森の踏切番日記

ただのグダグダな日記です/2018年4月からはマイクラ日記をつけています/スマホでのんびりしたサバイバル生活をしています/面倒くさいことは基本しません

小説

藤野可織の『ファイナルガール』~女は度胸なのだ

9月の読書録05ーーーーーーー ファイナルガール 藤野可織 角川文庫(2017/01/25:2014) ★★★☆ ──────────────────── 藤野可織は、以前から気になっていた作家の一人で、一度小説を読んでみたいと思っていたのだが、なかなか機会がなくて、今年の9月によう…

藤野可織『おはなしして子ちゃん』~キモカワイイ短編集

9月の読書録01ーーーーーーー おはなしして子ちゃん 藤野可織 講談社文庫(2017/06/15:2013) ★★★★ ──────────────────── 藤野可織は、1980年京都生まれ。同志社大学大学院美学芸術学専攻博士課程前期修了。2006年「いやしい鳥」で第103回文學界新人賞を受…

なつかしの『アスラクライン』

8月の読書録09~22ーーーーー アスラクライン 全14巻 三雲岳斗 電撃文庫(2005/07/25~2010/02/10) ★★★☆ ──────────────────── 7月に『デート・ア・ライブ』を第1巻から第12巻まで読んだので、8月は『デート・ア・ライブ アンコール』の方を読もうと思…

まとめ読み『デート・ア・ライブ』(1)~(12)

7月の読書録06~17ーーーーー デート・ア・ライブ(1)~(12) 橘公司 富士見ファンタジア文庫 (2011/03/25~2015/06/25) ──────────────────── 時々かる~い小説が無性に読みたくなる時があって、そういう時は少し前のラノベを読むことにしています。…

米澤穂信の短編集『満願』の感想

8月の読書録08ーーーーーーー 満願 米澤穂信 新潮文庫(2017/08/01:2014) ★★★☆ ──────────────────── 本書は2014年に刊行された米澤穂信の短編集が文庫化されたものである。本作は、2014年に山本周五郎賞を受賞し、「このミステリーがすごい!」「ミステ…

筒井康隆の短編集『繁栄の昭和』の感想

8月の読書録07ーーーーーーー 繁栄の昭和 筒井康隆 文春文庫(2017/08/10:2014) ★★★★ ──────────────────── 本書は2014年に刊行された短編集が文庫化されたものである。短編が9編とコントが2題、それにエッセイが1編という構成になっている。表題は、…

三島由紀夫の『美しい星』読んだら草生えたわ

8月の読書録05ーーーーーーー 美しい星 三島由紀夫 新潮文庫(1967/10/30:1962) ★★★★☆ ──────────────────── 本書は、五月頃に書店で山積みにされているのを見て、懐かしいなと思って購入した。懐かしいなと思ったのは、高校時代に同級生がこの本を読んで…

作者にまったく共感できない小説の感想は書けないものだ

8月の読書録04ーーーーーーー 若冲 澤田瞳子 文春文庫(2017/04/10:2015) ★★☆ ──────────────────── 伊藤若冲『仙人掌群鶏図』西福寺 私が初めて若冲の作品を知ったのは、小学生の時だった。切手の鶏の絵を見て、むっちゃカッコええなあと思い、強く印象…

一年振りにあのコンビと再会した~『陰陽師 蛍火ノ巻』

7月の読書録04ーーーーーーー 陰陽師 蛍火ノ巻 夢枕獏 文春文庫(2017/06/10:2014) ★★★★ ──────────────────────────── 夢枕獏の陰陽師シリーズ第14作目にあたる本書は、2013年から2014年にかけて発表された短編を中心に全部で9編の短編が収められている…

森見登美彦『夜行』の感想 ~ただ一度きりの朝を求めて

7月の読書録01ーーーーーーー 夜行 森見登美彦 小学館(2016/10/30) ★★★☆ ──────────────────────────── TVアニメ『有頂天家族2』が終わって、森見作品を何か読みたくなったのだが、文庫化された作品で読んでいないのは『恋文の技術』くらいしか残って…

人物像が浮かび上がってこない

6月の読書録01ーーーーーーー 井伊直政 高野澄 PHP文庫(2016/12/14:1999) 1706-01★★☆ ──────────────────────────── 井伊直政の人物像が、もう一つ掴みきれないので何か読んでみようと思って読んでみた。著者の高野澄(たかのきよし)は歴史小説作家だが…

『文庫版 書楼弔堂 破暁』の感想~虚実の淡いに浮かび上がる物語

5月の読書録02ーーーーーーー 文庫版 書楼弔堂 破暁 京極夏彦 集英社文庫(2016/12/25:2013) 1705-02★★★★ ──────────────────────────── 明治25年(1892)5月23日、東京の外れで日々無為に過ごしていた高遠彬は、奇妙な書舗と巡り合う。店の名は書楼弔堂…

『有頂天家族二代目の帰朝』の感想

4月の読書録03ーーーーーーー 有頂天家族 二代目の帰朝 森見登美彦 幻冬舎文庫(2017/04/05:2015) 1704-03★★★☆ ──────────────────── 本作は、2007年9月に幻冬舎より刊行された『有頂天家族』の続編になる。前作はアニメ化されたが、本作もアニメ化され、…

『いまさら翼といわれても』の感想

3月の読書録04ーーーーーーー いまさら翼といわれても 米澤穂信 角川書店(2016/11/30) ★★★☆ ──────────────────── 本書は、著者の人気シリーズである〈古典部〉シリーズの現時点での最新作となる連作短編集である。前作『ふたりの距離の概算』からは、6…

『ビブリア古書堂の事件手帖7』の感想

3月の読書録02ーーーーーーー ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~ 三上延 メディアワークス文庫(2017/02/25) ★★★☆ ──────────────────── ビブリア古書堂に迫る影。太宰治自家用の『晩年』をめぐり、取り引きに訪れた老獪な道具商の男…

『青の数学2』の感想~数学よりも女心の方が難しいぞ

2月の読書録03ーーーーーーー 青の数学2 ユークリッド・エクスプローラー 王城夕紀 新潮文庫(2016/11/01) 1702-03★★★ ──────────────────── 数式(まほう)は解け、 僕の青春が始まる。 数学オリンピック出場者との夏合宿を終えた栢山は、自分を見失い始…

徳川家康は偉大な凡人か?

BOOKーーーーーーーーーーーー 家康 (一)自立篇 (幻冬舎単行本) 作者: 安部龍太郎 出版社/メーカー: 幻冬舎 発売日: 2016/12/21 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (1件) を見る ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 2月5日(日曜日)の朝…

荒ぶる虎のごとき生涯『光圀伝』

MY LIBRARYーーーーーーーーー 光圀伝(上・下) 冲方丁 角川文庫(2015/06/25:2012) ★★★★ ──────────────────── 竹内栖鳳《雄風》(京都市美術館所蔵) 🔘光圀伝・上 「なぜあの男を自らの手で殺めることになったのか」老齢の光圀は、水戸・西山荘の書斎で…

『珈琲店タレーランの事件簿5』の感想~鴛鴦茶は飲んだことがない

1月の読書録02ーーーーーーー 珈琲店タレーランの事件簿5 この鴛鴦茶がおいしくなりますように 岡崎琢磨 宝島社文庫(2016/11/22) 1701-02★★☆ ──────────────────── アオヤマが理想のコーヒーを探し求めるきっかけとなった理想の女性・眞子。11年ぶりに偶…

後藤又兵衛という漢

12月の読書録03ーーーーーーー 後藤又兵衛 麻倉一矢 学陽書房人物文庫(2013/05/08:1994) 1612-03★★☆ ──────────────────────────── この本は、ブックオフ・オンラインでたまたま見つけた。108円だったので、ついでに買って読んでみた。元々のタイトルは『…

『貴族探偵対女探偵』の感想~かさしのふこのもも

12月の読書録02ーーーーーーー 貴族探偵対女探偵 麻耶雄嵩 集英社文庫(2016/09/25:2013) 1612-02★★★☆ ──────────────────── 本書は2010年に刊行されて、2013年に集英社文庫化された短編集『貴族探偵』に続く貴族探偵シリーズ二作目となる短編集である。 …

『祈りの幕が下りる時』の感想 ~親は子のために何をすべきか

12月の読書録01ーーーーーーー 祈りの幕が下りる時 東野圭吾 講談社文庫(2016/09/15:2013) 1612-01★★★☆ ──────────────────── 本書は、言わずと知れた東野圭吾の「加賀恭一郎」シリーズの十作目にあたる。吉川英治文学賞受賞作である。 明治座に幼馴染み…

『城塞』下巻再読・大坂城炎上

『城塞』再読(17) 司馬遼太郎『城塞』の再読もようやく最終回になりました。 岡山口の戦い ◾岡山口の総帥は、大野主馬であった。兵力は二万余。対する将軍秀忠率いる東軍の兵力は六万、先鋒の加賀前田軍だけでも一万五千の兵力であった。 ▶主馬は、旧真田…

『城塞』下巻再読・真田幸村の最期

『城塞』再読(16) 司馬遼太郎『城塞』下巻を再読しております。いよいよ運命の日がやってまいりました。 目指すは家康の首! ただ一つ! 慶長20年(1615)5月7日 ◾真田幸村の主力は茶臼山の南谷に布陣している。真田軍には大谷刑部吉継の長男吉治もいた。…

『城塞』下巻再読・道明寺の戦い

『城塞』再読(15) 司馬遼太郎の『城塞』下巻を再読しております。今回は、ついに夏の陣開戦です。 ◼元和元年(1615)4月30日、大坂城軍議 ※すでに惣濠を失った大坂城では、要塞戦の強味を発揮することができない。「人々の口は重かった」(長宗我部盛親談…

『城塞』下巻再読・樫井の戦闘

『城塞』再読(14) 司馬遼太郎の『城塞』下巻を再読しております。今回は、大河ドラマ『真田丸』に先駆けて、大坂夏の陣前哨戦を振り返ります。 ◾元和元年4月25日、徳川方先鋒を務める藤堂高虎隊と井伊直孝隊が、それぞれ淀と伏見を進発する。対する大坂方…

『城塞』下巻再読・家康再征

『城塞』再読(13) 司馬遼太郎『城塞』下巻を再読しております。大河ドラマ『真田丸』に先駆けて、今回は、夏の陣に至るまでの過程を振り返ります。 ◾家康は、自分の寿命がいつまでもつのかということで気の焦りもあり、事を急いでいた。冬ノ陣の和睦直後に…

『城塞』下巻再読・和睦後の幸村

『城塞』再読(12) 司馬遼太郎の『城塞』を再読しております。今回から、ようやく下巻に入ります。 徳川家康にとって冬の陣における講和は、あくまで表向きのことであり、大坂から引き上げるとすぐに大坂方を追い込むべく悪謀をめぐらせているのだが、その…

『城塞』中巻再読・家康の悪謀

『城塞』再読(11) 司馬遼太郎『城塞』中巻を再読しております。今回は、講和会談の経過から講和後の状況まで、家康の悪謀をざっくりと振り返ります。 ◾12月17日、家康、後水尾天皇の仲介を拝辞。 家康からしてみれば、今さら朝廷に出しゃばって欲しく無い…

『城塞』中巻再読・家康大筒作戦

『城塞』再読(10) 司馬遼太郎『城塞』中巻を再読しております。今回は、家康による神経戦と和平交渉をざっくりと振り返っておきます。 大坂冬の陣のこの年は、近年にない厳冬が続き、野陣を張る関東方将士の困苦は筆舌に尽くしがたいものがあったようだ。…