森の踏切番日記

ただのグダグダな日記です/2018年4月からはマイクラ日記をつけています/スマホでのんびりしたサバイバル生活をしています/面倒くさいことは基本しません

まとめ読み『デート・ア・ライブ』(13)~(15)

9月の読書録12~14ーーーーー

 デート・ア・ライブ(13)~(15)

 橘公司

 ファンタジア文庫

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〈HOSHIMIYA Mukuro〉

 

 

今年の7月に『デート・ア・ライブ』の第1巻から第12巻までをまとめて読んだのだが、8月に最新巻が出たので、残りも一気に読んでしまうことにした。そこで、9月に『アンコール』の方をまとめて読んで、それに合わせて、刊行順に本編の第13巻から第15巻までを読んだ。今月、ようやく第16巻と最新巻の第17巻を読み終えた。こちらの感想を書くのは、もう少し後になりそうだ。

 

 

 

デート・ア・ライブ (13) 二亜クリエイション (ファンタジア文庫)

 

🔘デート・ア・ライブ (13) 二亜クリエイション (ファンタジア文庫)

(2015/10/25)★★☆

 

今回登場する精霊の二亜は、時崎狂三が探し求めていた二番目の精霊で、長らくDEMインダストリーに監禁されていた。前巻で移送途中に、偶然にも五河士道が助ける形になって、自由の身となった。

二亜はアキバ系のかなり濃いキャラで、精霊の中では、明らかに異質な存在だ。精霊も二亜で十人目になるが、キャラをかぶらないようにしなければならないので、キャラ設定もだんだんと難しくなる。二亜のキャラは、作者にしてみれば身近で描きやすいキャラなのだろう。これまでのキャラよりもリアリティがあるというか、少しナマナマし過ぎないか。この手のキャラが出てくると、そろそろ煮詰まってきたかと思ってしまう。

このシリーズの問題点は、レギュラーの登場人物が増えるに従って、それぞれのキャラの存在感がそれだけ薄くなることにある。キャラの設定が単純で言動がパターン化されている上に、それぞれのターンが簡略化されて、マンネリ化しているように思う。

今回、一番地味なネガティブキャラの七罪に新たな特技が発覚する。それぞれの精霊の見せ場を作らなければならないので大変だ。七罪のネガティブキャラは結構気に入っているので、出番が増えるのは喜ばしい。

今回のエピソードは、ありがち過ぎないか。アマいしヌルいし。こういうのは、もう飽き飽きしているので読んでいて退屈した。シリーズ当初と比べるとずいぶん方向性が変わってしまったものだ。これは、既定路線なのか、流れでこうなったのか、こじんまりとまとまってしまったという印象。

敵対勢力DEMインダストリーの目的も徐々に明らかになりつつあり、ボスキャラ(アイザック・ウェストコット)がパワーアップ。DEMがデウス・エクス・マキナDeus Ex Machina:機械仕掛けの神)の略であることが明らかになる。8月に『アスラクライン』を読み返したところなので、少し笑った。元は演劇用語なのだが、たまに変なところで見かける。

と思ったら、第3巻でDEMに「デウス・エクス・マキナ」とルビがついていることに後で気がついた。すっかり忘れていたのな。f(^_^)

最後に、二亜から物語の根幹にかかわる爆弾発言があり、次巻へと続く。

 

 

 

デート・ア・ライブ (14) 六喰プラネット (ファンタジア文庫)

 

🔘デート・ア・ライブ (14) 六喰プラネット (ファンタジア文庫)

(2016/03/25)★★☆

 

前回は年末のエピソードで、初日の出の場面で終わった。今回は初もうでの場面から始まる。二亜は、二番目に古い精霊だけあって実年齢はかなり上だし、オタクキャラは破壊力抜群だし、精霊の中では確実に浮いている。こういう強烈なキャラを投入すると、登場人物間のバランスが崩れてしまいかねない。

二亜もまた、人間が精霊化した存在だということで、精霊はもともとは皆人間だったのではないかという疑惑が持ち上がる。そろそろ精霊の謎が明らかになりそうな気配。

敵対勢力がパワーアップしたのを受けて〈フラクシナス〉もグレードアップし〈フラクシナスEX〉となり、搭載AIにも対話機能が追加されたが、今どきのSFでは対話型AIは当然だろう。導入が遅いくらいである。

それにしても、敵対勢力のボスキャラが手に入れた全知の魔王〈神蝕篇帙=ベルゼバブ〉は不完全とはいえ厄介な能力だ。これがあるといろいろ楽しめそうだ。欲しいなあ、これ。物理的な破壊力よりも、全知の情報収集能力を敵のボスキャラに持たせるところは今どきの感覚だなと思った。 

今回の精霊は、天使の能力で自らの心を閉ざして宇宙空間を漂う超引きこもり少女・六喰。こちらも厄介だ。彼女は、自らの心に文字通り「鍵」をかけて、喜怒哀楽の情動を封印してしまっている。

一般に「心を閉ざす」というのは、人間関係を拒絶することだろう。本当に心に「鍵」をかけてしまうと心の機能が停止して意識を失ってしまう。そうなれば、動物のように本能的に生きるか、ロボットのように機械的に生きるしかなくなる。彼女の場合は、感情に「鍵」をかけたという方が正確だろう。そして、誰とも交わらない宇宙空間に引きこもっているのだ。彼女が過去に大きく心を傷つけられる出来事に遭遇しただろうことは容易に想像できる。

後半の緊迫した展開から、〈ベルゼバブ〉の能力によって物語空間に閉じ込められた士道と精霊たちが童話などのキャラに扮してドタバタを繰り広げる「遅延」がある。よくあるパターンだが、まあまあ微笑ましかった。ある程度効果はあったと思う。

しかし、自分を美化したマンガのキャラと対面するなどという羞恥プレイによく耐えられるものだ。士道は、よほど無神経なのか鈍感なのか。正直言って、ちょっとキモい。

 

 

 

デート・ア・ライブ15 六喰ファミリー (ファンタジア文庫)

 

🔘デート・ア・ライブ15 六喰ファミリー (ファンタジア文庫)

(2016/09/25)★★☆

 

これまでに登場した精霊のうち、最初の方の十香、四糸乃、八舞姉妹は純粋な精霊として登場したが、士道の義妹の琴里、クラスメイトの折紙、アイドルの美九、マンガ家の二亜は人間が精霊化している。七罪については人間だった過去は語られていないので精霊の方に入るか。狂三については16巻・17巻で触れることにする。今回、六喰も人間が精霊化したことが明らかになる。

美九の場合は男性不信、七罪の場合はコンプレックス、二亜の場合は人間不信が背景にあった。そういった彼女たちをデレさせるのは、恋愛というよりも人間性の問題になってくる。

このシリーズの性格上、物語が進行するにつれてハーレム化するのは必然だけれど、恋愛絡みだと修羅場にならなければ嘘になる。士道と彼女たちのつながりが人間としての信頼に基づいている限り、士道は誰にも手を出せそうにない。必然的にハーレムの主は案外つまらないものだということになる。

六喰の場合は、幼少期の家族の愛情を独り占めにしたいという独占欲が肥大した結果、ささいな出来事を深刻に受けとめ過ぎて心を閉ざしてしまったという感じだ。だから、彼女の心は開かれても子供のままで、独占的に愛情を求めてしまう。キャラとしては、子供っぽいし、個性的ではないし、魅力はあまり感じない。

天使の能力で閉ざされた六喰の心は、天使の能力で開くしかないということで、十香たちの協力で六喰の心の「鍵」を開くことに成功したまではよかったのだけれど、心を開いた六喰は士道を独占するために、天使の能力を使って、士道を知る人々から士道に関する記憶に「鍵」をかけてしまう。

精霊たちやクラスメイトたちから不審者扱いされ途方に暮れる士道。士道を独占できてご機嫌な六喰。この危機を救ったのは休眠していたあのキャラだったという展開は、無理矢理な感じがしないではないけど、面白かった。この休眠キャラの普通さは、逆に新鮮で好感が持てる。『長門有希ちゃんの消失』みたいな雰囲気があると思う。

十香の反転体も久し振りに登場。十香は反転体の方がキャラもイラストも数段良いように思う。十香の反転体が主役のダーク・ファンタジーとか読んでみたい。十香の反転体は、精霊の根源である霊結晶(セフイラ)について、重要な情報を明らかにする。

このシリーズは、10巻・11巻がひとつの山になっていて、12巻から15巻まではダレ場がずっと続いている感じだ。シリーズ物は情報を小出しにするのが鉄則だけれど、つなぎのエピソードに魅力がなければ間が持たない。部分的に面白いところはあるけれども、小説としての全体の出来がよいとは思わない。この巻のラストで時崎狂三が再登場して、ようやく話が動いてくれそうだ。

 

 


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〈Dark Tohka〉

 

 

 

📄この記事の続き

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