森の踏切番日記

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鎌田浩毅先生の『地学ノススメ』は現代日本人の必修科目(3)大量絶滅/巨大地震/熊本地震/破局噴火

11月の読書録07ーーーーーーー


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🌏鎌田浩毅先生の『地学ノススメ』は現代日本人の必修科目(2)地球の内部構造/プルームテクトニクス - 森の踏切番日記の続き

 

 

 

第7章🌏大量絶滅のメカニズム

🔘地球史における5つの大量絶滅事件
  1. 古生代オルドビス紀末(O-S境界)4億4400万年前
  2. デボン紀後期(F-F境界)3億7400万年前
  3. ペルム紀末(P-T境界)2億5000万年前
  4. 三畳紀末(T-J境界)2億年前
  5. 白亜紀末(K-Pg境界)6500万年前

 
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(出典:ファイル:Phanerozoic Biodiversity ja.svg - Wikipedia

※K-T境界は K-Pg境界の古い用語

 

 

2億5000万年前の大量絶滅/P-T境界は地球史上最大の絶滅事件/95%もの生物が死滅/海生無脊椎動物のほとんどが姿を消す/有孔虫や放散虫などの海生微生物の多くも絶滅/この時期に「古生代型動物群」から「現代型動物群」へと変わった/6500万年前(K-Pg境界)の大量絶滅は中生代の恐竜が絶滅したことで有名。

 

◾2億5000万年前の大量絶滅は、多方面にわたる環境変動によって引き起こされた。その中でも、ホットプルームによる超巨大噴火が最大の原因だったと考えられている。

シベリア洪水玄武岩~洪水のように流れ出た溶岩が繰り返し積み重なることで層がつくられた700平方キロメートルを超える広大な面積の玄武岩。(シベリアン・トラップ Siberian Traps という)

➡噴出年代は、P-T境界と同時期のペルム紀末で、大量のマグマが100万年ほどで一気に噴出した。この巨大スケールの火山活動が、大量の火山灰や火山ガスを放出し、大規模な気候変動を起こした。

➡大気中に撒き散らされたダストが何十年にもわたって太陽光をさえぎる。

⇨平均気温が低下→光合成ができない→食物連鎖が崩壊。

光合成植物の死滅→酸素濃度減少。

⇨マグマに含まれていた二酸化硫黄ガスが酸性雨を引き起こす→海が汚染される。

⇨他にも、海中の酸素欠乏、放射線増加による気温低下、地球磁場強度の低下などの現象も発生。

➡こうして、史上最大の大量絶滅が発生し、三億年にもわたり様々な生物が繁栄した古生代は幕を閉じた。

 

◾こうした変動の原因の大元は地球内部の活動/つまり、コールドプルームホットプルームの動きが原動力になった/ことの発端となった物質は海洋プレート。

➡地球表層で冷やされてマントルより温度が低い海洋プレートが上部マントルにもぐり込む。

➡プレートの残骸(スラブ)が、時間とともに密度が大きくなり重くなり下部マントルの中に落ち込む。

➡下部マントルの底部に達した段階で、低温の残骸物質(コールドプルーム)は、その下にある外核から熱を奪う。

➡核とマントルの境界で外核が徐々に冷やされたことで、外核の中では液体金属の流れに乱れが生じる。

➡対流パターンが変化することによって、それまで安定していた地球磁場に擾乱が起こり始める。

地磁気の反転現象が頻繁に起こる⇨地磁気が逆転する際に、磁場の強度が一時的にゼロになる。

➡磁場強度が低下したことにより、宇宙線が大気圏に大量に侵入する⇨これが生物種の保存に深刻なダメージを与える。

➡続いて、ホットプルームが地球深部から上昇する。そのために発生した超巨大噴火によって、生物にとって有毒な火山ガスと粉塵が地表にもたらされる⇨酸性雨

洪水玄武岩の活動が地殻の底に大量の熱をもたらすことによって、地殻を溶かして大量のマグマをつくり出す。

火砕流の噴火と大量の火山灰⇨ダストによる日射不足で寒冷化。

プルームの冬(何十度という気温の急激な低下)

 

◽「プルームの冬」の地質学的な証拠が洪水玄武岩シベリアの他に、デカン高原やコロンビア台地などが有名/何百枚もある溶岩の層は厚さ3kmにも達する/日本の面積よりもはるかに広い地域が溶岩だけで埋まっている/巨大火成岩石区 large igneous province (LIP) /南太平洋のオントンジャワにある海台も玄武岩の噴火活動による。

 


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世界の巨大火成岩石区 ※紫色が洪水玄武岩

(出典:洪水玄武岩 - Wikipedia

 

 

🔘超大陸パンゲアの分裂

◾最初の超大陸が形成されたのは、約20億年前(古原生代)/現在地球にある陸地をすべて集めたのに等しい大きさ/反対側には超海洋(パンサラッサ)があった。

➡数億年ほどたつと、超大陸はバラバラになった/しばらくすると再び集まって超大陸になった/その後、分裂と集合を繰り返した。

➡いちばん新しい超大陸は、2億5000万年ほど前にあった超大陸パンゲアパンゲア Pangea とは「すべてが一つになった大陸」という意味。

➡2億5000万年前、P-T境界の時期にパンゲアは分裂を始めた/この分裂の時期に、パンゲアの中央に巨大火成岩石区ができた/南北に並ぶ巨大火成岩石区に沿って、超大陸は真ん中から分裂していった⇨五大陸の誕生。

 

◾つまり、ホットプルームの活動が、大陸の分裂に密接に関係していた。

超大陸が地球の表面を広く覆っていたとき、ホットプルームは下からゆっくり上昇した/このとき地球内部で生まれる熱を持って上昇する/この熱は、マントルの岩石に含まれる放射性元素崩壊による熱や外核が冷えて個体になるときに発生する潜熱である。

➡地表に超大陸があると熱が逃げにくくなるので、その下のマントルは熱がこもりやすくなる。

超大陸の下にホットプルームが上昇してくると、超大陸の底は熱で少しずつ溶け始める。

ホットプルームは軽い物質からなるので、超大陸には下から持ちあげられる力が働く。

➡これらの作用によって、超大陸をつくる地殻はしだいに薄くなり、最後には、表面から割れ始める⇨これが、超大陸分裂の始まり。

ホットプルーム超大陸の下部を溶かしてマグマを大量につくった/また、ホットプルームの上昇によって圧力が下がったマントル物質は部分溶融を起こし、新たなマグマを生産した。

➡これらのマグマが地上に噴出し、超大陸が分裂した部分を埋めていき、超大陸の裂け目に新たに地殻が形成された。

➡新しくできた地殻は、超大陸をつくっていた地殻よりも薄いため、その上に水が入り込んで海となった⇨大洋の誕生。

➡引き続き、海底にはマグマが噴出し、中央海嶺ができた。

➡大陸の分裂にしたがってプレートが生産され、左右に分かれた。

➡これが大陸移動の仕組みだったのである。

 

ペルム紀末の巨大火成岩石区

超大陸パンゲアが分裂した隙間に、やがて大西洋が誕生した/ちょうどその頃(ペルム紀末)に、複数の巨大火成岩石区が形成された(シベリアン・トラップや峨眉山など)/これらは、プレート運動とは無関係に間欠的に形成されたもの/つまり、超大陸の中央で厚い大陸地殻を押し割るように大量のマグマが貫入した/巨大火成岩石区には、おのおのが円形の形状を持つという特徴がある/ペルム紀末の巨大火成岩石区は、パンゲアの東半分に集中していた(今のアフリカやユーラシア)。

 

🔘ペルム紀末に地表で起きた現象まとめ

ホットプルームが間欠的に発生。

マントルと核の境界付近で温度のバランスがくずれる。

外核内の液体金属の対流に乱れが生じる。

地磁気強度が低下する。

➡これに誘導されて長期間の寒冷化が始まる。

➡やや遅れて大規模火山活動による寒冷化が加わる。(空中を漂う大量の火山灰によって太陽光は何十年も遮られ、地球全域で平均気温が急激に低下)

➡巨大火成岩石区の特異な火山活動によって表層環境が悪化する。(酸性雨

➡気温低下、食糧不足、大気汚染、海中での酸素欠乏などの要因で、生物圏に対する大量絶滅が発生。(古生代の終焉)

 

ペルム紀末以外にも、火山活動と生物絶滅の時期が一致する場合が複数ある/中央大西洋の活動は三畳紀の終わり(2億年前)と一致/デカン高原の活動は白亜紀末(6500万年前)と一致/ただし、例外もある。

 


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上・ペルム紀末(2億5000万年前)超大陸パンゲア

下・三畳紀末(2億年前)ローラシア大陸ゴンドワナ大陸・テチス海


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上・ジュラ紀末(1億4500万年前)

下・白亜紀末(6500万年前)


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現代

 

 

第8章🌏日本列島の地学

地震を起こすのは「プレートの動き」

※プレートの動きは、1年に4~8cmくらいの速度(爪が伸びるくらいの速さ)

👉「ブラタモリ」ファンの必読書? 『日本列島100万年史』を読む(1)日本列島の成り立ち - 森の踏切番日記

巨大地震はどうして起きるのか

※世界中で発生する地震の10%が日本で発生。

東日本大震災では、地震後に日本列島が5.3cm太平洋側に移動した/さらに、太平洋岸では地盤が最大1.2m沈降した。

⇨これにより、東北地方から関東地方の太平洋側が東西に少し広がり、一部の地域が沈降した。

⇨結果として、日本の陸地面積は0.9平方キロメートルほど拡大した、と計算されている。

※過去に、こうした巨大地震は太平洋側で何十回も起きている。

内陸で起きる直下型地震

※大地震が発生したあとに、内陸部の活断層が活発化し、直下型地震を起こした例が多い。

⇨これらの地震は、誘発されたもので、余震ではない。

首都直下地震

※この誘発地震が首都を直撃する可能性がある。

⇨今後30年以内に首都圏でマグニチュード7クラスの地震震度7)が70%の確率で起きる、と予測されている。

南海トラフ巨大地震

※次に日本列島で起きる巨大地震は、東海・東南海・南海の三つが同時発生する「連動型地震」という巨大災害を起こすシナリオが予想される。

⇨さらに西の日向灘も連動する可能性もあるという研究もある。

⇨過去のデータを総合判断して、地震学者たちは2030年代後半には次の南海地震が起きると予測している。

⇨予測される西日本大震災は東日本大震災よりも一桁大きい災害になることが確実視されている。

👉南海トラフ地震で富士山が噴火? 『日本列島100万年史』を読む(3)中部 - 森の踏切番日記

👉近畿三角帯と阪神淡路大震災の話 『日本列島100万年史』を読む(4)近畿 - 森の踏切番日記

👉南海トラフ大地震が起きるしくみ 『日本列島100万年史』を読む(5)中国・四国・九州 - 森の踏切番日記

 


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世界の地震分布(出典地震本部・提供元気象庁

 


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フィリピン海プレート周辺のM5.5以上の地震の分布(1900-2016)

 

 

◾2016年4月熊本地震

※4月14日21時26分にマグニチュード6.5の前震、4月16日01時25分にマグニチュード7.3の本震。震度7が2回続けて起きた前代未聞の直下型地震だった。(4月15日00時03分にはマグニチュード6.4の余震も起きている)

 


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NHK『ブラタモリ #62別府温泉』より

(👉別府温泉でブラタモリ - 森の踏切番日記

 

◾中部九州は、地面が南北に引っ張られている特殊な地域。その特異さは、構造運動と火山活動が並行して複合的に起きることにもあらわれている。

別府-島原地溝帯~別府湾から島原半島に至る幅20~40km、長さ150kmにおよぶ溝状の地域。その内部には、由布・鶴見火山、九重火山、阿蘇火山、雲仙火山などの活火山が形成されている。

➡著者は、この東半分(大分から阿蘇まで)を豊肥火山地域と命名した。

 

フィリピン海プレートの沈み込みが九州の地殻変動を支配する最大の原動力。

➡約600万年前からプレートの沈み込みが速くなり現在の速度に達したことにより、大規模な火山・地震活動が始まったと考えられる。 

フィリピン海プレートは北西方向に移動しながら、琉球弧の北部に対してほぼ垂直に、西日本弧に対しては斜めに沈み込んでいる。

➡この動きが、中央構造線の延長上にある大分-熊本構造線の横ずれ運動を引き起こした。

 


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中央構造線 九州の点線部が「大分-熊本構造線」

熊本地震の前震で震源となった「布田川-日奈久断層系」も「大分-熊本構造線」上にある)

 

 

➡大分-熊本構造線の右横ずれ断層によって、北側は北東に動き、南側は南西に動く。

➡地面が水平に引っ張られることで岩盤に割れ目が生じて、大分-熊本構造線の北側に陥没地ができる。(プル・アパート構造

➡陥没域で大規模な割れ目噴火が起こり、世界でも珍しい火山構造性陥没地が形成される。

➡右横ずれ運動に伴って南北に拡大することで、豊肥火山地域は北東方向へ押し出され、地上に東西方向の正断層群が発達する。(→布田川-日奈久断層系ができた原因)

➡600万年にわたる火山活動で、密度の小さい火山噴出物が陥没地を埋め立てる。(→重力が負の異常を示す)

熊本地震は、豊肥火山地域で起きた長年の運動を反映していた。

 


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熊本地震による地割れ(阿蘇市

 

 

第9章🌋巨大噴火のリスク

破局噴火(ウルトラプリニー式噴火  Ultra Plinian) ~大量のマグマが短期間に地表へ噴出する噴火/大規模な火砕流が発生し、高温(800℃)のマグマを含む粉体流が高速(時速100km以上)で地上を走り抜ける。

※9万年前の阿蘇火山の噴火では、火口からの距離150kmの途上にあるすべてのものを焼き尽くした。

※大量のマグマが噴出したあとの地上には、大きな穴があく(カルデラ

※今後、活動する可能性のあるカルデラは、屈斜路カルデラ、支笏カルデラ、洞爺カルデラ、十和田カルデラ阿蘇カルデラ姶良カルデラ、阿多カルデラ、鬼界カルデラ

→北海道・東北北部と九州に偏っている。

 

 

カルデラの成り立ち

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巨大噴火の場合、大量のマグマが噴出。


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地下のマグマだまりに大きな空洞ができる。


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山そのものが陥没し、巨大なくぼ地ができる。


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※直径2km未満の場合は、普通に火口と呼ぶ。

※隣接する複数の火山の噴火によりできたカルデラは「複合カルデラ」という。

👉箱根火山のカルデラの成り立ち他 『日本列島100万年史』を読む(2)北海道・東北・関東 - 森の踏切番日記 

(👉箱根でブラタモリ - 森の踏切番日記

 

 

大噴火期に入った桜島

姶良カルデラは現在も噴火を続けている桜島の大元にある巨大火山/桜島姶良カルデラの南端にできた最新の火山活動。

※1914年1月の大噴火(大正噴火)は1年以上継続。噴出物の総量は、富士山の宝永噴火を上回り、30億トンにまでなった。(大規模噴火としては135年ぶりだった)

※現在、桜島南岳の5km下にはマグマだまりがあり、姶良カルデラ中央(鹿児島湾中央)にある巨大なマグマだまり(深さ10km)へ火道が連続していて、一部のマグマが桜島南岳へ供給されている。

姶良カルデラでは噴火が近づくと、マグマだまりが膨張し、周辺地域の地盤が隆起する。噴火が起こってマグマだまりの中のマグマが減ると、地盤が沈下する。こうした変動をくわしく観測することによって、姶良カルデラのマグマ活動を監視している。

➡2020年代に入ると、マグマの量は大正噴火のレベルまで達すると予測される。そうなると、同程度の大噴火がいつ発生しても不思議ではない。現在の活動から見て、昭和火口付近で噴火する可能性が高いと考えられている。

 


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◾巨大噴火による気象災害

※1815年4月、タンボラ火山(インドネシア・スンバワ島)の約5000年ぶりの大噴火。

成層圏の上にまで火山噴出物が立ち昇る。

→火山灰がジェットストリームによって全世界に拡散。

→翌年から、ヨーロッパと北アメリカで異常低温が何年も続いた。

 

白頭山の「史上最大の噴火」

※中国と北朝鮮の国境にある白頭山の946年の噴火は、有史以来では最大の噴火だった。このとき噴出したマグマの量は、古代ローマポンペイを壊滅させたヴェスヴィオ火山のマグマの約50倍に相当する。上空25kmまで噴き上げられた火山灰は偏西風に乗って、北海道・東北地方に達し、5cmも降り積もった。

白頭山は小規模なものを含めると100年に1度くらいの割合で噴火を繰り返し、約1000年に1度くらいの割合で巨大噴火を起こしてきた。

→現在、白頭山の地下には1000年分のマグマが溜まっている可能性がある。近い将来、10世紀と同規模の噴火が起これば、大惨事になることは確実視されている。韓国や日本も対岸の火事というわけにはいかない。

→ここ数年、白頭山は活発な活動を示していて、噴火の兆候ではないかと世界中から注視されている。(中国と北朝鮮の専門家は近い将来の噴火については否定的)

2032年までに99%の確率で白頭山が噴火すると予測している日本の研究者もいる。ただし、白頭山の噴火時期については、火山専門家の間でも見解が分かれているのが現状である。何をきっかけに、いつ噴火が始まるかは予測できない、というのが専門家に共通する見解である。

 


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白頭山(長白山)頂上のカルデラ湖・天池

 

 

◽国際政治に影響を与えた火山噴火

※1991年にフィリピンのピナトゥボ山(Pinatubo)が大噴火 

→フィリピン全土から米軍が完全撤退

→1995年以降、中国軍南沙諸島に進出

→2014年、米軍がフィリピンに復帰

※富士山が大噴火した場合、偏西風の風下にある厚木基地などの米軍は動けなくなる可能性がある。

→富士山に関しても、いつどのような規模の噴火が起きるかについて、現在の火山学では予知できない。

 


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噴火するピナトゥボ山(1991年6月12日)

 

 

◾日本列島の巨大噴火

※7300年ほど前に鹿児島沖の薩摩硫黄島で巨大噴火が発生し、巨大な鬼界カルデラが誕生した。このとき噴出した高温の火砕流は、海上をすべり九州本島を直撃、南九州で暮らしていた縄文人を全滅させた。巨大地震は文明を滅ぼすまでには至らないが、巨大噴火は文明そのものを滅ぼすことがある。

→日本列島で、こうした巨大噴火が起こる頻度は、約7000年に1回。最後に起きた巨大噴火が、鬼界カルデラをつくった7300年前。単純に考えると、次の巨大噴火はいつ起きても不思議ではない。

→過去に巨大噴火が起きたカルデラ火山で、再び巨大噴火が起こる可能性が高い。

➡現在、気象庁は、噴火しそうな50個の活火山に対して「常時観測火山」に指定し、24時間体制で観測を続けている。

→日本に存在する110個の火山のうち約20個の火山が東日本大震災以後に活発化している。(2014年の御嶽山や2015年の箱根山など)

➡現在は地震や噴火が頻発する「大地変動の時代」の最中なのである。我々は100年あるいは1000年というスケールで考える「長尺の目」を持ち、これを乗り切っていかなければならない。

 


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阿蘇山

 

 

🐱感想

地球の歴史は天変地異の歴史。天変地異はこれからも必ず起きるが、いつどのような天変地異が起きるかは予測もつかない。

地球のシステムは複雑系なので、長期の予測は不可能だが、短期の予測までも不可能だと決めつけるべきではないだろう。そこは人類の叡智に期待したい。

ただ、破局的な巨大災害が起きてしまえば、人類にできることは多くはないだろうと悲観する。心の準備だけはしておこう。

 

 


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イエローストーンカルデラ(アメリカ)

北米大陸最大の火山地帯。イエローストーン火山はホットスポットによる火山で、現在は数百ヶ所から熱水を噴き上げている。地下に世界最大のマグマだまりがあるとされ、ホットプルームからマグマの供給を受けているという。前回の巨大噴火から既に60万年が経過しており、近いうちに巨大噴火が起こるのではないかと予想されている。噴火の規模は、前述のピナトゥボ山の噴火の百倍にもなる可能性があり、イエローストーン国立公園は完全に消滅し、世界規模の深刻な気象災害は避けられないだろうと言われている。

イエローストーン国立公園 - Wikipediaを参考にしました)

 


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Mammoth Hot Springsイエローストーン国立公園の熱水がつくる棚田状の池)
 

 

  

 

 

 

 

 

鎌田浩毅先生の『地学ノススメ』は現代日本人の必修科目(2)地球の内部構造/プルームテクトニクス

11月の読書録07ーーーーーーー


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🌏鎌田浩毅先生の『地学ノススメ』は現代日本人の必修科目(1) - 森の踏切番日記の続き

 

 

 

🌏地球の内部構造


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地球の内部構造その1(出典:地震本部

※温度は、上部マントルで1500~2000℃、下部マントルで2000~3000℃、外核で5000~6000℃、内核は6000℃以上。

 


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地球の内部構造その2

◾左のグラフは、地球の内部を物質の組成で区分したもの。海洋地殻は主に玄武岩からなり、大陸地殻は主に花崗岩からなる。マントルは主に橄欖岩からなる。核(コア)は鉄とニッケルからなる。外核は流体で、内核は個体。

◾右のグラフは、地球の内部を硬さの違いで区分したもの。

リソスフェア lithosphere は、地殻とマントル最上部の硬い部分を合わせたもので「硬い岩盤からできている層」という意味。プレートとほぼ同じ。つまり、プレートは地殻とマントル最上部の硬い部分からできている。温度が低いので硬い。

アセノスフェア asthenosphere は、リソスフェアの下にある軟らかい領域で「流動性のある軟らかい層」という意味。マントルだけからなる。温度が高いので軟らかい。(軟らかい岩石)

メソスフェア mesosphere は、マントルのアセノスフェアより下の層のこと。アセノスフェアより硬く、流動性はない。高温だが高圧なので硬い。

 


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地球の内部構造その3

※地殻 crust、マントル mantle、核 core

 

 
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プレートの運動

◾軟らかい岩石(アセノスフェア)の上を硬い岩石(リソスフェア)がすべる。

◽画面左から、弧状列島(日本列島)と沈み込み帯、ホットスポット(ハワイ島)、中央海嶺、大陸(北アメリカ)と沈み込み帯。

◽大陸プレートよりも海洋プレートの方が重いので、大陸プレートの下に海洋プレートがもぐり込む。

 

 

 

第5章🌏マグマのサイエンス

◾マグマ(地下にある岩石が溶けて液体状になったもの. 800~1300℃ )/マグマだまり(地殻内でマグマが蓄積されている部分)/火道(マグマの通り道)/溶岩(地表に出たマグマ)/地球上には現在活火山が1500個ほどあるが地域的にかたよっている

◾プレートの運動は、マグマや火山のでき方と深く関係している。マグマは次の3つの地域のいずれかで噴出することが分かっている。

  1. 中央海嶺などのプレートが誕生している場所
  2. プレートが沈みこむ場所(沈み込み帯)
  3. ホットスポット hot spot と呼ばれるプレートの中央部(ハワイ島が有名)

それぞれの場所がマグマを噴出する割合は

(1)62%(2)26%(3)12%

 

中央海嶺は地球最大の火山/全長65000km/地球から放出される熱の7割以上が中央海嶺から出ている

◽あまりにも大量のマグマが出たため、島になったのがアイスランド/割れ目噴火/ギャオ gjá(地溝)/アイスランドは世界一の変動帯

 


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アイスランドの火山帯

(出典:アイスランドの地理 - Wikipedia

大西洋中央海嶺に沿って火山帯がある。外側にいくに従って規則的に火山が古くなり、島の東西の両端に最も古い火山がある。

 


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シンクヴェトリル地溝(アイスランド

レイキャビクの北東にある(前の記事の地図を参照のこと)。幅4kmほどの地帯が60mも陥没している。島全体が東西に引きのばされる力でできた地溝。マグマが割れ目を満たすほど入ってこなかった結果、深い裂け目がそのまま残った。

 

 

弧状列島(日本列島、フィリピン諸島インドネシアニュージーランドなど)「島弧」ともいう/環太平洋火山帯/火山フロント(👉「ブラタモリ」ファンの必読書? 『日本列島100万年史』を読む(1)日本列島の成り立ち - 森の踏切番日記

◾日本列島に沈み込む海洋プレートは、約1億8000万年ものあいだ太平洋の下を移動し、マントルの中を斜め下にもぐる。マントルよりもプレートの方が硬いのでプレートの形はくずれない。

➡️プレートが深さおよそ100kmまで沈みこむと水を含んだプレートから水が絞り出され、マントル内を上昇する。

➡️深さ70~80kmの温度が1000℃に達する深さまで水が上昇すると、はじめて岩石が溶けてマグマが生まれる。

➡️マグマを含んだマントルダイアピル diapir)は軽いのでかたまりになって上昇する。このとき、地殻の底でいったん上昇をやめて、その熱で地殻の底の岩石を溶かして新しいマグマを生み出す。

➡️新しくできたマグマは、地殻の中を更に上昇し、浅い場所にマグマだまりをつくる。

 

水が加わると岩石は溶けやすくなる(融点が下がる)/沈み込んだプレートの真上のマントルは、冷たい海洋プレートに冷やされて温度が低いので溶けない/加水によって岩石が溶ける現象を部分溶融と呼ぶ(融点に達した岩石から部分的に溶け始めるから)

◽ダイアピルは、個体(マントル)の中に液体(マグマ)を部分的に含む。そのためマントルよりも密度が小さくなるので、マントルの中を上昇する。上昇すると圧力が下がるので液体(マグマ)の部分が増え、さらに軽くなる。それでも、地殻よりも密度が大きいので、地殻とマントルの境界でダイアピルは止まる。

◽岩石を溶かすには、温度を上げるか、圧力を下げるか、方法が2つある。地球上では減圧によるマグマの生産量が最も多い。マントル内部の対流に乗って地下深部の岩石が上昇すると、圧力が下がる。すると、部分溶融が起こり、ダイアピルとなる。ダイアピルが上昇するにつれて、液体(マグマ)の量が増加する。海嶺やホットスポットでは、こうした仕組みによってマントル物質の3割程度のマグマが産出される。

 


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マグマの発生(出典:地震本部

 

 

噴火の3つのモデル

  1. マグマだまりに圧力が加わり、マグマが絞り出されて噴火する。
  2. マグマだまりの下から新たに別のマグマが供給されることによって、マグマだまりのマグマが押し出されて噴火する。
  3. マグマだまりの中で、マグマに溶けている水が泡立つことにより、マグマがあふれ出して噴火する。

◽マグマの中に入っているシリカ(二酸化ケイ素)が多いとマグマは粘性が大きくなり、ドロリと流れる。少ないと粘性が小さくなり、サラサラと流れる。前者の代表が流紋岩(デイサイト)で、後者の代表が玄武岩。中間が安山岩

◽マグマの中にマグネシウムや鉄が多く含まれるとマグマの粘性は小さくなる。これらは玄武岩に最も多く含まれる。

◽一般に、粘性が大きいマグマの方が、激しく噴き出す「爆発的な噴火」になり、粘性が小さいマグマでは、「穏やかな噴火」となる。

 


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活火山の分布とプレートテクトニクスの関係

“Ring of Fire” は環太平洋火山帯のこと

(出典:Engwell - RING OF FIRE MAP

 


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イタリア・シチリア島エトナ山の噴火(2002年)


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千島列島芙蓉山の噴火(2009年)

 

 

 

第6章🌏もうひとつの革命

◾プレート運動は約40億年前に始まった。プレート運動を長く続けるためのメカニズムとは?

➡️地震波トモグラフィー地震波を用いて地球内部の岩石の硬さを調べる手法)~コンピュータを用いて大量の地震データを解析。

➡️20世紀の終わりに、この問題を解決する考え方が生まれた。

◾上部マントルと下部マントルの境界では密度に大きな差がある。下部マントルの方が密度が大きい。

➡️沈み込んだプレート(スラブという)の密度は、上部マントルよりも少し大きく、下部マントルよりも小さいので、プレートは下部マントルの中にもぐってゆけない。

➡️その結果、上部マントルの下部マントルの境界(深さ670km)に物質(プレートの残骸)が滞留し、大きな塊となって成長する。(プレートの墓場)

➡️プレートの残骸は長い時間ただよっているうちに、下部マントルよりもやや密度が大きくなり、下部マントルの中へゆっくりと下降し始める。このプレートの残骸を下降流と呼ぶ。下降流は冷たくて重い巨大な塊で、コールドプルーム cold plume とも呼ばれる。直径1000kmに及ぶ大量の物質が何千万年もかけてゆっくりと沈む。

➡️プレートの残骸は下部マントルの底(深度2900km)に達すると、核の表面でゆっくりと停止する。(核の密度の方がはるかに大きい)

➡️その反作用で、核の表面から巨大な熱いプルーム(ホットプルーム hot plume)が上がり始める。これは、直径1000kmにも及ぶ巨大な高温上昇流である。

➡️つまり、温度と密度の異なる2つのプルームが地下深部で下降と上昇を繰り返しながら循環している。すなわち、プルームにはマントル全体の動きが関係している。こうした考え方はプルーム・テクトニクスと呼ばれている。

※plume は、「(羽毛のようにもくもくとした)煙、雲」という意味。

コールドプルームは数億年に1回くらいの割合でマントルの中を下降する。1億年以上もかけて上部マントルと下部マントルの境界に溜め込まれたあと、一気に落下する。

➡️このコールドプルームの下降に対応して、ホットプルームは数億年おきにマントル内を上昇する。地上にプルームが出てくるまでには何千万年という時間がかかる。

 


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プルームテクトニクスの概念図その1

(出典:地球について

 


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プルームテクトニクスの概念図その2

(出典:地球について

ユーラシア大陸下部で、プレートの残骸(スラブ)がマントルの下に沈み込み、コールドプルームが生まれる。

※南太平洋ホットプルーム(スーパープルーム)がタヒチ島の下辺りにあり、アフリカ・ホットプルーム(スーパープルーム)が東アフリカ大地溝帯の下にある。これらの地域では、ホットプルームにより火山活動が活発化する。

※こうして、ホットプルームコールドプルームが対になって運動し、地球内部を物質が大循環する。

 

 

◾地球の最深部の核(コア)は、非常に高温高圧の領域/外核では液体金属が対流している(外核の上部は下部マントルによって冷やされ、下部は内核によって温められる)→誘導起電力が発生する→地磁気が発生する

◾約40億年前にプレート運動が始まる

➡️約27億年ほど前(新太古代)に最初のコールドプルームホットプルームが発生

➡️マントルが巨大な対流を始める(マントルオーバーターン

➡️その結果、外核内部で液体金属が対流を開始し、地磁気が誕生したと考えられる

◾地球磁気圏は、宇宙線の侵入を防ぐ役割を担っている(磁気バリア)/地球に到達する宇宙線の最大の発生源は太陽(太陽風)/宇宙線は生物に極めて有害な放射線/紫外線も有害

◾太古代初期に全生物の共通祖先誕生か?

➡️27億年前に磁場が誕生したことにより磁気バリアが機能し始め、それまでは深海でしか生物が生存できなかった地球は、陸上や浅海でも生物が生存できる環境に変わった。

➡️シアノバクテリアが活発に増殖しはじめ、浅海に進出、有機物の生産量が一気に増加。

➡️浅海で光合成をする生物が誕生、酸素の放出が始まる。地球の環境を生物が改変するという大転換が起きた。

➡️大気中の酸素濃度が上昇する。それに伴い、オゾンの濃度も上昇。地上付近にあったオゾン層は、酸素濃度が上昇するにつれて上空へと移った。

※つまり、磁気バリアの誕生が、大気中の酸素濃度を上昇させるきっかけとなった。生物と地球は互いに共進化してきたのである。

 


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酸素濃度の推移(出典:地質時代 - Wikipedia

 


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地球磁気圏の概念図

◾太陽のある左から太陽風 Solar wind(正体はプラズマ)が地球に吹きつける。地磁気が影響力を持つ範囲を磁気圏という。磁気圏は磁力線の流れに沿ってプラズマを弾く。プラズマは地球を包み込むように後ろへ流れ、地磁気の磁力線が後方へ吹き流される。その結果、太陽風の巨大な流れの中に地球磁気圏の空洞が生じて、その中に地球がすっぽりと包まれる。そのお陰で生物に有害なプラズマがほとんど地上に届かなくなる。

 

 

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玄武洞兵庫県豊岡市

玄武岩の柱状節理。玄武岩という名前は玄武洞に因んで命名された。

 

 

外核内の金属の流れはたえず変化しているので、発生する地磁気もたえず変化する。

➡過去7600万年間に170回ほど地磁気の逆転が起きていることが、海底で冷え固まった溶岩の古地磁気の記録から判明した。

➡平均すると、地球は50万年に1回くらいの頻度で地磁気が反転していたことが明らかになった。

➡最近では78万年ほど前に、地磁気のN極とS極の反転が起きた。その後、地磁気はほとんど変化していない。

※こうした現象を世界で最初に提唱したのは、京都帝国大学理学部の松山基範教授(1884-1958)だった。松山教授は、兵庫県にある玄武洞火山岩に地球の磁場と逆向きの磁場を発見した。松山教授は1929年に地球磁場反転説を発表したが、当時は受け入れられなかった。

1960年代になって、古地磁気学が大きく進展した結果、磁場反転説は広く認められるようになった。この功績を讃えて地質時代の逆磁極期(258万~78万年前)は「松山逆磁極期」と命名された。

 

 


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🐱次の記事へと続きます

鎌田浩毅先生の『地学ノススメ』は現代日本人の必修科目(3)大量絶滅/巨大地震/熊本地震/破局噴火 - 森の踏切番日記

第7章🌏大量絶滅のメカニズム

第8章🌏日本列島の地学(地震

第9章🌋巨大噴火のリスク

 

 

 

 

 

   

 

 

 

鎌田浩毅先生の『地学ノススメ』は現代日本人の必修科目(1)地質時代区分/プレートテクトニクス

11月の読書録07ーーーーーーー

 地学ノススメ

 鎌田浩毅

 講談社ブルーバックス(2017/02/20)

 ★★★★

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地学ノススメ 「日本列島のいま」を知るために (ブルーバックス)

 

 

私は、宇宙科学には昔から興味があって一般向けの解説書をよく読むのだが、地球科学の方はこれまであまり興味がなかった。『ブラタモリ』を視聴していても地質の話をそれほど熱心に聞いていたわけでも無かった。それが何故か、最近になって急に興味が湧いてきて、とりあえず講談社ブルーバックスの『日本列島100万年史』(山崎晴雄・久保純子著) と『人類と気候の10万年史』(中川毅著) を読んでみた。どちらもなかなか興味深い内容で、これまであやふやだった地球科学に関する知識が少しはっきりしてきたように思う。この辺で、基本的なことをちゃんと把握できているか一度確認しておいた方が良いだろうと考えて、次に本書を読んでみた。

 

著者は、京大で20年にわたって地学を教えておられる地球科学者である。特に1・2回生向けの「地球科学入門」の講義は、立ち見が出るほど学生に人気で、教養科目1位の評価を得ているという。科学啓発にも熱心な先生で、一般向け解説書も数多く出版されている。「出前授業(アウトリーチ)」をされたり、テレビやラジオにもよく出演されているのでご存じの方も多いと思う。独特のファッションセンスをお持ちのオシャレな先生である。

 

これはよく聞くことだが、2011年の東日本大震災以降、日本列島の地盤は不安定になっているという。近年頻発する地震や火山の噴火は、この地盤に加えられた歪みを解消しようとして発生しているという。著者によると、千年ぶりの「大地変動の時代」が始まってしまったのだそうだ。今後、数十年という期間にわたって、地震と噴火は止むことはないだろうと著者は予想している。また、南海トラフ地震などの激甚災害は、いつ起きても不思議ではない時代に入っているということもよく聞く話である。それにもかかわらず、日本の学校教育における地学は他の理科の科目に比べて軽視されていることが、著者にとって危惧するところであるらしい。

 

そうした現状があり、本書のサブタイトルは『「日本列島のいま」を知るために』となっている。

地学の知識は、単に好奇心を満たすだけではなく、災害から自分の身を守る際にもたいへん役立つものです。その意味からも、私は一人でも多くの日本人に、地学に関心を持っていただくことを願っています。そのために日本列島で始まった種々の地殻変動がいかなるメカニズムで起きているかを理解し、効果的な対処をしていただきたいのです。

大学の講義でも「おもしろくてタメになる」をモットーに掲げている著者が、「地学の中でもわれわれに身近なテーマに絞り、ポイントをわかりやすく解説」した本書は現代日本人の必修科目といっても過言ではないだろう。以下、本書を読んで印象に残ったことや地学の基本用語などを抜き出してメモしておこうと思う。

 

 


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第1章🌏地球は丸かった

※この章は「つかみ」の章で、人類の地球の形に関する認識の変遷が簡潔に説明されている。現在認識されている地球の形は、洋梨の形というよりもジャガイモのように不規則な凸凹がある非常に丸い形ということになるとか。

 

 

第2章🌏地球の歴史を編む

※この章では、岩石や地層から「時代の情報」と「環境の情報」を読み解き地球の歴史を編み上げる地質学の基本中の基本が紹介されている。

◾地層累重の法則/露頭(岩石や地層が地表に露出しているところ)/褶曲/鍵層/地層の対比

◾化石(過去の生物の遺骸や生きていた痕跡が残されたもの)/生痕化石/印象化石

示準化石(地層の年代を示す化石)~古生代では三葉虫や筆石やフリズナ中生代ではアンモナイトや恐竜、新生代では貨幣石や哺乳類など/微化石~放散虫や有孔虫や珪藻など/微化石年代

◾示相化石(過去の環境を表す化石)~サンゴやシジミやメタセコイアなど

◾ウィリアム・スミス(1769-1839 英)~地質学の父/地質図/地質学は「露頭観察に始まり、露頭観察に終わる」

 

 

第3章🌏過去は未来を語るか

※この章では、「生命と地球の共進化」(生命と地球は同時進行で変化してきたこと)という認識にたどりつくまでの論争の歴史が紹介されている。

◾生物の種としての生存期間は30万~40万年ほど。属としての生存期間は100万~300万年ほど。

◾ニコラウス・ステノ(1638-1686 デンマーク)/地球の年齢をめぐる科学と神学の対立

アブラハム・ヴェルナー(1750-1817 独)の水成説(岩石は水中での堆積作用によってできた)/ジェームス・ハットン(1726-1797 英)の火成説(岩石は地球内部の熱の作用でつくられる)/火成説が主流になる

◾ハットンの斉一説(地球の歴史では斉しく一様な現象が発生してきたと捉え、過去に起きた地質現象は現在進行中の現象と同じ自然法則のもとで形成されたとする)→「現在は過去を解く鍵」→「過去は未来を解く鍵」/ハットン~近代地質学の父/チャールズ・ライエル(1797-1875 英)~斉一説を広める

◾ジョルジュ・キュビエ(1769-1832 仏)の激変説(天変地異のあとに新しい生物が発生した)~ヨーロッパの思想界が支持(反復創造説)

チャールズ・ダーウィン(1809-1882 英)/『種の起源』(1859) /自然淘汰/漸進的進化観/斉一説と激変説の激しい論争→最大の争点は地球の年齢

◾放射年代測定法→地球の年齢は約46億年/古生代の開始は5億4000万年前/中生代の開始は2億5000万年前/新生代の開始は6500万年前

◾巨大隕石の衝突による恐竜絶滅という激変説がほとんど間違いないことが証明される/地球史上大量絶滅事件は5回起きている/生物進化に関しては現在でも斉一説もしくは中間的な漸進説が主流

 

 

🌏地質時代区分

※カッコ内は開始年代(年前)

顕生代 ーーーーーーーーーーーー

 新生代 第四紀  完新世(1.17万年)
          更新世(258.8万年)
     新第三紀 鮮新世(553.3万年)
          中新世(2303万年)
     古第三紀 漸新世(3390万年)
          始新世(5600万年)
          暁新世(6500万年)
 中生代 白亜紀 (1.45億年)
     ジュラ紀(2.01億年)
     三畳紀 (2.52億年)
 古生代 ペルム紀(2.99億年)
     石炭紀 (3.59億年)
     デボン紀(4.19億年)
     シルル紀(4.43億年)
     オルドビス紀(4.85億年)
     カンブリア紀(5.41億年)

原生代 ーーーーーーーーーーーー

 新原生代(10億年)
 中原生代(16億年)
 古原生代(25億年)

太古代 ーーーーーーーーーーーー

 新太古代(28億年)
 中太古代(32億年)
 古太古代(36億年)
 原太古代(40億年)

冥王代 ーーーーーーーーーーーー

 地球誕生(46億年)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

更新世はさらに

  後期(12.6万年)

  中期(78.1万年)

  カラブリア(180.6万年)

  ジェラシアン(258.8万年)

と、区分される。このうち中期が「チバニアン」と命名されることが確実になったという報道が11月にあった。

 


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※顕生代は「生物が顕著に見られる時代」という意味/古生代が無脊椎動物・昆虫・魚類・両生類の時代/中生代が爬虫類の時代/新生代が哺乳類の時代

 

 

第4章🌏そして革命は起こった

◾アルフレート・ウェゲナー(1880-1930 独)/大陸移動説/『大陸と海洋の起源』(1915) /当時は大陸移動の原因を説明できなかったので受け入れられなかった/グリーンランド探検に出向いたまま行方不明になる

大西洋中央海嶺の発見(第二次世界大戦中)/大陸移動説の復活/ハリー・ヘス(1906-1969 米)の海洋底拡大説

プレート・テクトニクス (Plate Tectonics) の完成(1968)/地球科学の革命

◽地球の表面はプレートという巨大な岩盤で構成され、その厚さは平均して100kmある。このプレートは大西洋中央海嶺から生み出され、海溝に沈み込む。

◽「プレートが誕生する場所」は深海底にある /アイスランドでは唯一陸上で見られる

◽「プレートが消滅する場所」は海溝にある(沈み込み帯)/日本列島がその典型

◽「プレートがすれ違う場所」ではプレートどうしが横ずれし誕生も消滅もしない/サンアンドレアス断層(米国加州)が有名

※1970年代以降、プレートテクトニクスは地学の基本的な考え方となる。

ヒマラヤ山脈の誕生/超大陸パンゲア/大陸衝突/造山運動/アルプス山脈の形成/褶曲山脈

◽かつて南極大陸とくっついていたインド大陸が分裂、移動し、ユーラシア大陸と衝突した結果、ユーラシアプレートの下にインドプレートが潜り込むことによって、ヒマラヤ山脈が隆起した。

◽インドプレートは現在でも1年に5cmの速さで北上しているため、ヒマラヤ山脈は毎年約5mmずつ高くなっている。この力が中国内陸部でしばしば起きる地震の原因になっている。

◽ヨーロッパのアルプス山脈も、北上するアフリカ大陸が、ヨーロッパ大陸にゆっくりと衝突することによって、巨大な隆起地形がつくられたことによる。アルプス山脈も毎年約1mmほど隆起している。

 

 


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グトルフォス Gullfoss(アイスランド

アイスランド語で「黄金の(gull)滝(foss)」

 


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ラーカギーガル Lakagigar(アイスランド

※英語では「ラキ (Laki)」1783年に大噴火した火山

 


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アイスランド

※2つの黒丸のうち左下が首都レイキャビク Reykjavík。その下を大西洋中央海嶺 Mid-Atlantic Ridge が通っている。グトルフォスはレイキャビクから右上(北東)方向の中央の火山の下(南)辺り。ラーカギーガルは、大西洋中央海嶺が交差しているところにある二つの火山の左の方。

※右上の黒丸はシンクヴェトリル地溝。次の記事で紹介します。

 

 


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プレート

 


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左から、プレートが誕生する場所、プレートが消滅する場所、プレートがすれ違う場所。

 

 
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大陸の推移

上左がペルム紀末(2億5000万年前)超大陸パンゲア/上右が三畳紀末(2億年前)ローラシア大陸ゴンドワナ大陸・テチス海/中左がジュラ紀末(1億4500万年前)/中右が白亜紀末(6500万年前)/下が現代(図中の年代は多少異なります)

 


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インド大陸の移動

 

 


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🐱次の記事へと続きます

鎌田浩毅先生の『地学ノススメ』は現代日本人の必修科目(2) - 森の踏切番日記

第5章🌏マグマのサイエンス(火山)

第6章🌏もうひとつの革命(プルームテクトニクス

鎌田浩毅先生の『地学ノススメ』は現代日本人の必修科目(3)大量絶滅/巨大地震/熊本地震/破局噴火 - 森の踏切番日記

第7章🌏大量絶滅のメカニズム

第8章🌏日本列島の地学(地震

第9章🌋巨大噴火のリスク

 

 

 

 

正弦曲線とおっぱいの関係とか多重振り子カオスとかカオス的遍歴とか


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前の記事〈『人類と気候の10万年史』を読む ~奇跡の湖・水月湖の話 - 森の踏切番日記〉で紹介した『人類と気候の10万年史』(中川毅著・講談社ブルーバックス)の中にカオスの説明をしている個所がありまして、カオスの例として二重振り子が出てきたのですが、以前 YouTube で見た動画を思い出したので紹介したいと思います。

 

 

 

 

単振り子


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振り子というと普通は上の図のような単振り子を指します。この図で senθ となっているのは誤植ではなくて、Wikimedia の public domain の画像が何故かポルトガル語だったからです。イタリア語、スペイン語ポルトガル語では、「サイン (sine) 」は「セーノ (seno) 」というそうです。なので、正弦記号は、sin ではなくて、sen となります。従って、「コサイン (cosine) 」も「コセーノ (coseno) 」になります。(イタリア語のウィキペディアでは、正弦は seno ですが、正弦記号は sin を使っていました)

正弦曲線 y=sen(x) と余弦曲線 y=cos(x) のグラフは次のようになります。

 

 

 


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y=sen(x)

 


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y=cos(x)

 

 

すみません、間違えておっぱい曲線の画像を貼ってしまいました。 実を言うと、seno にはイタリア語やスペイン語では「乳房」という意味もあるのです。ということは、イタリアやスペイン語圏の国の数学の授業では、「ワイイコールおっぱいエックス」とか言っているのでしょうかね。x=π のときは「おっぱいパイイコールゼロ」になります。何だか悩ましいです。coseno は「ちいぱい」ぽい気がします。下の方の画像は、∫sen(x)dx という感じもします。全身の曲線がインテグラルっぽいです。何言ってるんだろ。英語の sine には「乳房」という意味はありません。

 

sine や seno の語源は、ラテン語の sinus(シヌス)です。フランス語では、「正弦」の意味にそのまま sinus(シニス)を使っています。sinus - ウィクショナリー日本語版によると、ラテン語の sinus のもともとの意味は「湾曲」です。そこから派生して「くぼみ、へこみ」「湾、入り江」「胸」という意味になったようです。英語の sinus(サイナス)には、「湾曲、入り江、洞」などの意味があります。「乳房」はフランス語では sein 、ポルトガル語では seio ですが、これらも語源はラテン語の sinus です。

 

それでは、何故ラテン語の sinus が「正弦」という意味をもつようになったのかというと、12世紀にクレモナのジェラルドという学者がアラビア語の jayb(弦)の訳に sinus をつけたことによるといいます。

History of trigonometry - Wikipediaによると、このアラビア語の jayb は、サンスクリット語の jīvā(弦)が訛ったものだということです。三角法の概念自体はギリシア(ヘレニズム)からインドを経由してアラビア人に伝わったようです。

話が全然脱線してしまいました。ここから本題に入ります。単振り子に関する教科書的なことは、振り子 - Wikipediaを参照して下さい。

 

 

 

 

二重振り子


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二重振り子は、上の図のように振り子の先にもう一つ振り子を連結した形の振り子です。運動方程式は面倒なので、二重振り子 - Wikipediaを参考にして下さい。この二重振り子を揺らすと、カオスの特徴である非周期的で複雑な運動を観察することができます。そのためカオス理論の入門編として紹介されることの多い実験です。この運動は決定論的ですが数学的に予測することができません。理論的なことは、カオス理論 - Wikipediaを参考にしていただくとして、実際に動画を見てみましょう。YouTubeには二重振り子に関する動画がいろいろありますが、こちらのコンピュータシミュレーションの動画が美しいです。

 

Double Pendulum Chaos Light Writing (computer simulation) 1 - YouTube by Paul Nathan (1′05″)

 

ご覧のように二重振り子の挙動は全く予想できません。しかも、振り子を離す位置を変えただけで動きは全く違ったものになります。上の動画は始点が水平な位置でしたが、次は真上からの場合の動画を見てみましょう。こちらも美しいです。

 

Double Pendulum Chaos Light Writing (computer simulation) 4 - YouTube by Paul Nathan (1′00″)

 

 

三重振り子

カオスの特性の一つに「初期値鋭敏性」があります。初期条件がわずかでも異なると結果が大きく変わってしまうのがカオスなのです。二重振り子も最初の位置を少しだけ変えただけで、その挙動は大きく変わってしまいます。次に、この特性がよくわかる三重振り子の動画を紹介したいと思います。

この動画は、最初の角度を10のマイナス100乗ずつ変えた100パターンを同時再生したものだそうです。つまり、100個の三重振り子を一列に並べて、ごく僅かに最初の位置をずらして一斉に揺らせたところを真横から見ていることになります。始めは変化が見られませんが、1分20秒後に突然カオスがおとずれます。ご覧下さい。

 

剛体3重振り子 - YouTube by So Takamoto (1′41″)

 

ウネウネしてキモいですぅ~。

このようにカオスは、同じ系であっても初期条件がわずかに異なるだけで、時間が経過すると指数関数的にその差が大きくなります。気象のような現実の系を予測する場合、短期的な予測はできても長期的な予測は不可能になるのは、この初期値鋭敏性があるからです。

 

 

四重振り子

さらに、四重振り子の動画もありました。こちらは分かりやすい作りの動画です。

 

【物理エンジン】4重振り子で突然やって来るカオス現象 - YouTube by こーじ (3′49″)

 

 

 

 

カオス的遍歴

『人類と気候の10万年史』には、「カオス的遍歴」という言葉が出てくるのですが、このカオス的遍歴を分かりやすく解説した一般向け解説書は私が知る限りでは、『「複雑系」とは何か』(吉永良正著・講談社現代新書)ぐらいしか見当たりません。そこで、この本に基づいて、私が理解している範囲内で「カオス的遍歴」について説明してみたいと思います。

カオス的特性をもつ複数の系をつなぎ合わせ、それらに局所的な相互作用をもたせたシステムを「結合マップ格子(CML)」といいます。また、大域的な状況に応じてすべての構成要素が相互作用を行うモデルを「大域結合マップ(GCM)」といいます。これは、カオス的振動を行っている要素を複数つなぎ、すべての要素が平均を通して相互作用するようなモデルで、このようなシステムは自然界に無数に存在しています。マップは写像のことです。

このような、カオスを生み出す構成要素をつなげたネットワークを「カオス結合系」といいます。また、「大自由度カオス系」とか「大自由度力学系」といういい方もあるようです。「力学系」は、決定論的な法則に従い時間の経過とともに状態が変化するようなシステムのことです。ここでは、「自由度」は状態変化に影響を与えるパラメータ(媒介変数)の数だと大ざっぱに理解しておきます。カオス理論の有名なローレンツ方程式が3自由度常微分方程式です。大自由度はパラメータがたくさんあると理解しておきます。

 

こうしたカオス結合系の研究からまず明らかになったことは、平均との結合度の大小と構成要素の非線形度の強弱とによって、相空間における系全体のふるまいが、ほぼ次の4つの相に分かれるという事実でした。

  1. 平均との結合度が十分に大きい場合、システムが引き込み現象を起こして、振動の位相が同期する。(コヒーレント相)
  2. 平均との結合度が個々のカオスに比べて十分に小さい場合、システム全体がカオス状態になる。(カオス的な乱雑相)
  3. 平均との結合度が比較的大きい場合、システムは少数の集団(クラスター)に分かれて固定され、それぞれが同期する。(秩序相)
  4. 平均との結合度が比較的小さい場合もクラスターに分かれるが、クラスターの数やその構成要素が固定されず、常に変わり続ける。(複雑な部分秩序相)

大自由度カオス系では、時間発展とともに状態が変化して、これらの4つの相が、たとえば[2→3→2→4→2→]のように現れます。この現象を「カオス的遍歴 chaotic itinerancy」と呼びます。

カオス的遍歴とは、大自由度系、すなわち無数の自由度を持つ系でありながら、有効自由度が変遷していくために、いくつかの秩序状態をカオスを経て遍歴する現象と捉えることができる。自由度の低減が秩序の生成を、自由度の増大が秩序の崩壊を意味する──少なくとも観測者の目にはそう映る──以上、カオス的遍歴とはカオスの縁の内部構造を、生成と崩壊のダイナミクスとして捉えた概念だといえるのである。

 (『「複雑系」とは何か』吉永良正

 

『人類と気候の10万年史』には、著者が気候変動のモデルとして「非線形の大域結合系」の実験を行ったグラフが紹介されていますが、「乱雑相」と「安定相」が繰り返されるカオス的遍歴が見られます。乱雑相が(2)に相当し、安定相が(1)に相当するようです。両者の境界はグラフで見ると明瞭です。また、2つの相が切り替わるタイミングに法則性が見られず、事前に予測することは全く不可能だということが重要だとのことです。

気候変動では、氷期は気候が不安定で乱雑相を思わせ、温暖期は安定していて安定相を思わせます。また、氷期と温暖期の境界は急激です。直感レベルでは実験結果と現実の気候変動は「似ている」といえるとのことです。

さらに、このモデルにミランコビッチ・サイクルに相当する周期的な外力を与えて実験すると、系の状態は「安定相」と「周期相」と「乱雑相」の3つのモードを飛び歩くようになります。グラフを見ると、それぞれの相の変わり目は明瞭です。ただし、安定相から周期相への移行だけは、徐々に不安定性が増大していく「前触れ」があるように見えるとのことです。前触れが(3)に相当し、周期相が(4)に相当すると考えればよいでしょうか。

ミランコビッチ理論には3つの周期があるので、それを反映させて外力の周期を変化させて実験した場合、与える外力の周期によって、現れる相の順番が、安定相→周期相だったり、安定相→乱雑相だったりして、一定ではなかったといいます。ただ、安定相が終わりに近づくにつれて不安定性が徐々に拡大する傾向があることは共通していたということです。

もちろん、このような実験がそのまま気候変動の予測に当てはまるわけではないことは、著者も明言しています。一方、この程度の簡単な実験でも、現実の気候変動と質的に似通っていることに強い印象を残したとも書かれています。なかなか興味深い実験だと思いました。

温暖期にある現代は気候が比較的安定しているので短期的には予測しやすい状態にあると言えるそうです。ただ、徐々に気候が不安定化してきているのは気になるところです。また、氷期と温暖期の急激な変化は相転移を思わせるところがあります。そして、その変化がいつやって来るのかは、全く予測できないとのことです。

 

 

📄参考図書

🔘『「複雑系」とは何か』吉永良正著(講談社現代新書

「21世紀の科学」の原点 - 森の踏切番日記

🔘『人類と気候の10万年史』中川毅著(講談社ブルーバックス

『人類と気候の10万年史』を読む ~奇跡の湖・水月湖の話 - 森の踏切番日記

 

 

 

 

 

 

『人類と気候の10万年史』を読む ~奇跡の湖・水月湖の話

11月の読書録06ーーーーーーー

 人類と気候の10万年史

 中川毅

 講談社ブルーバックス(2017/02/20)

 ★★★★

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福井県三方五湖

🔍レインボーライン山頂公園Google マップ

 

 

三方五湖の思い出

福井県若狭地方にある三方五湖は、三方湖(みかたこ)、水月湖(すいげつこ)、菅湖(すがこ)、久々子湖(くぐしこ)、日向湖(ひるがこ)の五つの湖の総称でラムサール条約指定湿地にも登録されています。

上の写真はその中の最大の湖である水月湖(の一部)です。水月湖とつながって奥の小さい湖が菅湖、左側の湖が日向湖でその奥が久々子湖になります。三方湖は写真には写っていませんが水月湖の右側にあります。写真の左側が若狭湾になります。

五つの湖のうち、日向湖は海水、三方湖は淡水、残りの三つの湖は汽水ですが、それぞれ海水と淡水の比率が異なります。そのため五つの湖の色はそれぞれ異なります。Googleマップの航空写真で見ると色の違いがよく分かります(水月湖菅湖は微妙)。

三方五湖には小学生の頃に一度遊びに行ったことがあります。レインボーラインをドライブしたと思うのですが、山頂公園のことをかすかに思い出す程度で、あまりよく覚えていません。三方五湖と聞いて思い出すのは、むしろ縄文人のことです。

何故かというと、三方五湖の湖畔には縄文時代貝塚などの遺跡があるのですが、三方五湖周辺に住んでいた縄文人は湖をトイレにしていたという話を小学生か中学生の頃に読むか聞くかしたことがあるからです。

彼らは湖のほとりに杭を打ち込んで、その杭につかまってお尻を湖に突き出して用を足していたそうなのです。そうすると便を餌にする魚が寄ってきます。それを捕まえて食べていたというのです。食べれば消化されてまた用を足すというサイクルが成り立つわけです。この話が強く印象に残っていて今でも覚えているわけです。

以前、「松方弘樹世界を釣る」みたいな感じのタイトルのテレビ番組で、梅宮辰夫さんが船上で用を足したくなって、船尾につかまってお尻を海に突き出して用を足していた場面を見たことがあるのですが、縄文人の事を思い出して笑ってしまいました。

 

 

奇跡の湖・水月湖

それはさておき、この三方五湖のうち水月湖年縞(ねんこう)と呼ばれる堆積物が地質年代決定の世界標準に認定されていて、地質学の分野では世界的に有名なのだということを本書を読んで初めて知りました。このことは、今では中学校の教科書にも載っているということですから、現代人の基礎知識なのかも知れません。

「年縞」とは、1年ごとにできる縞のようになった堆積物のことです。日本のように四季が明瞭な地域では湖の底に季節によって違うものがたまるのだそうです。水月湖では大きな傾向として、春から夏にかけては黒っぽい層が、秋から冬にかけては白っぽい層ができるとのことです。そして、長い年月をかけて明暗の規則正しい繰り返しの模様ができるのだそうです。

このようにきれいな年縞は、どんな湖にもできるわけではありません。まず、水月湖には直接流れ込む川がありません。そのため洪水などで土砂が大量に流れ込むことがなく、細かい粘土が薄く堆積します。また、湖底に酸素がないため生物が住めず地層をかき乱されることもありません。

さらに、湖は土砂が堆積していくと通常はだんだん浅くなるものですが、水月湖は浅くならないのです。太平洋プレートがユーラシアプレートに沈み込もうとする力で、福井県南部地方には三方断層と呼ばれる活断層があります。三方五湖のある三方断層西部はこの力によって、年平均およそ1㎜の速さで沈降を続けているということです。それに対して、水月湖に1年でたまる地層の厚さは平均するとおよそ0.7mmなのだそうです。ですから水月湖はいつまで経っても浅くならないのです。ここにもプレートの力が関わってくるとは驚きです。

こうした条件に恵まれた水月湖には、厚さにして45m、時間にして7万年分もの年縞が、乱されることなく静かにたまっているのだそうです。年縞のない時代も含めれば、15万年もの長い歴史が水月湖の土に記録されているといいます。水月湖は、まさに奇跡の湖なのです。

本書の著者ら研究者グループは2006年の掘削で「完全連続」な年縞堆積物試料を回収することに成功し、詳細な分析を行いました。地質年代の「ものさし」となるためには「完全連続」でなければ意味がありません。そして、2012年に水月湖の年縞は「世界一正確な年代が分かる堆積物」として認められたということです。

この年縞堆積物を分析して何が分かるかというと、過去の気候変動です。年縞の中にはいろいろな化石や鉱物が含まれていて、過去に起きた気候変動について知るための有力な手がかりになるということです。特に重要な手がかりとなるのは花粉です。年縞に含まれる花粉を分析することによって、当時の水月湖周辺の植生を再現することができます。この植生の変遷を追うことによって、過去の気候変動を知ることができるのだそうです。

 

 

ミランコビッチ理論とは

地球の気候変動のメカニズムについて、まず驚かされるのが、地球の大きな気候変動に地球の公転軌道の形の変化や地軸の歳差運動などが関係しているというスケールの大きさです。地球と太陽の位置関係はたえず変化していて、地球の受け取る太陽エネルギーの量や分布が周期的に変化し、これが結果として気候の周期的な変動に関係しているというのです。これをミランコビッチ理論というそうです。

地球の公転軌道は、10万年の周期で真円に近づいたり楕円になったりします。公転軌道が楕円になると地球は温暖になり、真円に近づくと氷期になるのだとのことです。また、地軸の歳差運動というのは、地球の自転軸が、倒れかけたコマのように、円錐を描いて運動することですが、これは2万3000年かけて1周するのだそうです。これは夏と冬のコントラストの強さに影響するのだということです。こうした周期をミランコビッチ・サイクルといいます。ミランコビッチ・サイクルには、他に地軸の傾きが発生する4万1000年の周期があります。

とはいうものの、地球の気候変動のメカニズムはそれほど単純ではありません。他にも様々な要因がからんできます。たとえば、最近の300万年は大きく見ると寒冷化が進行していて、しかも寒暖の振幅が増大する傾向があるのだそうです。これは、ヒマラヤ山脈の隆起や地球と太陽の位置関係の変化が関係するという考え方が有力なのだといいます。

グリーンランドの厚い氷床を分析すると過去6万年の気候変動の様子が分かります。それによると、最近の1万1600年ほどは、基本的には安定して温暖な状態を保っていますが、それ以前の氷期は、基本的には寒冷でありながら、急速に温暖化する時代を何度も含んでいる不安定な時代だということが分かったのだそうです。この原因は分かっていませんし、温暖化に周期性が見つかりません。これがカオスなのかも断言できないということです。

ミランコビッチ理論自体も、数百万年前までは通用しますが、それ以上さかのぼると様々な要因が複雑にからみあって作用するために誤差が発散してしまうのだそうです。

また、南極の氷床で復元された気温の変動と地球の公転軌道の周期を比較すると、前者は後者の周期によく一致していることが分かりますが、公転軌道がなめらかできれいな波形なのに対して、気候変動の方はノコギリの歯のような複雑な不定形になり、両者の関係は単純ではないということです。著者は、気候変動が非線形的で「カオス的遍歴」と呼ばれる現象に似ていることを示唆しています。

※「カオス的遍歴」については、次の記事を参照して下さい。

 

 

水月湖が語る15万年の気候変動

本書には著者たち研究グループが分析した結果から復元された水月湖の過去15万年の植生の変遷と、そこから導かれた気候変動が紹介されていますが、興味深いものがあります。まず、水月湖周辺の植生が周期的に大きく変化していることに驚かされます。そして、その周期が地球全体を支配する大きなリズムと対応していることにも驚かされます。

水月湖15万年の気候変動を再現すると、最近の1万年および12万~13万年前あたりに温暖のピークがあります。反対に、およそ2万年前が氷期の最寒冷期にあたります。この時期は今よりも10℃ほど寒かったそうです。20世紀の100年間の北半球の気温の上昇がおよそ1℃です。年平均気温の10℃の違いは鹿児島と札幌くらい違うそうです。温暖期と温暖期の間隔がおよそ10万年であることは、地球の公転軌道のミランコビッチ・サイクルと一致します。

また、氷期に向けて寒冷化が徐々に進行していく過程で、平均気温が2万3000年の周期で振動している様子が見てとれます。これは、地軸の歳差運動のミランコビッチ・サイクルと一致します。この振幅は徐々に小さくなっています。これは、地球の公転軌道が楕円から円に近づいているからだということです。つまり、現代は氷期に近づいていることになるはずです。

ところが、最後の氷期はおよそ1万1600年に終わり、現代まで温暖な気候が続いています。これ自体は自然に起こったものですが、現在の温暖期は例外的に長く続いていることが、多くの研究者から指摘されています。特に最近の8000年は異常なのだそうです。(ただし、過去にも例外的に温暖期が長く続いたことがあるそうです)

この原因についてある研究者が、アジアにおける水田農耕の普及とヨーロッパ人による大規模な森林破壊にあると主張して学界に衝撃を与えたということです。人間のこれらの活動が大気中の温室効果ガス(メタン及び二酸化炭素)を増加させたというのです。もしこれらの人間活動がなければ、地球は次の氷期に突入していたはずだいうことになります。

もし、これが事実だとすれば地球温暖化の問題は8000年前から始まっていたことになります。氷期が来なくてよかったということにもなりますが、これに産業革命以降の化石燃料の大量使用による地球温暖化の原因が加わり、将来において地球にどのような影響を及ぼすのかを考えると楽観はできないでしょう。

ここで興味深いのは、氷期の最末期には、単に気温が低いだけでなく気温の変動が大きく不安定だった気候が、あるときを境に突然終わって、安定した温暖な気候に変わったということです。水月湖の年縞も氷期と温暖期では堆積物の色と厚みが明瞭に変化しているということです。氷期の終わりは本当に急激な変化だったようです。著者はこのような変化を「複雑系相転移を想起させる」と表現しています。

水月湖の年縞堆積物から気候変動を読み解くプロジェクトは現在も進行中で、水月湖周辺で起こった気候変動の歴史を解明することを目指して研究が続けられているとのことです。今後も新たな知見が続々と得られることが期待されます。

 

 

これから何が起こるのか?

本書のサブタイトルは「過去に何が起きたのか、これから何が起こるのか」となっています。著者によると、現代の古気候学は未来の気候変動を視野に入れることを強く求められているとのことです。大きなサイクルで見れば、この先も過去の気候変動と同様のサイクルで変動していくものと思われます。しかしながら、近未来を考えるとき、現代の温暖な気候が終わるのか、それとも人類の活動による地球温暖化が進むのか、よく分からないという印象です。結局のところ、未来は常に想定外なのだなという感想を持ちました。そうであるならば、人類に最も必要とされるものは、不測の事態に臨機応変に対応できる柔軟性だということになります。

地球の活動は人間の想像力を越えたスケールなので、急激で大規模な変動が起きた場合には、どちらにしても対応できないでしょう。そうなれば、なるようにしかなりません。人類の叡智よりもしぶとさに期待したいものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彦根でブラタモリ(3/3)

ブラタモリ』#93彦根(3/3)

~なぜ家康は“彦根がイイ”と思った?


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近江(赤く備えてみました)

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平和な時代の足軽の仕事とは?
🐱彦根でブラタモリ(2/3) - 森の踏切番日記の続き


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ヒント?


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何か気がつきますか?


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不思議な形?


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ズレてる?


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ズレてる。


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ああ、そういうこと。


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ちょっとだけズレてる意味。

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のぞき窓か。


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のぞき窓から見てください。

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24時間交代

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ヒマな仕事やな。

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ズレてないとき

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ズレてるとき

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無理矢理仕事を作った感がなくもない。

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幕末の第二次長州征伐では、敵方の新式の装備に火縄銃で対抗して惨敗を喫したけどね。

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反一橋派の井伊家は、大政奉還後は新政府支持に回って、戊辰戦争では幕府を見限って新政府側についたけどね。

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まさかの時が江戸幕府瓦解の時だったとは、皮肉な話だな。

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タモリ「これ立派な松だな」

 


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芹中町です。

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草彅「伝統産業があるんです」

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家族に乾杯だ。

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売り物の偽の人間性を発揮しながらw

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偽善芸の極致w

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困った表情の近江アナ。

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「営業妨害やで」

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彦根仏壇事業協同組合理事長

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彦根仏壇

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仏間がないとね。

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先代から聞いております。

 


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一体なんでしょう。

(株)永樂屋彦根本店さんにおじゃましま~す。

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なるほど。

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かぶとやよろいなどが

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武具から仏壇に替わったと、理事長は確信しております。

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鶴瓶「ちゃんと入るわい」

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それはさておき


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平和な時代を生き延びる事につながったと

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見に行きましょう。

 


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おじゃましま~す。

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金箔押師の宮本美弘さん

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やっぱり細かい仕事する人は穏やかそうな雰囲気したはるわ。イラチにはできへん仕事やな。

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分かんないです。

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まあそうおっしゃらずに

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箔がつく

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早い!

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ということで、タモリさんも挑戦。

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あああ

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あー

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破れちゃった

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さすがのタモリさんもお手上げ。

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やはり信楽の狸のアレとか使うのだろうか。

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難しいんですねぇ。

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さすが職人技。



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草彅「伝統の技は奇跡的に受け継がれました」

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草彅「しなやかに生きてきた痕跡が」

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何回「イイ」が出てきたか、暇な人は数えてみて下さい。


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近江牛のすき焼き!


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食いてえ!


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むっちゃデカい!

 

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次回は
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彦根でブラタモリ(2/3)

ブラタモリ』#93彦根(2/3)

~なぜ家康は“彦根がイイ”と思った?


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家康が彦根イイねと言ったから

今日はひこにゃんブラタモリにゃん

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なぜ家康は彦根を重視したのか?
🐱彦根でブラタモリ(1/3) - 森の踏切番日記の続き


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天守の最上階に上がってきました。 


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天守から見た東側の景色です。


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タモリ「山が迫ってるんだね」


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続いて、西側の景色を見ると琵琶湖がすぐそこに。


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西側に琵琶湖があるという位置関係


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草彅「彦根を通らざるを得ないため人の行き来や物流を一手に押さえられる」


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とってもイイ場所


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とってもイイ場所


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北側?


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普通の風景

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イイくない?

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彦根城天守は、こじんまりとした戦うための天守でした。

 


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というわけで城の北側へ。

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彦根の歴史に詳しい「もりよしかず」先生。

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草彅「実は、地形を見れば分かるんです」

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明治26年頃の地図

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かつて、琵琶湖周辺には40数ヶ所もの内湖があったという。太平洋戦争中から戦後にかけてほとんどの内湖が干拓されて農地となった。

 


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かつて琵琶湖周辺にあった内湖

※出典:大中湖 - Wikipedia


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かつて彦根城の北側には琵琶湖とつながる大きな湖があった。

 


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※出典:近江国 彦根藩 - 全国史跡巡りと地形地図 城・陣屋跡・一の宮・国分寺跡

 

🔘松原内湖は、戦争中の食糧難解消のため、昭和19年5月から干拓工事が始まり昭和20年7月に完成したという。入江内湖も昭和19年から干拓が始まり昭和25年に完成したという。


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内湖周辺はおそらくヨシ原だったと思う。

防御にはこの上なくイイ場所。

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しかも、船を使って物資が運べる。昔は琵琶湖の水運は戦略的にも経済的にも重要な位置を占めていた。

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彦根藩の繁栄に欠かせないもの

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一体なんでしょう?


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ということで、かつてここで船で輸送していた蔵を持っていた家の子孫のお宅にお邪魔しま~す。

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花本家の憲明さんとお姉さん。

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出てきたのは古文書の山。研究者には宝の山なんだろうなあ。

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花本さんのご先祖は庄屋様。

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代々伝わる古文書は250~260件

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燃しちゃった

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すごく残念そう。

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どれどれ (..)

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読めねえ。古文書はまず平仮名から読めるようになろうと言うけれども。


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タモリさんすごい。

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それは大量の年貢米でした

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戦国時代、米の収穫量全国2位

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花本さんのご先祖は庄屋のかたわら船で年貢米を運ぶ仕事をしていたのだが…

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ご先祖様「庄屋の役儀御赦免下しよかれ候ようにお願い申し上げ奉り候」

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草彅「それは水運と防御を兼ね備えた」

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驚くべき仕掛けが隠されている?

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超真っ直ぐ。

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人為的。

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川を埋め立てて作った跡

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城の南側。

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特別な目的?

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地図を見ると家屋が密集している。


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家康はここにどんな町を作ろうとしたのか?



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栄町あたりでしょうか。

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当時のまま

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江戸時代の建物

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足軽の屋敷?

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草彅「住まわせるためのものだったんです。しかもそこには…」

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普通足軽の家と言うとね。

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足軽長屋ですね。普通はね。

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特別待遇

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こちらのお宅も。

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売りに出てた。

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売物件ではない別のお宅を拝見。

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おじゃましま~す。

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タモリ「上級武士の家ぐらいありますね」

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平均すると、だいたい50坪くらいだとか。

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江戸時代に天皇に何かがあったときというのはどんなときだろう?

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というのは名目で、西国の外様大名に睨みをきかせるのが本来の役割だったのだろうな。

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琵琶湖を船で行った場合は

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だから足軽を優遇したと。


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足軽が何をしていたのか?

気になりますね。

 


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🐱次の記事へと続く 

 

 


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彦根城玄宮園

いつ見ても暴れん坊将軍が出てきそうな気がする。