森の踏切番日記

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池谷裕二『記憶力を強くする』再読(3)記憶力を鍛えるコツまとめ

9月の読書録03ーーーーーーー

 

記憶力を強くする―最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方 (ブルーバックス)
 

 
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💡池谷裕二『記憶力を強くする』再読(2)脳は曖昧に乱雑に記憶する - 森の踏切番日記の続き

 

 

💡論理的な記憶力を鍛えよう💡

ここでは、本書に紹介されている論理的な記憶力を鍛える方法をメモしておこうと思います。

 

 

💮覚えたい対象に興味を持とう

海馬は、初めてのものに遭遇したり興味をもって対象をとらえたときに活動的になります。興味があることは覚えやすいということは普段からよく経験することですが、それが科学的に証明されたということです。

逆に、飽きたり冷めたりすると、海馬は不活発になります。年をとると、生きることに慣れてしまって感動も薄くなりがちですが、そうなると記憶力はてきめんに低下します。加齢とともに記憶力が落ちたように錯覚してしまう最大の原因はここにあるのです。

刺激の多い環境で生活すると、記憶に必要な神経細胞が増加します。その結果、記憶力は増強されます。そうすると、さらに多くの興味を持つことができ、好循環を生みます。つまり、脳は使えば使うほど、さらに使えるようになるのです

逆に、使わないと脳の機能は低下する一方です。脳にとって必要なのは、何にでも興味をもつ好奇心と探究心なのです。

 

喜怒哀楽などの感情の動きを「情動」といいます。情動は海馬のとなりにある「扁桃体」で生まれます。情動が絡む事柄は記憶されやすいことが分かっています。感情が動くから記憶され思い出となるわけです。つまり、情動を豊かにすると、記憶力が増すことになります。

恐怖も情動です。危険に遭遇すると恐怖を感じ強く記憶します。次に同じような状況になったときに危険を回避するために必要だからです。これは人間が進化する前の下等動物時代から持っている性質です。

こうした不安や恐怖といった負の感情を利用して記憶力を一時的に増強させるという方法もあるにはありますが、これは非常手段でしょう。というのは、記憶力はストレスに弱いからです。

 

適度な刺激と緊張感の持続が効率のよい学習をするコツなのです。

私はゲーム性を持ち込むことが多かったです。

 

 

💮記憶力VSストレス

記憶力にとってストレスは天敵ですが、脳はストレスを学習することができます。脳が現状にストレスを感じる必要がないと記憶すれば、つまり、現状に慣れてしまえば、ストレスは軽減されます。これも海馬の働きです。

記憶力が増強されればストレスが解消されます。ストレスにとっても記憶力は天敵なのです。

普段から記憶力を鍛えておけば、ストレスからのダメージも最小限に抑えることができます。

興味のあることは自己にとって好ましいことです。好ましいことをたくさん記憶して、ストレスに負けない強い脳を作りましょう。

 

 

💮よく理解して覚えよう

記憶とは、神経回路網(ニューラルネットワーク)に新たな神経回路のパターンを作りあげることであるといえます(前の記事を参照のこと)。そのしくみには「連合性」という性質があります。

この性質があるので、ものごとを互いに関連づければ覚えやすくなります。つまり、対象をよく理解した方が覚えやすいということです。

脳は理解していないことはうまく覚えられません。ものごとを理解して初めてしっかりと記憶に刻むことができるのです。脳は合理的にできています。無意味なことに余分なエネルギーは使いません。意味のない文字列や数列はなかなか覚えることができませんし、覚えてもすぐに忘れてしまいます。

 

 

💮法則性を見つけよう

たとえば、下の15桁の数を覚えてみて下さい。

 685840734641020

これは、脳にとってはムチャブリです。実は、上の数には隠れた法則性があります。それに気がつけば簡単に覚えることができます。

 

 

💮語呂合わせは有効な記憶法です

よくある例として、円周率πの語呂合わせがあります。

 3.14159265358979…

これは「サンイシイコクニムゴンサンゴヤクナク」と覚えたものです。つまり、「産医師異国に無言産後厄無く」 となります。(「無言」は「向こう」とも)

先程の15桁の数ですが、この円周率と足し合わせるとそれぞれの桁が9になります。つまり、円周率を覚えていれば、上の15桁の数も思い出せるわけです。パスワードなどに使えます。

 


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語呂合わせにもコツがあります。ただ見て覚えるのではなくて、声に出して覚えることです。なぜならば、視覚からの情報よりも聴覚からの情報の方が記憶に残りやすいからです。聴覚の方がより原始的な知覚なので耳の記憶の方が残りやすいのです。

お経に独特の節があるのも、その方が耳で覚えやすいからでしょう。文字がない時代には、知識は耳で覚えたものです。

また、言葉の意味を具体的にイメージすることも大切です。語呂合わせの意味している状況をなるべく具体的に想像するとよいです。

アインシュタインさんも言うたはります。


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「想像は知識よりも重要である」

 

 

💮できるだけ多くのことと関連づけよう

すでにある知識と覚えるべき情報を結びつけることを「精緻化」といいます。語呂合わせも一種の精緻化です。

「精緻化リハーサル」は、たとえば新しい単語を、知っているいくつかの単語とひとつのイメージとして組み合わせて覚えるようなことでしょうか。

「英単語はセンテンスで覚えるべし」と、英語の先生によく言われたものです。

「維持リハーサル」は、たとえば電話番号を何度も唱えて機械的に覚えるようなことでしょうか。

「精緻化リハーサル」の方が理解が深まり、長期記憶に移行しやすくなります。「維持リハーサル」は、一時的な記憶には有効です。

私は、「薔薇」を「草の下に人が二人土の中で回っている。草の下は微妙の微」と覚えています。これも一種の精緻化です。

 

 

味や匂いや触感と関連づけて覚えるのも有効だと思います。五感をフル活用しましょう。振りをつけて覚えるのも有効だと思います。全身をフル活用しましょう。

私の経験としては、体の部位や身近なものと結びつけたりストーリー化して覚える連想記憶法はかなり効果的な記憶法です。

 

 

💮自分の経験と結びつけよう

エピソード記憶になりやすいからです。意味記憶よりもエピソード記憶の方が忘れにくいですし、思い出しやすいです。

 

 

💮覚えた知識(意味記憶)を人に説明してみよう

そうすることでエピソード記憶になりやすいです。また、頭の中が整理されて、理解が深まります。

 

 

ただし、エピソード記憶は次第に意味記憶に置き換えられてしまいます。歳をとると脳には意味記憶の割合が増えていきます。これが、加齢とともに度忘れが増える原因です。

意味記憶は何らかの「きっかけ」がないと思い出せません。脳の中には、きちんと記憶が保存されていますが、思い出せない記憶は、鍵を無くした引き出しの中の宝物のようなものです。

 

 

💮知識を詰め込むなら当日の早朝に

やむを得ず知識を詰め込まなければならないときは、知識が必要な四時間前までに詰め込む方が覚えている確率が高いです。一日経つと半分以上忘れてしまいます。二日経つと四分の三以上忘れてしまいます。また、徹夜の一夜漬けは逆効果です。

 

 

💮無理に記憶を詰め込むのは逆効果

たとえば英単語のような類似した情報を無理に詰め込むと、新しい記憶が古い記憶を妨げる確率が高まります。また、新しい記憶が曖昧になり、混同や勘違いをおこすことがあります。これを「記憶の干渉」といいます。

 

 

💮短期間の復習がとっても大切

たとえば英単語を30個暗記するとき、一度覚えて何割か忘れても、もう一度覚えなおすと、覚えてる単語の割合が増えるものです。

脳に入った情報は海馬で一時的に保存されます。海馬で記憶が整理整頓されて記憶すべき重要な情報だけが側頭葉に送られます。そうなると長期記憶になります。

海馬に記憶が保管されている期間は長くても一ヶ月程度です。ですから、その間に何回か復習をして、この情報は記憶すべき重要な情報だと海馬に知らせるのです。

(前の前の記事を参照のこと)

 

 

💮十分に睡眠をとり夢を見よう

夢は、昼間あったことを思いおこす行為です。昼間経験したことを再生して、記憶を反芻して整理しているのです。(この過程は目が覚めるとほとんど覚えていません)

夢は脳の情報を整え、記憶を強化する必須の過程なのです。

つまり、睡眠はものごとをしっかりと覚えるための大切な行為なのです。

何か新しい知識や技法を身につけるためには、覚えたその日に6時間以上眠ることが欠かせないという研究結果もあるそうです。

 


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💮後悔せずに反省しよう

脳は失敗を繰り返しながら記憶を作るようにできています。ですから、人間には失敗がつきものなのです。気にすることはありません。失敗を次に活かせば良いのです。

 

 

💮急がば回れ

脳には、手順をきちんと踏んだ方がより早く覚えられるという性質があります。何かを習得するとき、最初から難度の高いことにチャレンジするよりも、基礎から少しずつ難度を上げていく方が結果的には早く習得できる確率が高いです。

 

 

💮まずは、大ざっぱにとらえよう

まずは大局を理解しておくことが大切です。初めは細部を気にせずに、おおまかに理解しましょう。細かいことはその後で少しずつ覚えていけばよいのです。

アイドルグループも、最初はどの子も同じように見えるものです。興味を持てば区別がつくようになります。私は興味がないので指原莉乃しか分かりません。

 

 

💮記憶には相乗効果があります

ある事象の理解の仕方を覚えると、よく似た他の事象に対する理解の仕方までが上達します。ここでも記憶の好循環がみられます。

スポーツが得意な人は、他のスポーツもすぐにマスターできます。英語が得意な人は、他の言語のマスターも容易にできます。数学の解法をマスターすれば、似たような未知の問題に応用がききます。

つまり、脳が記憶するとき、「事象」を記憶するだけではなく、「理解の仕方」も記憶しているのです。ひとつのことを記憶すれば、ほかのことの法則性を見出す能力も身につくのです。

したがって、脳は覚えれば覚えるほど、さらに性能が向上するのです。

 

 

💮得意科目(種目)をひとつ作ろう

上のことから分かるように、ある科目(や種目)をマスターすると、他の科目(や種目)の習得も容易になります。どの科目(や種目)も均等に勉強(練習)するよりも、好きな科目(や種目)を重点的に勉強(練習)する方が長い目で見れば効果的です。

 

 

💮手続き記憶が天才を作る?

「理解の仕方」を覚えるということは、「手続き記憶」にあたります。手続き記憶は記憶の最下層に位置する原始的な記憶なので、もっとも忘れにくい記憶ということになります。

手続き記憶は潜在記憶なので、覚えることも思い出すことも無意識になされます。事象の「理解の仕方」も無意識に記憶されます。

ゲームのルールや自転車の乗り方は、手続き記憶なので一度覚えてしまえば、必要なときにはすぐに思い出すことができます。

一方、非常に強固な記憶なので、たとえばスポーツで癖のあるフォームを一度身につけてしまうとなかなか修正することはできません。

将棋や囲碁のプロ棋士は、エピソード記憶と手続き記憶を駆使して棋譜を覚えています。

「天才的」といわれる能力は、一般的に、潜在的な手続き記憶が基盤になっています。

 

記憶の相乗効果には、一般的に「累積効果」があります。つまり、学習の効果は指数関数的なカーブを描いて上昇します。

(2, 4, 8, 16, 32, 64, 128, 256, 512, 1024, 2048, 4096 … のような感じ)

ですから、最初はなかなか効果が目に見えてきません。しかし、そこを通り抜けると、グンと伸びていくわけです。

天才と凡人の差は大きいですが、天才どおしの能力差はさらに大きいことも分かります。どのような分野でも、レベルが高くなればなるほど、各個人の能力差が広がっていきます。

 

上のように、相乗効果が現れるには多少時間がかかります。結局のところ、何かを習得するとき、もっとも大切なことは「継続は力なり」ということになります。なかなか結果が現れないからといって、すぐにあきらめてはいけません。

 


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💮結局は「やる気」の問題

以上のことから、記憶力を増強させるためには、

「好奇心」と「努力」と「忍耐力」、そして、ちょっとした「コツ」が重要である

というように、本書は結論づけています。

結局は「やる気」がなければ記憶力は増強されません。

 

なんだ、当たり前のことじゃないか、という気もしますが、要するに、その「当たり前のこと」が科学的に正しいと裏付けられたということです。脳はそのようにできているということです。ですから、コツコツとやっていくしかありません。

人類は、大昔からちゃんと気づいておりました。

 学問に王道はない  

 

 


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🙀やる気にゃ~い