森の踏切番日記

ただのグダグダな日記です/2018年4月からはマイクラ日記をつけています/スマホでのんびりしたサバイバル生活をしています/面倒くさいことは基本しません

鹿児島でブラタモリ(3/3)

ブラタモリ #98鹿児島(3/3)

~なぜ鹿児島は明治維新の主役となれた?


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鹿児島でブラタモリ(2/3) - 森の踏切番日記の続き

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路面電車に乗り込む。

 

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線路に?


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線路のカーブの正体とは?


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電車を降りて歩いていくと石灯籠を発見。


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城下町を広げました。


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1609年(慶長14)薩摩藩琉球王国を征服、事実上支配下に置く。

 

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中国(明・清)は朝貢貿易が建前だったから、薩摩藩が直接清と密貿易は出来なかったのね。清は琉球王国の背後に薩摩藩が居ることを知ってたけど。


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他の藩は財政難で苦しんでたのにね。


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天文館にやって来ました。


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タモリ「全然覚えていない」


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懐かしい。飲んだなあ。


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鳥刺し食べ過ぎて気分悪くなったなあ。


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もとからあった場所。

 

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歩いてみると、高まりがあったり下がったり。


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ちゃっぷりん


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また高まりがあったり。


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タモリ「川とか関係あるのかな」


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だから、藩士の城下集住を貫徹せずに外城制度を採用したということです。鎌倉時代から続く伝統的なものもあったようです。

 

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それでも城下に5万人以上いたということです。

江戸時代の全人口に対する武家の比率は約7% と言われているので、薩摩藩が突出していたことが分かります。明治初めのデータでは、鹿児島藩(旧薩摩藩)の人口約77万人(琉球を除く)に対して、士族が約19万人、足軽以下が6万人弱となっています。これは家族を含む人数です。ちなみに、西南戦争で西郷軍の戦力は約3万人でした。


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続きましては加治屋町へ。


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大河ドラマ「西郷どん」の時代考証担当


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西郷隆盛誕生地


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旧暦文政10年12月7日、西暦1828年1月23日 (水) 生まれ。


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そうですね。😮


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没年月日は、1877年 (明治10) 9月24日 (月)。


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犬15匹


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狩猟のための猟犬な。


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なむなむ。


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たまたまね。😮


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リアル西郷どん。


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隆盛ー菊次郎ー隆泰ー隆文

 


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最も西郷隆盛に似ていると言われている肥後直熊筆の「西郷隆盛像」(黎明館蔵)です。さすが雰囲気が似たはりますなあ。

 


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記念撮影


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先生不満。


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NHK「いろいろ事情が…」


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仲良しだったのにねえ。


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西郷隆盛(1828-1877)軍人・政治家、西南戦争で自決。

吉井友実(1828-1891)官僚。

大久保利通(1830-1878)官僚・政治家、暗殺。

村田新八(1836-1877)政治家、西南戦争で西郷軍に参加、自決。

篠原国幹(1837-1877)陸軍軍人、西南戦争で西郷軍に参加、戦死。

大山巌(1842-1916)陸軍軍人。

東郷平八郎(1848-1934)海軍軍人。

 


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郷中教育


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それだけかなw


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シラス台地で足腰を鍛えたとな。


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仮想敵は徳川ですから。


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関ヶ原の恨みを忘れずにね。


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ということは、薩摩藩では江戸時代の間もずっと戦国時代が続いていたということか。


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それが今回の結論でした。

 

 

次回は

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🌋次の記事へと続きます

 



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ごめん、見てない。



 

 

 

鹿児島でブラタモリ(2/3)

ブラタモリ #98鹿児島(2/3)

~なぜ鹿児島は明治維新の主役となれた?


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鹿児島でブラタモリ(1/3) - 森の踏切番日記の続き

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恒例のカルデラの説明


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草彅「この火山の大爆発で噴き出したのが」


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巨大な噴煙柱が自重を支えきれずに崩壊し、噴煙柱を構成していた火山灰や軽石、岩片が地表を高速で流れるのが巨大火砕流


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この巨大火砕流を「入戸火砕流」というそうな。

東京ドーム12億個て、ようわからんけど、200㎦だそうな。これは、一辺6km弱の立方体になります。鹿児島県の全面積が9132㎢だそうなので、鹿児島県全体に一様に積もったとすると、高さ22mになります。鹿児島市の面積は547㎢だそうなので、鹿児島市に全部集めたら、高さ365mになります。

この噴火で同時に噴出した火山灰(姶良Tn)は、東は東北地方から太平洋沖に、北は朝鮮半島まで飛散したそうな。


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草彅「シラスなんです」


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山地の斜面では比較的薄く、山地内の谷では厚く谷自体を埋め尽くすように堆積しているそうな。


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桜島火山は、1914年の大正噴火以来の大噴火を起こす時期に入ったことを警戒する必要があるという火山学者の意見もあります。


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生シラス


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粉々。


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すごく軟らかい。


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草彅「あの台地と崖をつくった理由なんです」


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先生「表面の風化が早い」

 

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細かくいうと、火砕流の一次シラスの上に、洪水堆積物の二次シラスが堆積して平坦になったそうな。


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草彅「長い年月をかけて垂直に侵食」


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草彅「このようにして生まれたシラス台地は」


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地形としては比較的新しいので、侵食がまだ進んでいないから、台地が多いという見方もあります。


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広範囲に広がるシラス台地こそ鶴丸城無防備でも大丈夫な理由だった?


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シラス台地の上にお城マークがたくさん。


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外城は113郷あったとか。


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近江「つくりすぎなくらい」


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外城がたくさんあった薩摩藩独特の理由が他にもあります。後で出てくるかな?


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2億9000万年の重み


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崖。


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そうそう。


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懐かしいネタ。

 

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タモリ「水はけ悪いのかな」


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タモリ「水が出てますね!」


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草彅「それは山の麓から」


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そこで下の方の岩を見てみると…


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タモリさんが立っている場所には…


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泥岩層がありました。


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二つに重なった地層が出来ました。


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水を通しにくい泥岩層にぶつかり、


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湧き出てくるんです。


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編集の都合で放送とは順番を変えました。

 

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これはどうも。


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再び生シラス

 

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シラスは空隙が多く水を浸透させやすい。


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なかなか下には出てこない。


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先生はシラスの味方。


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それが鹿児島の町づくり


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次の記事へと続きます

 

 


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📄参考図書

◾『日本列島100万年史』山崎晴雄・久保純子講談社ブルーバックス

👉南海トラフ大地震が起きるしくみ 『日本列島100万年史』を読む(5)中国・四国・九州 - 森の踏切番日記

◾『地学ノススメ』蒲田浩毅(講談社ブルーバックス

👉鎌田浩毅先生の『地学ノススメ』は現代日本人の必修科目(3)大量絶滅/巨大地震/熊本地震/破局噴火 - 森の踏切番日記

 

 

 

 

 

鹿児島でブラタモリ(1/3)

ブラタモリ #98鹿児島

~なぜ鹿児島は明治維新の主役となれた?


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ニセ薩摩隼人タモどん

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タモリ「今回は鹿児島に来ています」


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久しぶりのブラタモリ


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ドーン!って。


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タモリさんお得意の鹿児島弁ネタ。


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以前、鹿児島の知り合いの家に遊びに行った時、


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二日目には鹿児島弁のイントネーションが移ってしまったことがありました。


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鹿児島弁、結構クセになる。


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 タモリさんの鹿児島弁ネタ、久し振りに聞いた。


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なるほどね。


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今回の案内人


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なんか強引な展開の予感が…

 

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島津家は、摂関家の一つ近衛家の所領・島津荘(薩摩、大隅、日向に広大な地積を有した)に荘官として補任されていた初代惟宗忠久が、源頼朝によって島津荘の下司職(総地頭職)に任じられて以来。


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島津走った。


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それは言い過ぎじゃね?


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明治変革の原動力に。


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今日は鹿児島でブラタモリ


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鶴丸城の跡。


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近江「建物残ってましたっけ?」

 

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鶴丸城は1874年(明治7)焼失。

 

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堀の深さは80cmくらい。


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わりと小さな堀。


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西南戦争の弾丸の痕。ボコボコ。


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石垣の高さも低め。


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熊本城の3分の1ほど。


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堀からの距離も短い。


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あっさり。熊本城とは大違い。


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鹿児島県歴史資料センター黎明館


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本丸跡。堀からは僅か60mしかないとな。

 

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これですか。

 
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鶴丸城1873年以前の写真)

 

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鹿児島はシロアリ被害も大変だしなあ。

 

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行ってみましょう。


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突き当たりました。


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上まで登ってみましょう。


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タモリ「ここから見ると近いね」


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下を見ると崖。


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岐阜城を思い出すなあ。


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曲輪ね。


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鶴丸城は、城としては中世的というか戦国時代的な古いタイプの城だったということかな。


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この城山だったんです。


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生まれたんでしょう?


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地層に詳しい先生。


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先生はタモリさんと同じ福岡県出身。


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近江(え?)


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(^_^;)


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先生勘違いしてた。


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シラスというやつ。


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お約束ね。


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さすがタモリさん。


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近江(???)


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どこから来た?


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桜島じゃない。


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姶良カルデラ


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なんですよ。


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この下に巨大なマグマだまりがあるんですよ。


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近江(💡)


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近江(🎵)


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成長して卒業していくのね😿

 


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次の記事へと続きます

 


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😽成長前 

 

 

 

📄ブラタモリこの記事の前

有馬温泉でブラタモリ(1/3) - 森の踏切番日記

有馬温泉でブラタモリ(2/3) - 森の踏切番日記

有馬温泉でブラタモリ(3/3) - 森の踏切番日記

 

 

 

 

思いがけない春の嵐


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先週からずっとピンタレストPinterest)で画像を集めるのに熱中していてブログの方が疎かになってしまいました。気がつけば、3月も10日じゃないですか。

 

ピンタレストを始めてから1年半ほどになるのですが、もともとはブログに使える画像を探したり保存したりすることが目的でした。他にも、理数系のボードが5個(特に、天文学、天体写真)、絵画・イラスト系のボードが9個(特に、妖怪画、フラクタルアート、伊藤若冲草間彌生エッシャー)、ロック系のボードが6個(特に、ローリング・ストーンズ、デビー・ハリー、スティービー・ニックス)など合計36個のボードを作って、集めた画像は1万4000点以上になります。最近はサーファーが撮影した波の写真が気に入っています。

 

そんな中で、ピンタレストで目に留まった美しい女性の画像もボード〈belle femme〉を作って何となく集め始めたのですが、古今東西人種国籍女優歌手モデル一般人関係なく集めてみて思うのは、オードリー・ヘップバーン山口百恵の二人だけは、やっぱりオーラが違うというか、他の女性とは違って見えるということです。

 

去年、ボードの中にボードを作るサブボード機能が追加されたので、この二人とブリジット・バルドーはサブボードを作りました。特に山口百恵は画像を保存していく人がほぼ毎日います。あと、舞妓はん(勝奈・現在は芸妓はん)の画像もよく出ます。

 

女性のファッションとしては、ゴス、パンク、ヒッピー、ボホ(ボヘミアン)とかが好きなのですが、特にゴスについてはボード〈GOTH〉を作ってしまうくらい好きです。モデルの中ではデンマークのマリア・アマンダを推していたのですが、去年めでたく結婚されました。あと、ゴシック・パンクという意味でテイラー・モムセン(The Pretty Reckless)も推しています。

 

スチームパンク・ファッションもゴスと近縁関係にあってユニークで面白いのでボード〈Steampunk Women〉を作ったのですが、集めた画像が1000点を超えました。私のボードの中ではボード〈DebbieHarry〉の約2700点に次ぐ画像の多いボードに成長してしまいました。ボード〈GOTH〉の方はマリア・アマンダを別のボードにしているので、それを合わせると1200点を超えます。

 

スチームパンク・ファッションは一種のコスプレでもあるので、一般のコスプレの画像も目にする機会が増えまして、今まで全く縁の無い分野だったのですが、世界的に一つの文化として定着していて、レベルの高いコスプレも少なからずあるので、とうとう女性レイヤーのボード〈COSPLAY〉まで作ってしまいました。ゲームのキャラとかレイヤーの名前とかは詳しいことを知らないので、画像の印象で気に入ったものを保存するのですが、私の場合は、ダーク系、バトル系、ケモミミ系、セクシー系のコスプレを保存する傾向が強いようです。

 

そんな中で、気になる女の子が一人いまして調べてみたら、それが「日本一のコスプレイヤー」と言われているえなこさんだったんですね。それで去年、彼女のTwitterをフォローして注目していたのですが、先週画像を確認してみたらボード〈COSPLAY〉の中に30点ほど彼女の画像ありまして、ボード内の画像の10分の1弱もありました。

 

そこでサブボード〈えなこ Enako〉を作ろうと思い立ち、ピンタレストにどれくらい彼女の画像があるのか「えなこ」で検索して調べてみたら、5000点近く彼女の画像を集めている人が1人いました。次いで、1200点以上集めている人が少なくとも2人いて、3桁の人も10人近く見つけました。

 

ところが、どのボードも時系列的には画像がバラバラで、一番画像数の多いボードも2016年の後半から始めたようで、彼女のコスプレ活動の全体像が時系列順に分かるようなボードは見当たりませんでした。Tumblrの方でも検索してみると、ディープなファンが二人ほど見つかりましたが、Tumblrは過去の画像を検索するのが面倒いです。

 

ならば作ってみようとなぜか思ってしまったのですね。今年に入って、ピンタレストもようやく編集機能が追加されたので、集めた画像を並べかえる事が出来るようになりました。すでに集めた画像を編集するのは量が多くて面倒なので、その機能をまだ使っていなかったのですが、ちょうど良い機会です。取りあえず画像500点をメドに彼女のコスプレ活動が時系列順に分かるようにコンパクトにまとめてみることにしました。

 

とはいうものの、彼女の公式ブログ自体も2016年の5月開設ですし、細かいところまでは分かりかねます。彼女のコスプレ活動は大きく分けると2期に分けることが出来ます。彼女がコスプレに目覚めたのは中学生の時だったそうですが、注目を集め始めたのは2010年、高校2年の時で、そこからコスプレ活動を一時休止する2013年までが第1期になります。2014年のバイト時代(メイドカフェ めいどりーみん)を経て、2015年3月にコスプレ活動を再開してから現在までが第2期になります。

 

彼女の画像を分類すると、趣味としてのコスプレ、仕事としてのコスプレ、撮影会・写真集(ROM&紙)、タレント的な仕事や営業、私服などに分けることが出来ます。第1期については、まとめサイトに画像が豊富にあり、そこからだいたいの活動内容が分かります。第2期については、大きなイベント(コミケとかコスサミとかTGSとか)は開催日が分かるので時系列順に並べることが出来ます。そこに年ごとに他の画像をまとめて挟みこんで、写真集からの画像は適当に散らして挿入して、だいたい時系列順になるように並べてみました。

 

そこでつくづく思ったのは、私は本の感想を書いたり文章を書いたりするよりも、データを分類したり編集したりする作業の方がはるかに向いているということですね。気がついたら、あっという間に1週間が経っていました。サンジャポに彼女が生出演したのを見逃してしまうくらいに熱中してました。

 

おかげで、ブログの更新は停滞し、読みかけの読書も中断してしまいました。現在、平野啓一郎の『マチネの終わりに』を読んでいるのですが、これは大人の恋愛小説で、恋に落ちる瞬間の感覚を思い出したということもあったのでしょうか。まあ、これは別に恋ではないですけどね。それでも、思いがけない「春の嵐」でした。

 

私は、ファンというのは、対象となる人の活動を応援するためにお金を優先的に使う人あるいはその意志がある人だと定義しているので、その意味では私は別に彼女のファンではないのですが、しばらく彼女からは目が離せそうもないです。

 

 


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雪ミク(初音ミク)コスプレ(2013年)

※source:えなこ - Wikipedia

 

 


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ダウンタウンDX出演時の衣装

※source:えなこ 公式ブログ Powered by LINE

 

 


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ヤンジャン表紙衣装

source:えなこ 公式ブログ Powered by LINE

 

 

 

📍サブボード〈えなこ Enako〉にまとめた画像は結局600点になり、まだまだ増えそうです。興味のある方は、こちらからどうぞ。

👺1068 best COSPLAY images on Pinterest | Awesome cosplay, Cosplay and Cosplay girls

 

 

📍私のピンタレストのボード全体はこちら。

👺Ten Gu (zizibird319) on Pinterest

 

 

 

 

 

最果タヒの『星か獣になる季節』を読んだ感想~俺は星にも獣にもなりたくなかった

2月の読書録04ーーーーーーー

 星か獣になる季節

 最果タヒ

 ちくま文庫(2018/02/10:2015)

 ★★★★

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俺の高校時代のガッコーは猿山だった🐵どいつもこいつも阿呆づらで☆落ち着きが無くて☆キーキー騒いでうるさくて☆猿山のてっぺんを争ったり☆赤い尻を追いかけたり追いかけられたり☆他のヤツの屁の勘定をして笑い転げたりする野蛮なサルどもばかりがいた🐵そんな猿山になぜヒトである俺が放りこまれたのか☆さっぱり理解できなかった🐵俺は当然のことながら野蛮なサルどもを相手にしなかった🐵だから俺はサルどもから嫌われていたのだが気にはならなかった🐵だって俺は人間だもの🐵ウキッ🐵高校時代の俺は猿山の中でとまどっていた🐵途方に暮れていたと云ってもいい🐵そんな時☆三島由紀夫の「若さとは過剰なエネルギーなのだ」という言葉に行き当たり☆俺はその過剰なエネルギーを持て余していたのだということに気がついた🐵この言葉のおかげで心が随分軽くなったものだ🐵エネルギーは外側に向かう場合と内側に向かう場合がある🐵ヘビメタはエネルギーが外側に発散し☆パンクは内側に収束するという説がある🐵過剰なエネルギーは破壊の衝動だ🐵パンクは破壊のエネルギーが自己に向かう🐵パンクとは自己破壊の音楽なのだ🐵だから☆パンクであり続けた連中はみんな若さの真っ只中で自壊してしまった🐵生き残ったパンクは本当はロックだったのだと後になって気がついた🐵ロックは本来サバイバルの音楽なのだ(ラブ&ピース)🐵ヘビメタは破壊のエネルギーを轟音に変えて四方八方に撒き散らしたあげく☆燃え残りがブルーズになる🐵ところがここにテクノという音楽が登場する🐵テクノはエネルギーをデジタルに変換するから熱くならない🐵テクノはクールな音楽だ🐵高校時代の俺はテクノで行こうと思った🐵熱くなんかなりたくない🐵高校を卒業したとき☆これでやっと猿山から解放されると安堵したものだった🐵だがしかし☆外の世界へ出てみると☆そこは単に大きな猿山に過ぎなかった🐵今の俺は巨大な猿山の片隅でロックとブルーズを聴いている🐵この小説を読んで☆高校時代の俺は星にも獣にもなりたくなかったのだなと思った🐵

 

 

 

星か獣になる季節 (ちくま文庫)

 

 

 

星か獣になる季節

 窓から見える景色はちょうど夕焼け。町が燃えているようにも見えた。

「なんだか火事みたいにみえるね」

 そのとき、ちょうど渡瀬はつぶやく。ぼくはなにも答えられなかった。森下ならなんて、答えるのだろう。「17歳は、星か獣になる季節なんだって。今日、やった英文読解にね、書いてあった」渡瀬の横顔も、火事みたいな光に染まっている。「人でなしになって、しばらく、星か獣になるんだって。大人だからってひどいこと言うよね」太陽が山を燃やしながら、ピンク色に変わっていく。 

 

この小説は、山城翔太が愛野真実に宛てた手紙という体裁になっている。愛野真実は地下アイドルで山城翔太は彼女のファンの高二男子だ。しかしこれは、ファンレターではなく、遺書と云った方がよい内容の手紙だ。愛野は殺人容疑で警察に勾留されたのだが、山城にはかわいいだけで努力しか取り柄のない凡庸なアイドルに過ぎない愛野が殺人犯だと信じることが出来ない。山城は他者には関心を持たないタイプで、愛野真実だけが生きがいというクラスの中では目立たない存在の少年だ。彼は愛野をディスることで自己の劣等感を晴らそうとしている。そして、その不純さを自覚している。彼のクラスにはもう一人、森下という愛野ファンがいる。イケメンの森下はクラスの人気者で山城とは対照的なキャラをしている。「努力も才能だよ」という森下は愛野を純粋に偶像として崇拝している。二人は交友関係が無かったのだが、事件をきっかけに急接近し、愛野の無実を「証明」するために協力し合うことにする。一人は信念を持って、もう一人は半ば巻き込まれるようにして。小説と犯罪とは親和性が高い。小説が人間を描くものである限り、人間性の究極の様相である犯罪、特に殺人を描いた歴史的名作が多いのは当然のことと云える。これについて三島由紀夫は餅焼きの網の比喩を用いて、「法律はこの網であり、犯罪は網を飛び出して落ちて黒焦げになった餅であり、芸術は適度に狐いろに焼けた喰べごろの餅である」と説明している。この餅を焼く炎は「人間性という地獄の劫火」であり、その焦げ跡なしに芸術は成立しないのだという。三島の『金閣寺』は犯罪者への共感の上に成り立った作品なのである。森下が愛野を崇拝する純粋な気持ちは俺には分からない。アイドルに限らず他者を崇拝する気持ちが理解できない。俺は神すら崇拝していない。俺は全く純粋な人間の存在を信用出来ない。子供が純粋だというのは幻想に過ぎない。奴らは単に無知なだけだ。無知と純粋は別物だ。純水を作るには、不純物を含んだ水を熱して沸騰させ蒸気にし、蒸気だけを不純物が付着していない容器に収集して冷却しなければ得られない(実験室的にはイオン交換法や逆浸透膜法を使うがそれらも簡単ではない)。純粋とはそれだけ手間とエネルギーがかかるものなのだ。そして、何か別のものが少しでも混ざってしまえば、それは最早純粋ではなくなる。密閉せずに純粋を保つことはほとんど不可能だろう。ところが三島由紀夫は、「始めからよごれる事の純潔さは本当の純潔さではない」と云う。現実世界においてどんなに俗にまみれてもどうしても汚れることのできない「ある一つの宝物」、それが芸術家の本能、つまり、「詩人の本能」とよばれるものだというのだ。三島は芸術家が全く純粋な人間だと云っているわけではない。精神のコアとなる部分(魂)が純潔を保ち得る存在が芸術家だと云っているのだ。では、なぜ芸術家の魂が純潔を保ち得るかというと、彼らの魂は常に「人間性という地獄の劫火」にさらされているからだ。焔には浄化作用がある。一歩間違うと黒焦げになってしまう危険があるが、その一歩を踏み止めるのがミューズの力であり、その一歩を踏み出させようとするのがデモーニッシュ(Dämonish)な力なのだ。その両者のせめぎ合いの中で劫火にさらされ続けているのが詩人の魂なのである。森下は詩人なのだ。愛野真実は森下のミューズだったのだ。ところが、ミューズは汚れてしまった。だから、森下はデーモンに魅入られて地獄の劫火に包まれてしまったのである。思春期の「内面のあらし」は芸術家の「美しい狂熱」に似ている。山城は主体性のない自我の弱い少年だった。彼は星にも獣にも何者にもなれなかった出来損ないだ。彼はせいぜい歪な小惑星だった。モテナイ君が女子に話し掛けられただけで好きになってしまう所とかリアルで泣けてきた。それにしても、「愛の真実」とは何だろうか。カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』を二度読みして、つくづく思ったのだが、俺には「愛」という曖昧な概念が分からない。「愛の真実」が簡単に説明できるならば、こんなにたくさんのラブソングがあるはずもない。ここから先は小説の内容に踏み込まないと書けないので、そのつもりで読まれたし。

 

 

正しさの季節

 昔、読んだ英文だったか現代文だったかで、17歳は人でなしになるんだって読んだ。人でなしになって、星か獣になるんだって。今になって、2年が経って、あいつは星で、あの子は獣だって思える。自分のことだけは、今でも少しもわからない。

 

この小説は冒頭に「8月14日 晴れ(東京は雨)」と書かれていて、長い日記という体裁になっている。本書に収められた二編の小説はそれぞれ独立しているが密接に関係している。この小説には「星か獣になる季節」から二年後の出来事が描かれている。登場するのは、この日記の筆者、つまり、語り手である渡瀬明という女子大生と浪人生の青山、典型的ドルヲタの岡山の三人だけである。三人とも前の小説の登場人物で、渡瀬と青山は山城と森下の元クラスメイトだ。渡瀬は高校時代は青山のことが好きだった。渡瀬の親友だった田江田が前の事件で殺されている。岡山は愛野真実つながりで森下と接点があった。岡山の妹が前の事件で殺されている。青山は、その連続殺人事件の犯人である森下の小学生時代からの親友だった。青山は週刊誌のインタビュー記事で森下にも良い面があったことをアピールしていた。つまり、この小説は、殺人事件の加害者の関係者と被害者の関係者と被害者と加害者の両方の関係者の三者の立場の違いに関する話なのだ。三島由紀夫は小説と犯罪の関係について、次のように言及している。

世間ふつうの判断で弁護の余地のない犯罪ほど、小説家の想像力を刺戟し、抵抗を与え、形成の意欲をそそるものはない。なぜならその時、彼は、世間の判断に凭りかかる余地のない自分の孤立に自負を感じ、正に悔悟しない犯罪者の自負に近づくことによって、未聞の価値基準を発見できるかもしれぬ瀬戸際にいるからである。小説本来の倫理的性格とは、そのような危機にあらわれるものである。

三島由紀夫「小説とは何か」より

つまり、犯罪の被害者への同情は世間に任せておけばよいと三島は云っているのだ。安直なヒューマニズムはワイドショーなり週刊誌なりにやらせておけばよい。この小説の岡山はキモヲタ過ぎる。その被害者面がマジでウザくて全く同情出来ない。作者は意図的にそういう人物を描いている。青山も心が傷ついたという意味ではこの事件の被害者の一人だと云ってもよいだろう。彼は他人から同情されることは少ないだろうが、彼もまた事件を一生背負っていかなければならないのだ。このような事件の影響は、直接の被害者だけでなく周囲の人間にも波及していくものだ。渡瀬は思慮深く冷静な性格をしている。彼女は被害者とも加害者とも比較的近い関係だったが、表向きは立ち直りが早かったようにみえる。彼女は常に公正でありたいと願っているように思われる。だから、「正しさ」に敏感なのだろう。17歳の時、彼女が星にも獣にもならずに大人と対峙しようとしたことに共感を覚えた。

それはさておき、犯罪は、その独特の輝きと独特の忌まわしさで、われわれの日常生活を薄氷の上に置く作用を持っている。それは暗黙の約束の破棄であり、その強烈な反社会性によって、却って社会の肖像を明らかに照らし出すのである。それはこの和やかな人間の集団の只中に突然荒野を出現させ、獣性は一閃の光りのようにその荒野を馳せ、われわれの確信はつかのまでもばらばらにされてしまう。

三島由紀夫「小説とは何か」より

つまり、この小説の主人公は依然森下なのだ。この小説に登場する三人がとまどっているのは主人公が不在だからだ。この小説の中心にはポッカリと穴が空いている。渡瀬や他のクラスメイトたちはその穴から目を背けたのだが、青山だけは目を背けることが出来ないでいる。岡山はその空白が許せないでいる。穴に向かって吠えても虚しいだけだ。渡瀬は青山によって空白に目を向けさせられた。森下は殺人を犯したこと以外はいいやつだった、というのが青山の言い分である。青山は森下のことを親友だと信じていた。しかしながら、他者に対して平等な森下にとって青山は特別な存在ではなかった。他者を差別しないなら誰も殺すなよ。逆説的だな。無差別テロはそういうことか。神の視点だ。森下が他者に対して公平だったということは、単に他者に対して無関心だっただけかも知れない。その点において、森下は山城と共通点があると云えるが、山城には人殺しは出来ない。森下の心の闇は分からない。分かるはずもない。だから、デーモンに魅入られたとしか云いようがない。森下は悪だから殺人を犯したのではなく、殺人を犯したから悪なのだ。悪意がなくても人を殺すことは出来る。俺は今までに何回か人を殺したことがあるという夢を見たことがある。願望が夢に現れたのかと思ったが、筒井康隆の「夢──もうひとつの現実」を読んで、筒井氏も同様の夢を見たことがあり「過去の殺人」と名付けていることを知り、自分だけじゃなかったと安心した。人を殺したという感覚と捕まるかもしれないという焦燥は、それはそれは嫌なものだった。あの嫌な感覚が忘れられないので俺は人殺しが出来そうもない。もしかすると、無意識が自制のためにあんな夢を見せるのかも知れない。森下のような人間はそういう自制心の掛け金が外れてしまっているとしか思われない。たぶん、ただそれだけで人殺しはできる。人間はそういう恐ろしい動物なのだ。世間は凶悪犯罪が起きたとき、犯人の異常性を強調しようとやっきになるが、彼らはそれほどかけ離れた存在ではない。世間がそれを認めたくないだけだ。世の中に絶対的に正しいことなど存在しない。あなたの正義は誰のための正義なのか。正しさの基準は自分で作るしかないし、それは常に揺らぐものにしかならない。この小説は、岡山の立場と青山の立場のどちらが正しいのかということを問題にしているわけではない。両者がその立場に固執する限り、両者が歩み寄ることはない。青山が岡山を申し訳なく思う必要はない。正直云って、岡山のように被害者意識を押し付けて来られると不愉快だ。渡瀬は不注意な発言で彼を激怒させたが、俺ならわざと怒らせるなと思った。正論が常に正しいとは限らない。こういう小説を読むと自己の冷淡な性格が暴かれるから面白い。確かに、「間違いはだれかを傷つける」ものだ。悪意がなくても人を傷つけてしまうことは普通にある。正論であっても必ず誰かを傷つける。和やかな人間関係を築くためには、なるべく他者を傷つけないように気を配りたいものだが、人というのはどうしても他者を傷つけてしまうものなのだ。そこを気にしすぎるとキリがない。誰も傷つけない言葉なんてありえない。あるなら教えてほしい。この小説は、他者を傷つけても構わないと云っているわけではないし、森下のような犯罪者を擁護しているわけでもない。人は常に正しくはなれないし、場合によっては、相対的に正しくない立場を敢えて取らなければならないこともあるということを云っているのだ。人はいつか死ぬものだし、いつどういう死に方をするか分からない。だから、死に対して淡泊でありたいと思う。俺は肉親の死に対してもあまり悲しまない。そんな俺がこの小説を読んで最も心を痛めたのは、山城の母の心情を想像した時だった。だがそれもたぶん、傲慢なんだろう。

 

 

あとがき

青春を軽蔑の季節だと、季節だったと、気づけるのはいつだろうか。どこで、それに気づくんだろう。それは愚かさの象徴で、だからこそ、一番に懐かしい。

この小説を読んで、自分の「17歳という季節」を思い出してみたが、青春は傲慢の季節だった。たぶん同じようなことだろう。この小説に合わせて云うと、俺は星にも獣にもなりたくないと思っていた。「自分は違う」と思いながら群れている連中が気持ち悪かった。ランク付けなんか下らないと思っていた。あの頃はもがいていた。俺は斜め上を行こうとしていた。全然自信を持てなかった。かっこ悪かった。思い出したくもない。アホな季節やったな。

 

 

文庫版あとがき

ずっと、生きているつもりになっていたのかもしれない。でなきゃどうして、傷ついたり傷つけたり、繰り返していたんだろう。

17歳の頃、傲慢にも自分は感受性が強いと思っていたのだが、それは単に心が弱いだけだった。感受性の強さと心の弱さは別物だ。俺は自分の心の弱さが嫌で仕方なかったのだ。だから、多少のことで心が傷つかないように心を鍛えたものだった。つまり、俺は鈍感なのだ。「ひりつくような感覚に身を置き続ける」ことなんて、恐ろしくて出来ない。だから俺は、この人から目が離せないのだろう。

 

 

 

星か獣になる季節 (ちくま文庫)

星か獣になる季節 (ちくま文庫)

 

 

 

 

🐵関連日記

千年という時間の長さと短さを想う~『千年後の百人一首』の感想 - 森の踏切番日記 

 

 

 

 

 

藤野可織の『爪と目』を読んでみた~見て見ぬふりをしたくなること

2月の読書録03ーーーーーーー

 爪と目

 藤野可織

 新潮文庫(2016/01/01:2013)

 ★★★☆

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爪と目 (新潮文庫)

「あんたもちょっと目をつぶってみればいいんだ。かんたんなことさ。どんなひどいことも、すぐに消え失せるから。見えなければないのといっしょだからね、少なくとも自分にとっては」

 

 

この小説は、三才の女の子の「わたし」が、母親の死後同居することになった父親の不倫相手に「あなた」と呼びかけ、「あなた」と「わたし」について物語るという形式になっている。「爪」と「目」は、「わたし」と「あなた」のことを象徴している。

 

母親は、寒い日にベランダで死体となって発見された。ベランダの鍵はかかっていて、部屋には「わたし」だけがいた。はっきりとは書かれてはいないが、何が起きたのかはだいたい想像できる。事故といえば事故だが、母親は生きる気力をすでに失っていたのかもしれない。

 

母親の死は「わたし」の心を傷つけたのだろう。以後「わたし」はベランダに通じるリビングルームに近づくことができなくなり、それは引っ越ししても変わらなかった。それに爪を噛む癖がついてしまった。

 

三才の女の子の「わたし」が語る「あなた」の人生は詳細で三才の女の子が知り得ない内容も含まれている。また、「わたし」の行動は客観的に語られ、「わたし」の内面が語られることはない。

 

そうしたことから、実際には三才の女の子が語っているわけではないことが分かり、小説の終わりの方で「わたし」が既に大人になっていることが明らかにされる。「わたし」は「あなた」に実際に語りかけているわけではない。大人になった「わたし」が、後に知った情報を補足し、空白を空想で補い、三才の頃の出来事を再構成し、「あなた」を眺めながら、心の中で「あなた」に語りかけているのだろう。

 

「わたし」が語る「あなた」の物語の中心となるのが「あなた」の目のことである。「あなた」は裸眼では視力が0.1もなく、コンタクトレンズを付けないと人の顔がぼんやりとしか認識できない。そもそも「あなた」が「わたし」の父親と出会ったのも眼科だった。「あなた」は、しきりに目薬をさす。

 

世の中には感受性が強くて心が傷つきやすい人もいれば、他人から何を言われても動じない図太い人もいる。自分の言動が他人を傷つけていることに全く鈍感な人もいれば、人を傷つけないように気配りを怠らない人もいる。

 

感受性が強い人にも鈍感な部分はあるし、鈍感な人にも傷つきやすい部分はある。自分は傷つきやすいのに他人を平気で傷つける人もいるし、心が強くて気配りもできるという人もまれにはいる。

 

だいたいの人はおおむね図太く鈍感にできていて、自己の敏感な部分をなるべく見ないようにして生きている。「あなた」はそういう一般的な人間であり、だから「あなた」なのだ。

 

父親もまた同様に図太く鈍感な人間である。そもそも鈍感でなければ不倫など出来ない。しかし、彼は妻の死後「あなた」とセックスしようとしても肝心のモノが役に立たなくなってしまう。つまり、彼の心にも敏感な部分があるということになるが、彼は別の女性となら支障なくできるので、またしても浮気をする。彼は自己の敏感な部分を直視しない。彼は「あなた」の浮気にも気がつかない。彼は自己を中心とした単純な世界に安住している。

 

母親は夫の不倫に気づいていたのだろう。そして、気がつかないことにすることにしたのだろう。彼女は自分の心を守るために日常生活を彩り、それをブログに記録することに生きがいを見出そうとした。だが結局は、見て見ぬふりをするには彼女の感受性は強すぎて、夫の不倫を咎めるには心優しすぎたのだろう。

 

「あなた」は、ネットの世界で母親のブログを見つけ、それを参考に日常生活を彩り始める。「あなた」は鈍感だから、それが死んだ前妻のブログだと知っても何とも思わない。「あなた」は、自己を中心とした単純な世界で気楽に生きている。

 

一般に、大人よりも子供の方が感受性が強いだろう。子供の心は無防備なものである。三才の女の子である「わたし」には、「あなた」や父親のように鈍感に生きることはできない。だから、爪を噛み続けるしかないのだ。

 

冒頭の引用は、母親の遺品の本の架空の独裁国家を舞台にした幻想小説の中のセリフで、このセリフが書かれたページには小さな折り目が付けられていた。それを見つけた「あなた」はそのセリフを自分の言葉にして「わたし」に教える。「わたし」はだいぶあとになって、母親の本からそのセリフを見つける。

 

独裁者は、見ないことにかけては超一流の腕前を誇っていた。彼は、自分に起きたひどいことも、まったく見ないようにすることができた。彼は目をつぶり、すると肉体や精神の苦痛は消え失せた。わたしやあなたでは、こうはいかない。わたしもあなたも、結局はか弱い半端者だ。

 

この話がものすごく腑に落ちるのは、私の周りにも見ないことにかけては一流の人間がいるからで、それは私の母なのだが、母は自分にとって都合の悪いことや嫌なことを一切見ないようにすることができ、記憶から抹消することすらできるという特技を持っていて、それはもう、呆れるほどである。母は鈍感で無神経で空気をまったく読めなくて、自分の言動がどれだけ人を怒らせるかとか、どれだけ人を傷つけているかとか一切理解できない。ついでに、絶対に自分の非を認めないし、絶対に謝らない。私の母は首相になる素質があるのではないかと思う。

 

それはともかく、ある程度鈍感であることは、凡庸な人生を生きていく上で必要なことである。感受性が強すぎるとこの世は生きづらい。 人というのは、どうしても他者を傷つけてしまうものである。悪意を持って人を傷つけるのは論外だが、悪意が無くとも人を傷つけてしまうことは普通にある。それを気にし始めるとキリがないし、極論に走りかねない。かといって、まったく気にしないというわけにはいかない。結局のところ、多少のことで心が傷つかないように耐性をつける方が手っ取り早いということになる。そうして、人は図太くなっていくのだ。

 

しかしながら、心に耐性をつけるにしても限度というものがあるし、急所というものは耐性をつけられないから急所なのだ。目をつぶるだけで苦痛を消すことができるのは一種の才能である。だから、独裁者ではない凡庸な人間は、「結局はか弱い半端者」だと作者はいうのだろう。

 

この小説の最後の場面は、「あなた」の人生において、目を背けていた自己の敏感な部分を直視しなければならない時が来たことを暗示していて、語りかけている現在の「わたし」もまた同じだということを示唆している。過去と未来がガラス板となって体を腰からまっぷたつに切断するというイメージは、身を切るような苦痛を想像させる。そのとき、その苦痛に目を見開かずにはいなれなくなるのだ。見て見ぬふりをしたくなることというのは、本当は直視しなければならないことなのである。

 

 

それは分かっているのだが、私は母ほど鈍感の才能がないので、そういう場面に直面したら、逆ギレします。

 

 

同時収録の「しょう子さんが忘れていること」は、老人の性を扱った短編だが、しょう子さんにとってはホラーでしかない。「ちびっこ広場」は、少女の霊の呪いというありがちな都市伝説を信じてしまった息子のために母親が呪いに立ち向かうという短編。母は強し。

 

 

 

 

爪と目 (新潮文庫)

爪と目 (新潮文庫)

 

 

 

 

 

 

綿矢りさの『勝手にふるえてろ』を読んでみた~種の保存と多様性

2月の読書録02ーーーーーーー

 勝手にふるえてろ

 綿矢りさ

 文春文庫(2012/08/10:2010)

 ★★★☆

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勝手にふるえてろ (文春文庫)

 とどきますか、とどきません。光りかがやく手に入らないものばかり見つめているせいで、すでに手に入れたものたちは足元に転がるたくさんの屍になってライトさえ当たらず、私に踏まれてかかとの形にへこんでいるのです。とどきそうにない遠くのお星さまに向かって手を伸ばす、このよくばりな人間の性が人類を進化させてきたのなら、やはり人である以上、生きている間はつねに欲しがるべきなのかもしれない。みんなの欲しがる気持ちが競争を生み、切磋琢磨でより質の高いものが生みだされていくのですね。でも疲れたな。まず首が疲れた。だってずっと上向いてるし。いつからだろう、さらなる飛躍という言葉が階段を駈けのぼるイメージではなくなり、遠くで輝くものを飛び上がってつかみ取り、すぐに飽きてまるきり価値のないものとして暗い足元へ放る、そしてまた遠くへ向かって手を伸ばす、その繰り返しのイメージに変わってきたのは。

 

 

この小説の語り手は、江藤良香(えとうよしか)、二十六歳、B型、株式会社マルエイの経理課所属、彼氏なし、貯金なし、嫌いなのはひま人、好きなのはシチュー、最近はまっているのはインターネットのウィキペディアで絶滅した動物について調べること、おたくのくせにテクノ好きで、未だバージンという女性。

 

そんな彼女には彼氏が二人いて、といっても本命のイチ彼は、中学二年の時に同じクラスだったというだけの関係で、話したことも三回しかないというその貴重な思い出を反芻しながら、ずっと片想いで脳内だけの恋愛相手。

 

イタいといえばイタいが、本人がそれで幸せならば、それでいいのではないかと思う。他人がとやかく言う筋合いのものではない。

 

中学時代の彼女は、教室の片隅でひっそりと棲息する恐竜時代の哺乳類のような女の子だった。イチ彼は、いじられキャラだったようだが、彼女はそんな彼をクラスの人気者として認識していた。

 

ニ彼の方は、会社の同期で営業課に所属していて、元体育会系の暑苦しい男。彼女はニ彼からデートに誘われ、コクられる。でも「好き」とは言われなかった。デートでの二人の会話の噛み合わなさが面白い。

 

二回目のデートで元カノの話をするニ彼のデリカシーはどうかと思う。ニ彼はどこからどう見ても典型的なサラリーマンで昭和の匂いさえする。こいつとは表面的な付き合いはできても親友にはなれないなと思わせる。

 

彼女の心の中のツッコミが面白い。彼女は妄想過多だが、脳内で妄想が優勢になると現実への対応が難しくなる。彼女はおたく期間が長かった後遺症で、時折対人関係に不慣れな面が現れる。

 

不注意で火事を起こしそうになって死にかけた彼女は、いつ死んでも後悔しないようにと、思わぬ行動力を発揮し、クラス会を実現させ、イチ彼と再会を果たす。

 

妄想の世界で安住していれば彼女も穏やかな日常を過ごせたのだろうが、ニ彼にコクられたことで刺激されて、脳内が混乱したようだ。ここから彼女の迷走が始まる。

 

イチ彼は、いじられ生活が長かったせいか、元々の性格なのか、他人との間に壁を作るタイプのようだ。自分の領域を固く守っているように見受けられる。彼とは表面的な付き合いはできても親友にはなれそうにないと思わせる。

 

イチ彼も同じ上京組だと知った彼女は、上京組のメンバーで飲み会を開くように話を誘導し、後日、その飲み会でイチ彼と絶滅動物の話で意気投合して盛り上がるが、彼との間に隙間を感じてしまう。

 

恋愛に限らず理想をとるか現実をとるかという問題は、正解のない問題だろうと思う。理想を求めて上手くいくケースもあれば、上手くいかないケースもある。現実的に対応して上手くいくケースもあれば、上手くいかないケースもある。どちらが正しいということはない。結果論でしか言えないことだろうと思う。

 

恋愛の行き着く先は生殖であり、生殖は種の保存のためのプログラムである。種の保存のためには多様性が担保されなければならない。自然界は弱肉強食とか適者生存とかいわれるが、必ずしも強者や適者の遺伝子だけが残されていくわけではないのだ。

 

例えば、来留美のような美人ばかりがもてて、美人の遺伝子ばかりが残されるということはない。美人の遺伝子が残る確率が高いのは確かだが、良香のような絶滅危惧種の遺伝子も多少は残されるように出来ているのだ。「美人」という価値観は絶対的なものではなくて、時代によって変わる相対的なものでしかない。今の美人が千年後も美人と判定されるとは限らない。

 

地球上の生命は、過去五回に及ぶ大量絶滅をはじめ何度も絶滅と繁栄を繰り返してきた。様々な環境の激変に対応するためには様々な選択肢を用意しておかないと全滅してしまう恐れがある。自然というのは常に一見無駄な冗長性を持つものなのである。だから、ニ彼のように希少種に惹かれるタイプも一定の割合で存在するのだろう。

 

この小説での彼女の選択が彼女にとって最善かどうかは分からない。それはまた別の話なのだ。この小説は読んでいる間はおもしろく読んだのだが、いざ感想を書こうとしたら上手く書けなかった。実は、結論が文庫版の辛酸なめ子さんの解説と同じになってしまうのだ。私も彼女にとっては、「脳内二股をキープした方が幸せ」だと思う。凡庸な人生を送るにはニ彼のような凡庸な男が相手の方がよいとは思う。結婚してからも妄想の恋愛はできる。彼女は現実と妄想を上手く使い分けるスキルを身につけるとよいと思う。

 

別に絶滅してもいいじゃないと思うことがある。種の保存なんて単なるプログラムなんだし。遺伝子は残らなくても身体の構成物質はリサイクルされるのだし。どうせ、つかの間の生なのだから、自分の好きなように生きればいいじゃないと思うこともある。そういう意味では同時収録された短編「仲良くしようか」の方が好みの小説だった。

 

 

 

 

勝手にふるえてろ (文春文庫)

勝手にふるえてろ (文春文庫)