『道草』再読(2)

「まだ中々片付きやしないよ」 健三は留学から帰って来た直後の頃を回想する。(2年前になる) 妻の父は内閣が変わった煽りを受けて失職した上に相場に手を出し失敗し貯蓄を使い果たしていた。 娘は実家の離れで切り詰めた暮らしをしていたが、彼には娘を援助する余力が既に無かった。 帰国直後の健三自身も金が無く友人…