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妖怪 YOKAI
小松和彦監修
角川ソフィア文庫(2015/01/25)
1505-02★★★
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芳年 Yoshitoshi
国芳門下月岡芳年は江戸の浮世絵の伝統を生きた絵師で、「最後の浮世絵師」とも称された。凄惨な画風の血みどろ絵・無惨絵で名をはせ、「血みどろ芳年」の異名で呼ばれたが、精緻な歴史絵・華麗な美人画・端正な役者絵など、その画風は幅広い。妖怪画も数多く描き、師・国芳の武者絵の迫力を受け継ぐ壮年期の『和漢百物語』や、円熟期の作品『月百姿』に描かれた妖怪は大胆にして繊細である。晩年に描かれた『新形三十六怪撰』は、怪異を「神経」が見せる現実と妄想のあわいに表現した比類なき作品である。
『新形三十六怪撰』さぎむすめ
🐱吾輩は、ピンタレスト(Pinterest)で妖怪の画像を集めていて、これまでに250点以上の妖怪画像を集めたのだが、先週から雑多に集まった画像を整理していて、今日までに月岡芳年の『新形三十六怪撰』の整理が完了した。各画像のタイトルを日本語と英語で入力していたら、結構時間がかかってしまった。
『新形三十六怪撰』四ッ谷怪談
🐱月岡芳年は、天保10年(1839)生まれ。幕末から明治前期にかけて活躍した「最後の浮世絵師」である。江戸川乱歩、三島由紀夫、谷崎潤一郎、芥川龍之介がその作品を愛したことでも有名である。「血みどろ芳年」の無惨絵は、本当にグロくて、いかにも乱歩や三島が好みそうな作品である。明治25年(1892)6月9日没。享年53歳。
『新形三十六怪撰』ほたむとうろう(牡丹灯籠)
🐱『新形三十六怪撰』は、明治22年(1889)に刊行開始、芳年没後の明治25年に完結した。後半の作品のうち数点は芳年の版下絵をもとにし彼の門人たちが完成させた。芳年の妖怪画の集大成と云われている。
『新形三十六怪撰』大森彦七道に怪異に逢ふ図
※水面の影が鬼女であることを暗示している。
🐱芳年は、神経衰弱に悩まされた時期もあり、晩年には酒のため身体が蝕まれ再び神経も病んでいたという。『新形三十六怪撰』の「新形」は「神経」に掛けたとも云われている。
『新形三十六怪撰』清玄の霊桜姫を慕ふの図
※清玄の姿は襖のシミのように見える。あるいは、襖のシミが清玄の姿のように見える。
🐱『新形三十六怪撰』の中で、吾輩のお気に入りは、この一枚である。
『新形三十六怪撰』皿やしきお菊の霊
🐱お菊さんの儚さが哀しみを誘う傑作だと思う。こんなに美しいお菊さんは見たことがない。ついでに、『月百姿』の中でのお気に入りの一枚も紹介しよう。夢枕獏の『陰陽師』のファンなら、すぐにピンとくるであろう。
『月百姿』朱雀門の月 博雅三位
妖怪 YOKAI ジャパノロジー・コレクション (角川ソフィア文庫)
- 作者: 小松和彦
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川学芸出版
- 発売日: 2015/01/24
- メディア: 文庫
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🐱こちらには、芳年の他に北斎、国芳、石燕、暁斎、芳幾、鴻山の代表的な作品など、有名な妖怪画がカラーで収録されている。手軽な妖怪画入門書。
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😺★★★★
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📄『新形三十六怪撰』の全画像はこちらで見ることができます。
📄Pinterestは、こんな感じ。
Yoshitoshi Demon in the Night Palace | Palace, Japanese and Japanese prints