八月の読書録09ーーーーーーー
日本の歴史16 江戸幕府
北島正元(小学館)
再読1608-09★★★★
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🐱全32巻のうちの1巻で1975年初版。自分自身の日本史の知識の基本になっているので、たまに読み返す。今回再読したのは、現在新聞連載中の『家康』(安部龍太郎作)を絶賛愛読中のため。この連載は今年の1月21日、桶狭間の戦いの直前、家康19才(満17才)の年から始まり、今日現在、信長に従って京都をうろうろしている。長政や秀吉や光秀や義昭がようやく登場したところである。姉川の戦いはまだ始まっていない。家康はまだ29才(満27才)である。駿・遠における信玄との小競り合いが詳しく描かれていたのが興味深かった。長い連載になりそうだ。
🐱本書は、ほぼ徳川家康の一代記とも云える内容で、松平氏の出自の考察から始まり、家康生誕までの松平氏の国人としての歩み、家康の人質時代、戦国大名としての歩み、領国経営の実体、江戸城と江戸の町づくり、関ケ原の決戦(ここで半分)、江戸開府、民衆と文化、大御所時代、大坂の陣、家康の死と東照大権現の真相までを考察している。40年前の本であるし、この時代の研究もずいぶん進んでいると思われるが、基本的な事は本書でも問題は無いだろう。
🐱今回特に注目したのは、地頭とか国人とか国衆とか給人とか、よく似た用語の意味の違い。地頭は鎌倉時代の用語だが戦国時代の文書にも出てきたりして素人にはややこしいのだ。それでちょっと調べてみたのだが、鎌倉時代の地頭が領地に土着し南北朝時代には在地領主層となり室町時代には国人領主となり独立領主化し、その中から勢いのある上層の領主が戦国大名になり、中層下層の国人領主は戦国大名の家臣団と化していったようだ。昭和時代の歴史事典では「国人衆」と「国人」と「国衆」は同じ意味となっていて「在地に居住した惣領を中心に独自の勢力を持つ武士」ということになる。給人は時代によって意味が異なるようで、本書の時代では、国人領主の家臣が知行地を与えられた場合に給人と呼んだようで、江戸時代になると給人は知行地とは離されてしまうことになる。
😾ところが近年は事情が少し変わったようで、最近読んだ『真田四代と信繁』(丸島和洋著)によると、戦国時代において、戦国大名に従う中層の国人領主を室町時代の国人領主と区別して「国衆」と呼ぶ人が増えているそうだ。「戦国領主」と呼ぶ人もいるそうで、やっぱりややこしい。この「国衆」は領国内の自治権を保持した自治領主であるので戦国大名の家臣団の給人とは分けて考えなければならないということだろう。真田氏がこの「国衆」にあたるということらしい。
徳川家康三方ヶ原戦役画像
関連図書ーーーーーーーーーー
真田四代と信繁
平凡社新書(2015/11/13)
1605-02★★★☆
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真田三代(上下)
文春文庫(2014/11/10:2011)
1604-08★★★☆
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図説真田幸村がよくわかる本
「大人のための歴史」研究会
知的生きかた文庫(2015/10/10)
1605-05★★★
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😽『真田丸』は全然見てないんだからね。🐥
📄関連日記