森の踏切番日記

ただのグダグダな日記です/2018年4月からはマイクラ日記をつけています/スマホでのんびりしたサバイバル生活をしています/面倒くさいことは基本しません

随筆など

『筒井康隆、自作を語る』は筒井ファン必読書であるので読んでみた

読書録2018ーーーーーーーーー 筒井康隆、自作を語る 筒井康隆/日下三蔵編 早川書房(2018/09/25) ★★★★ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 筒井康隆氏が自作について語ったとなれば読まないわけにはいかないだろうと書店で本書を見かけてすぐに購…

筒井康隆『読書の極意と掟』を読む~書籍の大海を漂流する幸福

読書録2018ーーーーーーーーー 読書の極意と掟 筒井康隆 講談社文庫(2018/07/13:2011) ★★★★ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 本書は2011年1月に朝日新聞出版より刊行された単行本『漂流 本から本へ』が改題され、文庫化されたものです。『読書…

三島由紀夫の『文章読本』を読んだ

11月の読書録05ーーーーーーー 文章読本 三島由紀夫 中公文庫(1973/08/10:1959) ★★★★ ──────────────────── 美は珍奇からはじまって滑稽で終わる 私は、子供の頃から作文とか読書感想文とかが嫌いで、本を読むのは好きだが文章を書くのは苦手である。だか…

筒井康隆『着想の技術』を再読 ~商品としての価値が無くなった教養

10月の読書録06ーーーーーーー 着想の技術 筒井康隆 新潮文庫(1989/09/25:1983) ★★★☆ ──────────────────── 八月に筒井康隆の『創作の極意と掟』(講談社文庫)を読んだときに本書の事が出てきたので確認しようと思ったら手元になかった。未読だったかと…

三島由紀夫の『小説読本』を読んで~小説とは何か?

9月の読書録04ーーーーーーー 小説読本 三島由紀夫 中公文庫(2016/10/25:2010) ★★★★ ──────────────────── 本書は、三島由紀夫の小説論・創作方法論を中央公論新社が独自に編集し2010年10月に刊行した単行本が文庫化されたものである。 昭和23年~25年の…

筒井康隆の作家としての遺書という『創作の極意と掟』

8月の読書録06ーーーーーーー 創作の極意と掟 筒井康隆 講談社文庫(2017/07/14:2014) ★★★★ ──────────────────── 本書は、心して読まねばならない書物である。なぜならば、これは筒井康隆の「作家としての遺言」であるからだ。表題の「創作」は、小説の…

「源氏びと」の聖地巡り

5月の読書録04ーーーーーーー 明解源氏物語五十四帖 あらすじとその舞台 池田弥三郎 伊藤好英 淡交社(2008/05/12) 1705-04★★★ ──────────────────────────── この4月から毎週月曜日に、市内に住んだはる作家のいしいしんじはんが、朝刊に源氏物語の現代…

松岡譲『漱石の印税帖』の感想 ~漱石の娘婿の憂鬱

5月の読書録03ーーーーーーー 漱石の印税帖 松岡譲 文春文庫(2017/02/10) 1705-03★★★ ──────────────────────────── 著者の松岡譲は、明治24年(1891)、新潟県古志郡(現在の長岡市鷺巣町)の寺の生まれ。旧制長岡中学、一高を経て東京帝国大学文学部哲…

春の川を隔てて男女哉 漱石

3月の読書録03ーーーーーーー 千駄木の漱石 森まゆみ ちくま文庫(2016/06/10:2012) ★☆ ──────────────────── 本書は、千駄木時代の夏目漱石について書かれたエッセイだか何だかよくわからない本である。著者は千駄木の地域史として描こうという意図で書…

複雑系のカオス的小説とエッセイ

1月の読書録03ーーーーーーー カオスの紡ぐ夢の中で 金子邦彦 小学館文庫(1998/01/01) 1701-03★★★ ──────────────────── ◾著者の金子邦彦は、1956年、横浜市生まれ。79年、東京大学理学部物理学科卒。84年、東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。東京…

漱石の孫娘(姉)

12月の読書録04ーーーーーーー 漱石夫妻 愛のかたち 松岡陽子マックレイン 朝日新書(2007/10/30) 1612-04★★★ ──────────────────── 著書は、1924年、東京生まれ。父は作家松岡譲、母は夏目漱石の長女筆子。津田塾専門学校(現津田塾大学)を卒業後、52年に…

子規逝くや十七日の月明に 虚子

『正岡子規 言葉と生きる』 坪内稔典著(岩波新書) を読む・その5 ──────────────────────────── 明治33年12月24日 第五章:仰臥時代 ◾明治34年(1901)1月、「墨汁一滴」を『日本』に連載開始。 ◽6月、病室の前に糸瓜棚が作られる。 ◽9月2日、「仰臥漫録…

鶏頭の十四五本もありぬべし 子規

『正岡子規 言葉と生きる』 坪内稔典著(岩波新書) を読む・その4 ──────────────────────────── 病床で仕事をする子規(明治31年:三宅雪嶺撮影) 第4章:病床時代(続き) ◾明治31年(1898)2月、「歌よみに与ふる書」を『日本』に連載開始。 ◽3月、一…

柿食ヒの俳句好みしと伝ふべし  子規

『正岡子規 言葉と生きる』 坪内稔典著(岩波新書) を読む・その3 ──────────────────────────── 第4章:病床時代 ◾明治29年(1896)1月3日、子規庵で初句会が催され、鴎外、漱石が同席。 ◽2月、左の腰部が腫れ、痛みがひどく歩行困難になる。 ◽3月27日、…

行く我にとどまる汝に秋二つ 子規

『正岡子規 言葉と生きる』 坪内稔典著(岩波新書) を読む・その2 ──────────────────────────── 明治28年 第三章:記者時代 ◾明治26年(1893)3月、帝国大学文科大学を退学する 。 ◽11月、「芭蕉雑談」を『日本』に連載開始。 ◾明治27年(1894)2月1日、…

山々が近づいている子規忌かな  坪内稔典

6月の読書録からーーーーーーー 正岡子規 言葉と生きる 坪内稔典 岩波新書(2010/12/17) 1606-08★★★☆ ──────────────────────────── 幕末に生まれた子規は明治という時代と共に成長した。彼は俳句・短歌・文章という三つの面で文学上の革新を起こし、後世に…

半鐘と並んで高き冬木哉 漱石

11月の読書録01ーーーーーーー 夏目漱石 青春の旅 半藤一利編 文春文庫(1994/08/10) 1611-01★★★ ──────────────────────────── 🐱本書は、平成六年に文春文庫ビジュアル版シリーズの一冊として刊行されたものである。 夏目漱石はその人生において、松山、熊…

河東碧梧桐の子規愛

10月の読書録02ーーーーーーー 子規を語る 河東碧梧桐(岩波文庫) 1610-02★★★★ ──────────────────────────── 河東碧梧桐は明治6年(1873)2月26日、松山生まれ。兄が正岡子規と友人だったこともあり、幼少時より子規を見知っている。明治22年夏、帰省した…

夏目漱石の孫娘(妹)

MY LIBRARYーーーーーーーーー 漱石の長襦袢 半藤末利子(文春文庫) ★★★ ──────────────────── 半藤末利子は昭和10年(1935)、東京生まれ。父は漱石の門下生だった松岡譲、母は漱石の長女筆子。夫は昭和史研究家の半藤一利。母筆子や親戚から聞いた漱石の…

「また手紙をあげます」漱石書簡集

漱石鏡子夫妻まとめ(7) 土曜ドラマ「夏目漱石の妻」に合わせて漱石鏡子夫妻についてまとめております。今回は漱石の書簡から、ごく一部を紹介したいと思います。 ◾明治24年(1891)7月18日正岡子規あて書簡より 昨日眼医者へいつたところが、いつか君に話…

「過去という不思議なもの」

「夏目漱石の妻」関連図書ーーー 硝子戸の中 夏目漱石(新潮文庫) ★★★★★ ──────────────────────────── 本書は大正4年(1915)1月13日より2月23日に朝日新聞に連載された随筆集である。連載中に漱石は48歳になっている。死の前年に書かれたもので、かなり死…

恐るべき七十代の日常

九月の読書録04ーーーーーーー 偽文士日碌 筒井康隆 角川文庫(2016/08/25:2013) 1609-04★★★★☆ ──────────────────────────── 😸筒井康隆のブログ「笑犬楼大通り 偽文士日碌」に『新潮』、『yom yom』に発表された日記を加えた、筒井康隆日記シリーズの最新…

虚子と子規・漱石

八月の読書録01ーーーーーーー 回想 子規・漱石 高浜虚子(岩波文庫) 1608-01★★★★ ──────────────────────────── 高浜虚子は明治7年(1874年)2月生まれで、慶応3年(1867年)生まれの子規、漱石の七歳年下になる。虚子が最も影響を受けたのが子規であり、…