2月の読書録05ーーーーーーー
ハッブル宇宙望遠鏡 宇宙の絶景
沼澤茂美・脇屋奈々代
知的生き方文庫・三笠書房(2017/01/10)
1702-05★★★
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🐱ピンタレスト(Pinterest)では、多くの人が宇宙の画像を集めていて、そういう人のボードを覗いてみると、一人で何千点も画像を集めている人も沢山いて、お前らはNASAか、と突っ込みたくなる程である。そういう人たちは他の画像も沢山集めていて全部で何万点も画像をピンしていることが多い。そんなに集めてどうするつもりだと思うのだが、そういう人は集めることが目的と化してしまっているのだろう。吾輩が見た中で最も多かった人は、二十万点も画像をピンしていた。
🐱吾輩もピンタレストを始めた当初から「宇宙」をテーマにしたボードを作って、宇宙関連の画像を集めているのだが、キャプションがいい加減な画像も多くて、中には明らかに間違った説明がしてあるのもあったりして、かなりカオスな状況なので、参考にするために本書を購入した。似たような本は何冊か持っているのだが最新情報が載っているので、つい買ってしまった。
🐱本書は、1990年から27年間にわたってハッブル宇宙望遠鏡が撮り続けた宇宙の様々な画像からテーマごとに注目すべき画像が選ばれている。説明も初歩的で分かりやすい内容になっている。また、ハッブル宇宙望遠鏡の構造や開発史なども盛り込まれていて、悪くない内容だと思う。
🐱ここでは、PinterestとPixabayで見つけた各パートに関係する画像を貼っておこうと思う。2015年にはハッブル宇宙望遠鏡25周年ということで多くのメディアで特集されたし、いずれもよく見かける画像である。
(本書に収録されていない画像もあります)
Hubble Space Telescope
Part1:私たちの太陽系
New Hubble Portrait of Mars | Hubble space telescope, Space telescope and Polar caps
火星(2016年5月12日)
New Horizons, IAU Set Pluto Naming Themes | Moon, Spacecraft and Spaces
⭐こちらは探査機ニュー・ホライズンズがとらえた冥王星(右)と衛星カロン(左)
Part2:系外惑星
⭐これまでに、3500個程の系外惑星が発見されているという。ハッブル宇宙望遠鏡は、いくつかの系外惑星の直接撮影に成功している。
⭐本書にはTRAPPIST-1の想像図も載っている。下の図は、22日にNASAが発表した時のもの。太陽系から39光年離れた赤色矮星TRAPPIST-1の周りに、地球に似た惑星が少なくとも7個あるのを発見したという。
📄NASA — Largest Batch of Earth-size, Habitable Zone...
📄【解説】地球に似た7惑星を発見、生命に理想的 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト
Part3:銀河系天体
ハッブル望遠鏡 50の傑作画像 その1 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト
M16の星形成領域
⭐この画像は、ハッブル宇宙望遠鏡といえばこの画像というくらいよく見かける。
ミスティック・マウンテン
⭐イータ・カリーナ星雲の中にある暗黒星雲。原始星から吹き出す高速ジェットが見られる。
ハッブル望遠鏡 50の傑作画像 その2 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト
らせん星雲 NGC7293
⭐これは惑星状星雲。太陽程度の重さの星が死の間際にガスを噴出し形成される星雲を惑星状星雲という。このらせん星雲の中心には白色矮星が見える。
ハッブル望遠鏡 50の傑作画像 その1 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト
キャッツアイ星雲 NGC6543
⭐中心星が二重星の惑星状星雲
Part4:銀河の眺望
Pin by Ten Gu on SPACE | Pinterest | Spaces
M101
⭐直径17万光年で天の川銀河系(直径10万光年)よりずっと大きい。伴銀河との重力の相互作用によって、渦巻の形が非対称。
M82
⭐可視光で撮影された銀河の画像に、高温の水素ガスの分布(赤)を重ねたもの。従って、肉眼でこのように見えるわけではない。六億年前に、二つの銀河が次々と接近遭遇した結果、M82では大量の重くて寿命の短い星が形成され、次々と超新星爆発を起こしてガスを吹き飛ばしている。
子持ち銀河 M51
⭐二つの銀河が互いに重力にとらえられて接近遭遇を繰り返している。その結果、右の小さい方は形が歪んでしまっている。大きい方は星形成が活発化している(赤い部分)。これらは、やがて合体すると考えられている。
ハッブル望遠鏡 50の傑作画像 その5 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト
ホーグ天体(HOAG)
⭐20~30億年前、1つの銀河の近くをもう1つの銀河が通過してバラバラに崩壊した。リングはその破片でできていると考えられる。
🔘天の川銀河とM31の衝突
⭐37億5千万年後。天の川に接近するM31(アンドロメダ大銀河)の想像図。
⭐40億年後、2つの銀河の衝突が始まると予想される。
Part5:宇宙の彼方
ステファンの五つ子 HCG92
⭐コンパクト銀河群の1つ。左上の青い銀河はたまたま同じ方向に見えているだけで、距離が異なる。
宇宙のスマイル☺
⭐黄色い2つの銀河と、その重力で弓状に歪められた後方の銀河がスマイル☺に見えることで有名な画像。
ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールド(HUDF)2014
⭐600時間かけて撮影された画像。赤外線、可視光、紫外線で撮影した画像を重ね合わせている。50億~100億年前の星形成が最も盛んだった頃の情報が含まれている。ここには、様々な距離にある銀河が1万個以上写っている。
Part6:宇宙の謎を解く
あり得ないほど塵の多い初期銀河を発見 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト
巨大銀河団・エイベル1689
⭐この中にビッグバンから7億年後に形成された小型の銀河A1689-ZD1があるのだが、あり得ないほど塵が多いという。また、この銀河団の重力レンズ効果から銀河が存在するところだけでなく、存在しないところにもダークマターが分布することが分かっている。
Part7:ハッブル宇宙望遠鏡
⭐このパートでは、ハッブル宇宙望遠鏡開発秘話や次期宇宙望遠鏡計画などが紹介されている。次期宇宙望遠鏡計画はコストの問題で難航しているようだ。そのような事情もあって、ハッブル宇宙望遠鏡は運用期間が大幅に超えた現在でも現役を続行しなければならないようだ。
ハッブル宇宙望遠鏡 宇宙の絶景: 太陽系から、130億光年離れた彼方の銀河まで (知的生きかた文庫)
- 作者: 沼澤茂美,脇屋奈々代
- 出版社/メーカー: 三笠書房
- 発売日: 2016/12/22
- メディア: 文庫
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