉の目元を覆い隠していたのだ。腕部の鎧を円錐状に変形させた〈ニベルコル〉の右腕が狂三の胸元に迫る!

その瞬間、狂三の影の中からあの眼帯の分身体が現れ狂三をかばう。狂三の視界に鮮血の華が咲き乱れる。冷静さを取り戻した狂三は時間を巻き戻す【四の弾(ダレット)】を〈ニベルコル〉に撃ち込み紙の鎧をバラバラの紙へと戻す。その隙を狙って唇を奪う士道。〈ニベルコル〉は甘い声を残し光の粒と消える。なんだかなあ。

一度は消そうかと思った分身体に助けられて危機を脱した狂三は、DEMを退け、士道から命の危機が去った後なら霊力を封印されても構わないと士道に告げる。その言葉に喜び、狂三に手を差し出す士道。狂三がその手を取るように手を伸ばしたその瞬間──

 

少年が凶弾に倒れた瞬間、澪は怒りと悲しみと混乱に支配され、周囲を破壊しその場を逃れた。澪は霊力で少年の傷を塞いだが少年は最早目覚めなかった。澪の霊力をもってしても命を取り戻すことだけは出来なかったのだ。澪は悲嘆に暮れた。彼が澪の中でどれほどかけがえのない存在だったか。ひたすら考え続けた澪は一つの結論にたどり着いた。

「──作り直せば……いいんだ」

澪は少年の身体を自分の身体の中に取り込んだ。澪の胎内で少年の身体を再構成しようというのだ。そして、澪の精霊の力を分け与える。ヒトの身体はあまりに脆いから少しずつ与えなければならない。最初に用意する力は「力を吸収するための、力」一つだけでよい。それから一つずつ力が手に入れられるように「種」を撒いておけばよい。澪はそれをそばで見守っていればよい。少年が全ての力を手に入れたそのとき、彼は何者にも害されぬ力と永劫にも近い命を持った、澪の永遠の恋人となるだろう。

「だから……待っててね。──シン」

 

戦場の中。士道に手を伸ばしつつあった狂三の胸元から、狂三のものではない別の手が現れた。狂三が苦しげな声を発する中、少しずつ腕が伸び出てくる。思わず狂三の名を呼ぶ士道。やがて姿を現した『それ』は──

というところで To Be Continued となる。

 

 


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え~! 狂三はどうなっちゃうの?

あとがきによると、今回は作者が「前々から書きたかったシーンがいろいろ書けて非常に楽しかった」とか。なんだろ? 古今東西とか精霊無双とかだろうか。特に、ラストの部分は構想時から考えていたシーンだったとか。つまり、これが書きたくてここまでやってきたということになるか。将棋にたとえると、狂三という大駒を捨てて詰ませにかかったという感じがする。(あるいは、新たなステージへの入口となるのか)

そんなこんなで、今作は濃厚な内容で読み応えがあった。始原の精霊の誕生、それに崇宮澪と崇宮兄妹との関わりが明らかになり、村雨令音に関する幾つかの伏線(クマのぬいぐるみとか令音が士道を「シン」と呼ぶこととか)が回収された。妹が真那だから、「シン」は「真」、あるいは真がつく「真一」とかだろうか。士道に合わせて「真路」かもしれない。

ていうか、シン死んでんじゃん。士道は、崇宮澪から生まれたってことじゃん。令音の士道に対する態度に母性的なものが感じられるのも納得できる。この場合、シンと士道は同一の存在とは言えないよね。クローンと変わりないよね。

始原の精霊の霊力ならば、狂三のように時間を巻き戻してやり直すことも可能だと思うが、それだとシンはいつか死んでしまうから澪としては不満なのだろう。愛するものに不死の力を与えようとするところは神話的だといえる。澪は精霊というよりは神的な存在に近い感じがする。

士道はシンであってシンではない。澪は「愛」という概念の理解の仕方を間違えてしまったようだ。その辺りが、今後の展開に関わってくるのかどうか。

精霊の存在理由も明らかになったが、全ては士道のためだったとは、これまでの全てを覆す驚きの理由だった。この真実を知ったとき士道の自我はどういう反応を示すのか、そこが問題だ。

それにしても、悪いのはシンを殺したアイクだよな。結局、自分で話をややこしくさせたってことになるよな。

 

士道の狂三に対する「好き」は、他の精霊に対する「好き」と同質のものだろうか。それが気になる。士道は男女間の愛として究極の選択を迫られたとき誰を選ぶのか。それが気になる。「みんなを幸せに」というのは、男女の愛とは別物だと思うし。「みんな好き♥」というのは、単なる性欲の権化だと思うし。

 

さて、『それ』は素直に考えると、〈ファントム〉、つまり、崇宮澪だろう。あのタイミングで出てきたのはなぜだろうか。士道に分け与えるべき霊結晶はあと二つとすると、澪の計画は達成間近ということになる。「最後まで」と言っていたが、全てのケリをつけるつもりなのか。

謎として残っていることのひとつに、〈ファントム〉と〈フラクシナス〉の令音の関係がある。素直に考えると〈フラクシナス〉の令音も崇宮澪なのだろう。狂三の体内から出てきた『それ』が崇宮澪の本体だとすると〈フラクシナス〉の令音は、単なる分身体のようなものなのだろうか。逆の可能性もあるし、どちらも本体で偏在できるという可能性すらある。作者の設定が読みづらい。

士道や琴里たちをずっと見守っていた〈フラクシナス〉の令音がキーパーソンになる展開を一応想像してみる。彼女が澪の暴走を止めるストッパーの役割を果たすとか、そんな感じの展開はアリかナシか。

崇宮澪の計画は、士道の思惑を越えたものだし、アイクの思惑さえ越えたものだといえるだろう。この先の展開がどうなるのか。個人的には、狂三の運命が一番気になる。次回作は、来年の初め頃だろうか、春頃だろうか。それまでは、いろいろ展開を想像して楽しむことにしようと思う。

 

 

 

デート・ア・ライブ17 狂三ラグナロク (ファンタジア文庫)

デート・ア・ライブ17 狂三ラグナロク (ファンタジア文庫)