森の踏切番日記

ただのグダグダな日記です/2018年4月からはマイクラ日記をつけています/スマホでのんびりしたサバイバル生活をしています/面倒くさいことは基本しません

マジカル粘菌ワールド(3)~粘菌アルゴリズムなのだ

1月の読書録03ーーーーーーー

粘菌 偉大なる単細胞が人類を救う (文春新書)

粘菌 偉大なる単細胞が人類を救う (文春新書)

 

 ※マジカル粘菌ワールド(2)~粘菌のインテリジェンスなのだ - 森の踏切番日記の続き

 



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シート状の粘菌(source : Physarum polycephalum or Yellow Slime Mold (though not a fungus) - a item from 2008 (but still interesting) on how a brainless ameboid lifeform can… | Pinteres…

 

 

第5章  不安定性から読み解く秩序づくりのしくみ

管のない粘菌は薄いシート状になっています。シートの内部は一様にスポンジ状になっていて、個体状態(ゲル)のスポンジの空隙に液体状(ゾル)の原形質が詰まっています。ゲルとゾルは、化学組成的にはほぼ同じで互換性があります。粘菌の運動や形作りは、ゲルとゾルの相互変換を巧みに調節することでもたらされます。原形質はスポンジの中を流れますが、この時、前の記事で紹介した流量強化則(用不用の適応則)にしたがって、自己組織化して管ができあがります。

ここで、「不安定化」という見方を導入します。「不安定性」とは、「一様な状態がもはや安定ではなくなったこと」を指します。ここでは、一様なスポンジ状の構造が維持できなくなった状態のことになります。この時、不安定化を促進する要因と抑制する要因という相反する2つの要因が現れます。不安定化を起こすためには、促進要因が抑制要因に打ち勝つ必要があります。つまり、不安定性は相反する2つの要因のバランスでもたらされるわけです。

 

本書には「不安定化」の例として、歩行者の通路形成、植物の成長、つららの縞模様、交通渋滞などが紹介されています。交通渋滞については「渋滞学」というジャンルがあって、時間変化を離散的に扱うセルオートマトンを応用した数理モデルと時間変化を連続的に扱った常微分方程式数理モデルがあります。

自然渋滞は、車間距離の広いところと狭いところができることが第一で、それによって車間距離が狭いところでは走行速度が低下する現象と云えます。これは、車間距離が一様な状態が不安定化したために発生したのだと見なせます。自然渋滞は、車間距離40mが渋滞になるかならないかの臨界点になるそうです。それより車間距離が短くなると、渋滞の促進要因が抑制要因に打ち勝って、自然と渋滞が発生するというわけです。ここで扱われるのは非線形数理モデル複雑系科学になります。

 

◾反応拡散系

チューリング・マシンで有名な英国の数理科学者のアラン・チューリング(1912-1954)は、1952年に発表した “The Chemical Basis of Morphogenesis”(形態形成の化学的基礎)という論文で、「2つの仮想的な化学物質がある条件のもとで反応しながら拡散するとき、その物質の濃度分布は均一にならず、そこに濃淡の繰り返しパターン(反応拡散波)ができ、その波が生物の形や模様をつくりだす」という仮説を提唱し、反応拡散方程式という2変数の連立偏微分方程式を用いて証明しました。

これは、一様な細胞集団が不安定化して不均一になり、細胞ごとに違う役割を持つようになるしくみを示したものです。この時、ある波長で不均一化が起こり、それにより自発的に一定間隔の縞模様が現れます。この縞模様はチューリング・パターンと呼ばれています。

1970年代になると、この反応拡散系の不安定化現象が、シマウマの縞模様やキリンの網目模様をはじめ、貝殻の様々な模様にも適用できることがわかりました。また、BZ反応の自発的に化学的物質の濃度が不均一化する現象も反応拡散系の不安定化現象として注目され研究が進みました。不安定化を起こすには、小さな「ゆらぎ」が必要だということです。

ただし、チューリングの理論は、「シマウマの縞模様は反応拡散波である」という証明にはなりません。ところが、1995年に大阪大学教授の近藤滋先生によって、タテジマキンチャクダイという魚の縞模様がチューリングパターンであることが確認されました。「生きた反応拡散波」が発見されたわけです。この反応拡散系という見方はいろいろ応用がききます。神経が信号を伝えるメカニズムも反応拡散系の枠組みで解明されました。

チューリングの理論の「ある条件」というは、次の2つの仮定のことです。

仮定1.物質Aは、自身と物質Bの合成を促す。物質Bは、物質Aの合成を抑制する。

仮定2.物質Aの拡散速度は、物質Bのそれよりも早い。

 


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タテジマキンチャクダイ(英名 Emperor angelfish)

 

 

 

🔘原形質流動

ここで粘菌の話に戻って、原形質の流れについて補足しておきたいと思います。変形体の内部では原形質が絶えず移動しています。変形体のどの部分でも原形質の流れは数分周期で向きが反転します。この周期的な流動を惹起する力は、変形体を覆っている外層(ゲル)が収縮と弛緩をリズミカルに交代させていることからきています。

外層のある部分が収縮すると、その部分の内部の圧力が上がります。すると、原形質(ゾル)はそこから押し出され、弛緩している別の部分の外層を膨らませます。また、2つの場所が同時に収縮しようとすれば、原形質は圧力の弱い方に流れていきます。

つまり、どこかで外層が縮めば別の部分の外層が膨らむことになります。これを1ヶ所に注目すると、収縮と弛緩が周期的に交代し、それに合わせて原形質の流れも行ったり来たりするわけです。ある方向に変形体が移動するということは、原形質が往復運動しながらも差し引き移動方向に余分に流れているということになります。

 

細胞内の化学成分のATP(アデノシン三リン酸)に注目して観察してみると、変形体が同心円状にダラーッとしているときは、ATP濃度は周辺部で高く、中心部では低くなります。

変形体が移動しているときは、進行している先端部では原形質が盛り上がって、ほぼ一様にシート状に広がります。後部では、管構造が形成されてネットワークを作ります(この記事の始めの「シート状の粘菌」の画像)。原形質の厚みは後ろに向かうにつれて薄くなります。このとき、細胞内のATP濃度は、進行端で高く後方に向かうにつれて低くなります。つまり、構造上の方向性と対応した方向性(極性)を持ちます。

同心円状のダラーッとした変形体の一部に、忌避刺激である青色光を当てると、粘菌は刺激部位から逃げようとします。このとき、ATP濃度はうねりを伴いながらも、進行端で高く後部で低いという極性分布へ遷移します。このように粘菌は、新たな行動を起こす時には、その化学パターンを変化させるようです。細胞内の化学成分も粘菌の収縮弛緩リズムに伴って振動しているのだそうです。

 

原形質の往復運動に対応する外層の収縮リズムは、外層を構成する化学物質の多重周期性の化学反応が反映していると考えられます。この収縮リズムは、あるサイズ(核の数で百個程度)以上になると現れます。つまり、変形体は振動子の集団だと見なせるわけです。

変形体の収縮リズムの特徴をまとめると次のようになります。

  1. 常に振動する
  2. この振動子は集団としてさまざまな振動パターン(定在波型、時空カオス型、回転らせん波、シンクロ型など)を示す。
  3. 振動パターン間を自発的に遷移する。

最初の2つの性質は、互いに結合している振動子からなる体系(結合振動子系)で一般的にみられるものです(BZ反応もその一例)。3つ目の性質は、生物らしさを表すもので、そのメカニズムの解明は今後の課題です。

ここで興味深いのは、回転らせん波が発生すると、変形体の管構造が破壊され均一化するということです。心臓の心室細動でも心室に渦巻き波が発生することが思い出されます。

 

粘菌が忌避・誘因刺激に応答する際にも、振動パターンの遷移が見られます。粘菌が同心円状にダラーッとしている場合、外部環境が均一だと、振動周期は同じでも周辺部と内部では位相が逆転した振動パターンを示します。

この粘菌の一部をあたためて刺激(誘因刺激)してみます。すると、刺激した領域で振動位相が逆転します。それから、反転位相の領域は周辺に広がっていきます。逆に冷やした場合(忌避刺激)にも同様の位相の逆転が見られます。誘因刺激の場合は位相波は刺激部位から外側へ向かって伝播するのに対し、忌避刺激の場合は逆に刺激部位に向かって内側に伝播します。つまり、位相波の伝播方向が、誘因・忌避刺激の識別の指標となっていることが分かります。ブドウ糖アミノ酸などの誘因刺激でも、塩味物質、苦味物質、青色光、紫外線照射などの忌避刺激でも同様の変化を引き起こします。以上のことから、位相波の伝播方向が好き嫌いの行動判断と対応していることが分かります。

 

こうした真性粘菌変形体の性質から着想を得たアメーバ型ロボットの研究もされています。これは、同じ形をした複数の機械ユニット(モジュール)の集合体で、モジュラーロボットの一種です。完全な自律分散制御によってアメーバのような運動を実現させることを目標とした研究だということです。

 

※参考

◾『自己組織化とは何か 第2版』都甲潔/江崎秀/林健司/上田哲男/西澤松彦(講談社ブルーバックス

◾『非線形科学 同期する世界』蔵本由紀集英社新書) 

 

 

※BZ反応(ベロウソフ・ジャボチンスキー反応)

1,4-Cyclohexanedione Belousov-Zhabotinsky Reaction - YouTube(by SteinbockGroup)

 

 

 

第6章  ヒトは粘菌に学べ

この章では、著者の「日々の研究生活における一人の職業科学者としての心の内」が述べられています。研究することの苦労と喜びが語られるとともに、学問に対する心構えが説かれています。

「目の前に答えはある。それが何の答えなのかがわからない。適切な問いを探すことが我々の問いである」

これは、逆問題の考え方です。

一般に、学ぶとは、「自分自身が今いる世界から外へ出る」ことだと思われます。

これは、知的感受性の問題です。好奇心と知的感受性を持つことの大切さが述べられています。知的感受性は、とても大事。

スポーツの上達には、基本動作の繰り返し練習が不可欠なように、新しい概念の習得にも脳の繰り返し練習が必要です。

脳の機能から考えても、繰り返し練習するしかないと思います。もちろん、どの分野でもプロとアマチュアでは、そのレベルが違うわけですが。

科学では、よく「観察」をします。観察することの本態とは、「何かを見ること」ではなくて、「何を見たらよいか気づくこと」です。

学生時代には、このことになかなか気づけないものです。私自身の学生時代の反省を込めて云わせてもらうと、やはり「素直さ」と「謙虚さ」が大切だと思います。

「一次近似を粗くとる」ことをその感受性を磨くための方法として提案してみたいと思います。

最初から細部を詰めてしまわないで、まず、全体の傾向を大まかにつかんでみるということです。また、独創的な研究者は、発想を転換する能力に長けていると述べられています。さらに大まかなゼロ次近似を見極めるセンスについても述べられています。あと、テイラー展開は、とても大事。

学校では、二つのことを教えてくれます。一つは社会の一員としてルールを身につけるための「標準化」』(社会性の理解)、もう一つは「自分自身の独創性」です。

型にはめるのが「標準化」で、型からはみ出すのが「独自性」です。型がなければ、はみ出す部分も出てきません。著者は、「この二面性がバランスよく成立しているのが良い学校」だと述べています。その上で、「はみ出す部分こそ大切に」すべきだと説いています。「標準化」はシステムの協調性のために必要ですが、「独自性」という多様性がなければ、システムは劣化してしまうということでしょう。

最後に、粘菌研究で知られる南方熊楠が親友に宛てた手紙の一節が引用されています。ここでも、その一節を紹介しておきましょう。

宇宙万有は無尽なり。ただし人すでに心あり。心ある以上は心の能うだけの楽しみを宇宙よりとる。宇宙の幾分を化しておのれの心の楽しみとす。これを智と称することかと思う。

 


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南方熊楠(のレリーフ

 

 

 

🔘粘菌迷路解きアルゴリズム

粘菌の迷路解きを表す方程式を紹介しておきましょう。この方程式には Physarum Solver(フィザルムソルバー)という名前がついています。フィザルムはモジホコリのことです。


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(引用元:我々は脳がすべてをコントロールしていると思っていないか?~書評「粘菌~偉大なる単細胞が人類を救う」 - 毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

 

これだけでは何のことか、さっぱり分からないので、説明を加えておきましょう。まず、右上の図は迷路をグラフで表したものです。迷路の行き止まりや分岐点を節点N_i (i=1,2,…) とし、特にエサ場所に相当する節点をN_1,N_2とします。節点N_iとN_jを結ぶ辺E_ijの長さをL_ijとすると、迷路解きの問題は「N_1とN_2を結ぶ経路を見いだせ」という問題になり、「その中で最小の長さのものを求めよ」というのが、最短経路探索問題になります。

 

このグラフを水道管ネットワークと見なします。ただし、この水道管は流れる水の量によってその太さを変える特殊な水道管とします。節点N_1から一定の流量Q_0で水を流し込み、N_2から同量の水を抜く状況を考えます。この水流はハーゲン・ポアズイユの流れ(血管のような円管中の流れ)であることを仮定すると、管E_ijをN_iからN_jに向かって流れる水の流量Q_ijは、節点N_iでの圧力をp_iとするとき、

 Q_ij=(p_i-p_j)D_ij/L_ij   

となります。ここでD_ijは、コンダクティビィティ(伝導率)を表す指標で、管の半径の4乗に比例し、流体の粘性係数に反比例します。つまり、管の太さと密接に関係しています。この式は、与えられたL_ij,D_ijに対して圧力p_iを求め、それをもとにネットワーク上の流れQ_ijを決めるという意味です。

 

ここで、各節点に流入する水の量と流出する水の量はバランスしていないといけないので、上の図の「流れの方程式」が成り立ちます。ただし、上の図の流れの方程式は、Q_0=1の場合です。つまり、一般式では、

 j=1のとき、左辺=-Q_0

 j=2のとき、左辺=+Q_0

 j≠1,2のとき、左辺=0

となります。左辺は節点N_jを流出入する水の総量を表しています。N_1,N_2以外の節点では、

 流入量-流出量=0

となるわけです。

 

太さの変化の方程式」は、流量に対する管の太さの適応的変化を表す微分方程式です。ここで、関数f(Q)は流量に対応したコンダクティビィティ(伝導率)を与える関数です。これは、増加関数でf(0)=0を満たすもの、例えば、

 f(Q)=Q^μ

を考えます。

最も簡単なf(Q)=Q(μ=1の場合)について、シミュレーションを行うと、まず袋小路の経路が消失し、その後に最短経路が求まり、粘菌の迷路解きの過程まで再現します。μ=1の場合には、必ず最短経路が残ることが数学的に保証されているのだそうです。

 


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粘菌の迷路解きの過程(source : Le métro de Tokyo et les routes des États-Unis modélisés par Physarum Polycephalum, un micro-organisme unicellulaire | SCIENCE | Pinterest

 

上の図の迷路の場合、図eでは4通りの経路選択の組み合わせがありますが、μ=1の場合には、最短経路が残ります。ところが面白いことに、|μ|>1の場合には、収束は早くなりますが、必ずしも最短経路が残らなくなります。0<μ<1の場合には、可能な経路が全て残ります。

 

粘菌には、自分のからだの量に対してエサが豊富にある場合は冗長な経路を作る、といったように状況に応じて適応的に振る舞う性質がありますが、そのような振る舞いもフィザルムソルバーで再現することができます。そのためには関数f(Q)としてシグモイド型関数

 f(Q)=Q^γ/(1+Q^γ)  (γ>1)

をとると、からだの量の大小に対応するQ_0の大小に応じて、最終的に残る経路の冗長性を変えることができます。つまり、Q_0が大きいと最終経路は図eになり、Q_0が小さいと最終経路は図fになります。このように関数f(Q)を工夫することによって、粘菌の鉄道網シミュレーションにもフィザルムソルバーが適応できるわけです。

 

※参考

◾日本ロボット学会誌 Vol.32 No.6, pp530~535, 2014『粘菌の経路探索における最適化』小林亮広島大学

 

 


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Fuligo septica(カワホコリ)

 

 

 

📄関連日記

蔵本由紀著『非線形科学 同期する世界』~体内時計と時計遺伝子など - 森の踏切番日記

『自己組織化とは何か 第2版』~薄皮をむいたミカンに醤油をつけたノリを巻いて食べる - 森の踏切番日記

 

※BZ反応についてはこちらを参照してください。

『非線形科学』メモ(2) - 森の踏切番日記

 

 

 

 

 

 

マジカル粘菌ワールド(2)~粘菌のインテリジェンスなのだ

 1月の読書録03ーーーーーーー

粘菌 偉大なる単細胞が人類を救う (文春新書)

粘菌 偉大なる単細胞が人類を救う (文春新書)

 

マジカル粘菌ワールド(1)~粘菌は不思議な生き物なのだ - 森の踏切番日記の続き

 

 

第3章  ヒトもアメーバも自然現象

動物と植物では命令系統システムが大きく異なります。動物の場合は脳という情報処理機能に特化した中枢器官を持ち、各器官の分業専門化が進んだ中央集権的な命令系統システムになっています。また、循環機能も心臓という一つのポンプだけが担っています。それに対して植物は、中枢器官を持たず、循環機能も至る所にある多数の小さいポンプが担っています。植物の命令系統システムは地方分権的だと云えます。

これは、どちらが優秀なシステムかということではなくて、それぞれが生き残り戦略として選択したシステムだと云えるでしょう。しかしながら、中央集権的なシステムは中枢が機能不全に陥れば、直ちにシステムは崩壊してしまいます。動物の場合は死に至るわけです。動物の中では最も原始的な脳を持つと云われているプラナリアは、頭部と尾部を切断しても両方から完全な個体が再生されます。これは脳の中枢的役割がそれほど発達していないから可能だと云えるでしょう。

そこで粘菌です。プラナリアよりもさらに原始的で脳も神経も持たない粘菌もまた再生能力の高い生物です。1匹の粘菌をギタギタに切り刻んでも、それぞれの小片が個体として生きていけます。逆に2匹の粘菌が融合して1匹になることもできます。ぷよぷよくっついて大きくなることもできます。しかも、立ち直りが早い。つまり粘菌は、どの一部分も1匹として独立して生きていける能力を持ちながら、大きな個体の一部としての役割を果たすこともできるわけです。

このようなシステムを「集中管理システム」に対して、「自律分散システム」といいます。これは、システムの各部分に備わっている自律的な能力と、それらの間に生まれる協調性をできるだけ生かそうとする制御システムなのです。

動物の制御システムは集中管理システムですが、その中枢である脳自体は複雑なシステムでありながら中枢部分はありません。脳自身は自律分散システムと見なすことができます。また、各器官の働きも中枢機能によって全て制御されているわけではなく自律的な機能もあります。こうした集中管理システムと自律分散システムの階層的構造が動物の複雑なシステムを作り上げていると云えるでしょう。

本書では、アリの行列や魚の群れなどが自律分散システムの例として紹介されていました。鳥や魚の群れには、その時々に先頭に立つ個体はいますが、リーダーはいません。こうした群れは、例えば、隣り合う個体とは適当な距離を保つといった、ごく簡単ないくつかの法則から生み出されるようです。局所的な相互作用が全体の行動の創発をもたらした結果、群れとなるのです。

ところが、ある川魚の脳に手術を施して協調性を失わせると、好き勝手に泳ぎ回るようになります。すると面白いことに、群れ全体がこの独りよがりな魚に追随するようになるのだそうです。永続的なリーダーがいないはずの群れに「欠陥」が生じると、絶対的なリーダーが生まれるということは興味深いことです。民主主義というのは、誰がリーダーになってもよいし永続的なリーダーは現れないシステムだと思いますが、「欠陥」のある個体が出現すると…

 


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🔘粘菌のインテリジェンス

粘菌の変形体はアメーバ状にダラーッと広がっていて定まった形を持ちませんが、状況に応じて柔軟に形を変えることができます。粘菌はエサを見つけると、(前の記事のYouTubeの動画のように)そこに集まる習性があります。円形に広がった粘菌の両端にエサ(研究ではオートミールを使用)を置くと、粘菌は両方のエサ場に集まって栄養分を吸収します。その時、二つのエサ場をつなぐように太い管を作り、こんな感じ〔〇━〇〕になります。こうしたフォーメーション替えは自律分散的におこなわれ、粘菌の各部分はその場に応じた役割を担います。面白いことに、エサが豊富にあると、たいていの場合、エサ場をつなぐ管が切れて二匹に分裂するのだそうです。食べるのに夢中になってしまうのでしょうか?

 

迷路問題(迷路の出口と入口を最短距離で結ぶ)

ここでイグ・ノーベル賞で有名になった粘菌の迷路解きが登場します。これは動画を見た方が分かりやすいので、YouTubeで見つけた動画を貼っておきます。この動画の迷路の形は、本書の図版で紹介されている迷路と全く同じです。

 

Slime Mold Physarum Finds the Shortest Path in a Maze - YouTube(by EffettoKirlian)

 

 

①粘菌が迷路いっぱいに広がったところでエサを入口と出口に置く。

②粘菌は、行き止まりの経路からは引き上げて、引き上げた分がエサ場に伸びる。

③迷路に太い経路を作り、2つのエサ場をつなぐ。この時、経路が一通りでない場合もある。その場合は、より長い経路の管はしだいに細り、消滅し、短い経路が残る。

④最終的に、2つのエサ場に群がる部分をつなぐ最短の太い管、という体形が現れる。

※ただし、常に最短経路が残るわけではない。

※エサが多いと最短経路の管も消滅し、2つの個体に分裂する。

 

この粘菌の迷路解きは、栄養の吸収と体内の連絡の双方が効率的になるように行動した結果だと云えます。これは粘菌に、状況を認識し、それに順応し、目的に向かって行動する一連の能力があると考えることができます。それが粘菌の「インテリジェンス(賢さ)」なのです。

ただ、迷路を解いたから粘菌が賢い、とだけいうと誤解を招くかもしれません。この場合、迷路を解いたこと自体ではなく、迷路の最短距離に管を残すことが粘菌の生理活動をより効果的にしているから賢いのだというべきでしょう。

 

鉄道網シミュレーション

それでは、エサ場をさらに増やしたらどうなるだろうというのが、粘菌に鉄道網を作らせる実験です。関東地方の形をした容器を用意し、関東圏の主要都市に対応する位置にエサを置きます。山手線内を大きなエサ場 とし、そこに粘菌を置きます。これも動画を見た方が分かりやすいので、YouTubeで見つけた動画を貼っておきます。この動画のエサ場の位置は、本書の図版と全く同じです。

 

Slime mold form a map of the Tokyo-area railway system - YouTube(by Harvard Magazine)

 

 

①山手線に置かれた粘菌は、周囲に広がっていき、エサを見つけると、残留部隊を残して、さらにエサ場を求めて広がっていく。

②これを繰り返して、いくつものエサ場にありつく。粘菌の動いたあとには太い管ができてエサ場がつながれる。

③やがて全てのエサ場をつなぐ管ネットワークが完成する。 

 

こうしてできた粘菌ネットワークは、JRの鉄道網と類似しているように見えます。これがどの程度JRの鉄道網と似ているかを比較するために、次の3つの評価基準を定めて比較します。

  1. 経路の最短性(経済性)
  2. 耐故障性(保険)
  3. 連絡効率

②は、どこかで管が断線したときに迂回路があるかどうかを表しています。③は、鉄道網全体のもつ都市間連絡効率の良さを表しています。最短ネットワークでは、②や③は最適にはなりません。逆に②や③を最適にするためには、①を犠牲にしなければなりません。こういう関係を「トレードオフの関係にある」といいます。こういう場合は、3者の妥協点を見つけなければいけません。このような問題を「多目的最適化問題」といいます。鉄道敷設計画などは典型的な多目的最適化問題です。

 

上の実験を更に現実に近づけるために、粘菌が光を嫌う性質を利用して、河川や海洋の位置には非常に強い光をあて、山地には標高が高くなるにつれて強い光を当ててみます。そうすると現実のJR路線に更に似てくるということです。著者によると、粘菌は、時々、東京湾アクアラインを建設することがあるそうです。結果的に、JRと粘菌の多目的最適化を比べてみると、ほぼ同程度になるようです。著者に言わせると、JRの鉄道網は「粘菌程度に良くできている」ということになります。

 


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Aは光を当てない場合。Bは光を当てた場合。CはBの結果をグラフ化したもの。Dは実際の鉄道網。Eは最短ネットワーク。Eの場合、例えば、前橋辺りから横浜まで行くには遠回りしなければならない。つまり、連絡効率が悪い。

(引用元:粘菌の輸送ネットワークから都市構造の設計理論を構築―都市間を結ぶ最適な道路・鉄道網の法則確立に期待―

 

 

用不用の適応則(流量強化則)

粘菌の管は、その管を流れる流れに応じて太さを変えます。管には原形質という粘った液が流れるので、管が太いほど流れやすくなります。流れの活発な管が太くなると、流れの抵抗が下がって、ますます流れやすくなって、ますます太くなります。逆に、流れの少ない管はどんどんやせ細ります。こうして粘菌の管は無駄を省いています。各管は、自分のところの流れだけに依存して太さを変えます。それぞれの管はばらばらに太さを変えるのに全体としては最短経路が出来上がるのです。これが自律分散システムの特徴であり、粘菌のネットワーク形成の核心だということです。

こうした粘菌のネットワーク形成を再現するアルゴリズムを作成してコンピュータによる数値計算でシミュレーションをします。私が一番知りたかったのは、このアルゴリズムだったのですが、本書には載っていませんでした。(結局ネットで検索して「日本ロボット学会誌」の広島大学小林亮先生の記事を読んだ)

 

組み合わせ最適化問題

粘菌の戦略は、まず最短ネットワークを基本設計として、余剰資源の分量に見合った分だけネットワークの全長を伸ばす。その時、なるべく効率的に耐故障性が上がるように経路を付加する、というものだとのことです。

これは、「エサ場所の数と位置が与えられ、ネットワークの全長が定められている時、耐故障性が最大になるようなネットワークの形を設計せよ」という組み合わせ最適化問題と呼ばれる問題の1つになります。経済性と連絡効率のトレードオフについても同様の問題が考えられます。

 

粘菌は、このような多機能ネットワークの問題を中枢無しの自律分散システムで解決しているわけです。こうした研究は、都市間ネットワークの形成やインフラ整備に応用されることが期待できます。また、カーナビなどにも応用できるでしょう。

 

 


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Trichia decipiens(ケホコリ)

 

 

 

第4章  粘菌のためらい─科学と文学のあいだ

この章では、粘菌にとって毒物であるキニーネを死なない程度の濃度にして、粘菌の行く手に置くと粘菌はどんな行動をとるか、という実験が紹介されています。横へは逃げられないようにしてあるので、粘菌には後戻りするか、キニーネ帯を乗り越えて前進するかの2択しかありません。たいていは、キニーネ帯の前でしばらくじっとしたまま留まるのだそうです。それから突然動き出すのですが、この時、粘菌によって、3つの異なる行動が見られるそうです。

  1. キニーネ帯から引き返す
  2. キニーネ帯を乗り越える
  3. 一部は乗り越え、他の一部は引き返す

このうちどの行動にでるかは、予測できないといいます。キニーネ帯に遭遇して留まる時間もバラバラだそうです。それぞれの行動も細かく観察すると、いろんなパターンがあり、中にはキニーネ帯を何度も行ったり来たりすることもあるといいます。パニクっているのでしょうか?

著者は、こうした粘菌の行動選択の性質は、人間の意志決定の原形ではないかと見ているようです。粘菌の行動選択のしくみは、数理的に記述することができるということです。つまり、運動方程式で表すことができ、その1つの運動方程式から様々な行動パターンが生じるということです。ここから、「心」とは何かという問題に考察は広がっていきます。

心とは何か、という問題は簡単には結論が出せない難しい問題です。心はヒトだけが持つもので、他の生物は心を持たないのか。他の生物にも心の原形のようなものがあるのではないか、と考えてみると面白いかもです。粘菌のライフスタイルは、「生き物らしさはどこにある?」と、私たちに問いかけているかのようです。

 

 

◾次の記事へと続きます

第5章  不安定性から読み解く秩序づくりのしくみ

第6章  ヒトは粘菌に学べ

 

 

 

 

 

マジカル粘菌ワールド(1)~粘菌は不思議な生き物なのだ

1月の読書録03ーーーーーーー

 粘菌 偉大なる単細胞が人類を救う

 中垣俊之

 文春新書(2014/10/20)

 ★★★☆

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本書の著者は、北海道大学電子科学研究所教授で、粘菌をはじめ、単細胞生物の知性について研究している研究者です。2008年と2010年にイグ・ノーベル賞を受賞され、メディアでも取り上げられたので知っている人も多いと思います。私もこの時に、この先生と粘菌という生物の存在を知りました。

2008年のイグ・ノーベル賞認知科学賞の受賞理由は、「単細胞生物である粘菌が迷路やその他のパズルを解く能力があることを証明した」ことでした。また、2010年の交通計画賞の受賞理由は、「鉄道網など都市のインフラ整備を行う際、粘菌を用いて輸送効率に優れた最適なネットワークを設計する研究に対して」というものでした。

複雑系の科学に関する一般向け解説書を読んでいると、この粘菌の研究がよく紹介されているのですが、粘菌自体をテーマにした本は読んだことがなかったので、何か読んでみようと思って、この先生が書いた『粘菌 その驚くべき知性』(PHPサイエンス・ワールド新書)を探したのですが、残念ながら「品切れ重版未定」とのことで見つからなかったので、取りあえず本書を読んでみました。

本書の「まえがき」によると、『粘菌 その驚くべき知性』は、「理屈っぽい話が盛りだくさんで、読むのがなかなかたいへんである」という読者からの反応があったとか。本書は「それをふまえてもう少し柔らかく」したとのことです。確かに分かりやすさに気を配った内容の本でした。以下、本書の内容を紹介したいと思いますが、ついでに粘菌についてまとめておきたいので、前の記事で紹介した『自己組織化とは何か 第2版』(講談社ブルーバックス)の第3章「粘菌は自己組織化する」の内容も含みます。

 

 


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粘菌(カワホコリ)

 

 

 

第1章  イグ・ノーベル賞顚末記

この章は、2008年のイグ・ノーベル賞授賞式の様子をユーモアたっぷりにリポートした内容になっています。イグ・ノーベル賞の方針は、「まずもって人々を笑わせ、次に考えさせる研究成果」に与えることだといいます。笑いをとろうと思って研究をしている研究者は一人もいないでしょうが、科学がユーモアを忘れたらロクなことにならないという戒めの意味が込められているのでしょう。決して不真面目な賞ではないということです。アメリカらしいといえばアメリカらしいお祭りだと思います。

先日、中国科学院のチームがサル・クローンをつくったという報道がありましたが、「(倫理問題は)科学者が解決するものではない。社会全体で正しい選択を探らなければならない」という記者会見でのコメントには非常に不快感を覚えました。こういう連中の科学はロクなことにならない。こういう輩はヒト・クローンもつくりかねないと思います。

 

 


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真性粘菌の生活環

講談社ブルーバックス『自己組織化とは何か 第2版』より)

 

 

🔘粘菌は不思議な生き物

ここでいう粘菌は変形菌のことで、よく似た細胞性粘菌と区別するために真性(真正とも)粘菌とも呼ばれます。研究ではモジホコリという黄色い変形菌がよく使われるそうです。(以下、単に「粘菌」と表示します)

粘菌は単細胞生物で原生生物に属します。原生生物は真核生物(細胞に核を持つ生物)のうち、動物でも植物でも菌類でもない生物の総称です。粘菌は森の落ち葉や朽ち木などに生息するありふれた生物です。

その一生(生活環)は変わっていて、上の図のようになります。子実体から放出された胞子は風に飛ばされ、朽ち木などの水分中で発芽して粘菌アメーバになります。粘菌アメーバは成長と分裂を繰り返して、鞭毛型(水分が多い場合)もしくはアメーバ型の「遊走子」になります。この遊走子は性があり、異なる性の細胞と出会うと接合して、核も合体して「接合体」を形成します。上の図にある「シスト」は休眠状態の粘菌アメーバです。

この接合体は微生物を捕食し、細胞質分裂を伴わない核分裂と成長を繰り返し、多核の大型アメーバ状栄養体に成長します。これを「変形体」といいます。つまり、核はたくさんあるけれども単細胞生物なのです。この変形体が餌をを求めて動き回るわけです。速さは時速1センチメートルほどだといいます。上の図にある「皮体」は休眠状態の変形体です。「菌核」とも云うようです。

粘菌の接合体の大きさは、約10マイクロメートル(=0.01mm)程度ですが、成長すると変形体は10センチメートル程度に薄く広がります。中には、数メートル以上も大きく広がるものもあるそうです。上の図にあるように核は分裂すると倍々に増えていきます。約10時間の細胞周期ごとに、多数の核が同調して一斉に分裂するといいます。従って、n回分裂すると核の数は2のn乗になります。27回分裂すると核の数は億を超えます。

変形体は環境が悪化すると、小さなキノコのような子実体を形成します。胞子を作るところは菌類のようです。変形体は動き回るので動物のようです。また、植物的な面もあります。菌類のようでもあり、植物のようでもあり、動物のようでもある不思議な生き物が粘菌なのです。

 

※参考

◾『自己組織化とは何か 第2版』都甲潔/江崎秀/林健司/上田哲男/西澤松彦(講談社ブルーバックス

国立科学博物館ホームページ

〈変形菌の世界 title(画像あり)〉

モジホコリ - Wikipedia

 

 

 


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サビムラサキホコリの子実体

※引用元:富士自然学校(株)

 

 

◾こちらのYouTubeの画像は、ムラサキホコリ(stemonitis)の子実体です。胞子が成熟すると色が濃くなっていきます。

 

Stemonitis (Slime Mold) growth stages - YouTube(by Nature in Motion)

 

 

  

第2章  粘菌の知 人の知

この章では、粘菌研究の概略が紹介されています。著者が粘菌に魅了された最大の理由は、「粘菌には物質的な匂いがまだプンプンしている」ということだそうです。生命は単なる物質が集まってできています。何故「モノ」から生命が生まれたのかという問題は、科学の最大のテーマの一つです。単細胞生物は無生物と生物の境界にいるからこそ面白いという著者の話は、もっともだと思いました。

もう一つ考えさせられるのは、「知性」とは何かということです。著者によると、粘菌には「原始的な知性」とおぼしきものがあると云います。また、脳も神経ももたない粘菌にも「記憶」や「学習」の芽生えがあると云います。そういったものが、抽象的概念までも扱う人間の知性につながっていくものなのか、興味深いものがあります。

 

 

 

🔘変形菌の子実体いろいろ


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ケホコリの子実体

 


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マメホコリの子実体

🙀英語では Lycogala epidendrum。別名 wolf's milk(狼の乳)。キノコと間違わられやすい。

 


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クダホコリの子実体

🙀ウニか!

 


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Tubifera ferruginosa(クダホコリ)

🙀タラコか!

 


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Tubifera ferruginosa(クダホコリ)

🙀明太子か!

(source : File:Tubifera ferruginosa 52288.jpg - Wikimedia Commons

 


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Raspberry Slime Mould

🙀ラズベリー・スライム・モールド!

キャビアに見えなくもない。これもクダホコリです。胞子が熟した状態のようです。上の赤いのも Red Raspberry Slime Mould というようです。粘菌は英語では slime mould または slime mold といいます。 

(source : File:Tubifera ferruginosa, Raspberry Slime Mould, UK 2.jpg - Wikimedia Commons

 

 

 

 ◾蔵本由紀著『非線形科学 同期する世界』~体内時計と時計遺伝子など - 森の踏切番日記でも紹介した YouTube の変形菌の動画を再掲しておきます。

 

変形菌 移動 - YouTube(by 星夢絵里亜)

 

 

 

 

◾次の記事へと続きます

第3章  ヒトもアメーバも自然現象

第4章  粘菌のためらい─科学と文学のあいだ

第5章  不安定性から読み解く秩序づくりのしくみ

第6章  ヒトは粘菌に学べ

 

 

 

 

 

 

『自己組織化とは何か 第2版』~薄皮をむいたミカンに醤油をつけたノリを巻いて食べる

12月の読書録03ーーーーーーー

 自己組織化とは何か 第2版

 都甲潔/江崎秀/林健司/上田哲男/西澤松彦

 講談社ブルーバックス(2009/04/20)

 ★★★☆

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本書の前著である『自己組織化とは何か』は1999年12月20日に刊行されたのだが、その後の複雑系の科学の進歩はめざましく、改訂の必要に迫られたということで、執筆陣も新たに書き下ろされたのが本書である。

私は、一昨年から複雑系の科学の歴史が知りたいと思って、複雑系の科学に関する一般向け解説書をいろいろ読んでいる。前著の『自己組織化とは何か』は、昨年の3月に読んで感想をこのブログにも載せた。引き続き本書を読もうと思ったのだが、気がついたら12月になっていた。まったく月日が経つのは早くて困る。

本書も刊行されてから9年近く経ち、「自己組織化テクノロジー」も益々発展していることと思うが、複雑系の科学の歴史を知る上では本書でも問題ないだろう。この第2版は、前著の内容から余分な枝葉を剪定してすっきりさせて、そこに2009年当時の最新の話題と応用に関する概説を加えた内容になっている。前著もそれほど簡単な内容ではなかったが、本書で新たに加筆された部分は、より専門的な解説になっていて、前著よりも高度な内容になったという印象である。以下、各章の内容を簡単に紹介したいと思う。

 

※前著についてはこちらを参照してください。

🔘『自己組織化とは何か』を読む(1) - 森の踏切番日記(第1章・第2章)

🔘『自己組織化とは何か』を読む(2) - 森の踏切番日記(第3章以降)

 

 


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第1章・自己組織化とはなんだろうか

この章は、前著の第1章をコンパクトにまとめた内容になっている。前著の第1章は、やや冗長な感じがしたのだが、すっきりさせたという印象である。具体的に云うと41頁あったのが、22頁になった。自己組織化とは「ランダムになろうとする力に秩序化しようとする力が打ち勝つこと」であるという解説は変わらない。

 

 

第2章・自己組織化のしくみ

この章は、前著の第2章〈自己組織化現象のしくみ〉とほぼ同じ内容である。非線形科学の基本的な解説だが、コンパクトにまとめられているので、いきなり本書から入ると少し分かりにくいかもしれない。

生物に見られる自己組織化は非平衡系であり、均等な状態からリズムやパターンが生まれる点が共通している。

 

 

第3章・粘菌は自己組織化する

この章は、前著の第3章〈細胞が示すインテリジェンス〉を書き改めた内容になっている。前著では、シャジクモ、細胞性粘菌、ヒドラ、真性粘菌を取り上げていたのだが、本書では真性粘菌にしぼって、自己組織化の観点からその性質を前著よりも詳しく解説している。

この真性粘菌(変形菌)という単細胞生物は、複雑系の科学に関する一般向け解説書を読むとよく出てくるのだが、まことに不思議な生物である。真核生物なのだが、動物的な面もあり、菌類的な面もあり、植物的な面もあるという原生生物である。研究ではモジホコリという粘菌がよく使われている。本書(第1刷)では、「モジホコリカビ」と記されているが、カビではないので今は正式には「モジホコリ」というそうだ。 

 

 

第4章・脳がつくるリズムとパターン

この章は、前著の第4章とほぼ同じ内容で、主にニューロンの自己組織化に関する解説である。ここまでは前著の内容をほぼ踏襲しているが、第5章からは内容が大きく変更されて、前著の第5章〈高等植物が作り出すリズムとパターン〉、第6章〈人工脂質膜の示すリズム〉、第7章〈自己組織化からカオス、そして複雑系へ〉が削除されている。

前著のサブタイトルは「生物の形やリズムが生まれる原理を探る」となっていて、主に自己組織化によって非平衡系に生じるリズム現象の紹介がメインだった。本書のサブタイトルは「自分で自分を作り上げる驚異の現象とその応用」となっていて、応用面に重点が置かれている。

 

 

第5章・生命と人工生命の進化

この章は、前著の第8章〈人工生命がもたらすもの〉に対応していて、複雑系の科学から見た生命の起源と進化に関する説明がやや詳しくなっている。「進化は複雑適応系である」という解説は変わらないが、「無駄と冗長性こそが進化をはぐくむ土壌なのだ」と無駄の効用を強調している点が印象に残った。

前著ではこのあと、第9章〈マイクロマシン─自己組織化が生み出すミクロの世界〉、第10章〈分子素子への挑戦〉とナノテクノロジーの話題が取り上げられているが、本書では削除されている。代わりに本書で取り上げられているのが「自己組織化テクノロジー」で、第6章以降は自己組織化の科学の工学的応用の話題が解説されている。

 

 

21世紀科学のキーワードはバイオとナノ、さらに、バイオナノテクノロジーだといわれる。バイオが扱う分子はナノサイズであるから、バイオテクノロジーは、もともと、一種のナノテクノロジーだ。一方、高度に進んだナノレベルの加工技術(ものづくり)でできた部品を如何にして組み立てるかが、ナノテクノロジーの正念場である。解決のヒントは、すでにその課題を高度に実践しているバイオ系にあるはずだ。

さまざまなタイプの相互作用を利用しながら自己組織化する生体分子の精緻でダイナミックなワザは、現在私たちが手にしているテクノロジーの域をはるかに超える。バイオシステムを支配する自己組織化の理解と応用が、ナノテクノロジーの発展に必須なのだ。

 

 

第6章・生体パーツの自己組織化を操る

生体システムで成り立つ自己組織化の例として、リボソームから放出されるタンパク質の「折りたたみ」に関する説明などがあるが、メインは細胞接着を制御する最新技術の解説で、培養細胞を用いる神経回路網の研究や培養細胞周辺の生化学的・空間的環境をナノテクノロジーで制御することによって細胞の自己組織化を誘発する技術の紹介で、細胞シートや人工血管など医療の分野での応用が研究されているという。さらに、細胞の自己組織化を操る技術は、デバイス工学やロボット工学へと発展していくことが期待されているという。

 

 

第7章・味覚を再現する 

第7章と第8章では、自己組織化を利用して作られた味覚センサーとにおいセンサーについて詳しく解説されている。 味覚と嗅覚は化学物質を受容して生じる感覚で、これを再現するためには化学物質とうまく相互作用できる表面を構築するテクノロジーが要となるという。

まずは、脳が実際にどのようにして味覚や嗅覚を認識しているのかを知らなくてはならないので、そのしくみが解説されている。進化の段階からいうと原始的な脳である扁桃体にも味覚や嗅覚の情報が入ることが特徴的である。扁桃体は、快不快、好悪、情動などに関係する部位であり、味覚や嗅覚が感情と密接に関連した感覚であることがわかるという。

 

第7章では、味覚センサーのしくみについて解説されている。前著では第1章で簡単に紹介されただけだったが、本書ではこれが詳しく解説されている。脳が認識する味覚は主観的であいまいであるが、味細胞で受容されるパターンはあいまいさが少ないという。味細胞で受容される基本味が、酸味・塩味・苦味・甘味・うま味の五味で、これらの味物質は舌の生体膜で受容される。味覚を再現するためには、類似した構造の生体膜を人工的に作り上げればよいことになる。そこで脂質の自己組織化を利用してつくられたのが脂質高分子モザイク膜であり、これが味覚センサーで用いられる人工味細胞だという。

単に化学物質の量を測ったからといって、「味」がわかったことにはならない。味は相互作用し、互いに弱め合ったり強め合ったりするからである。たとえば、苦いコーヒーに砂糖を入れると、苦味が減る(抑制効果)。また、うま味成分のグルタミン酸ナトリウム(MSG)にごく少量のイノシン酸ナトリウム(IMP)を加えるとうま味が飛躍的に増す(相乗効果)。人工味細胞は、このような効果も再現できるという。

※味の素の場合、MSGが97.5%に対して、IMPが1.25%、グアニル酸ナトリウム(GMP)が1.25%、と表示されている。IMPとGMPは5′-リボヌクレオタイドナトリウムという混合物として生産される。MSGが昆布のうま味成分、IMPが鰹節のうま味成分、GMPがシイタケのうま味成分だが、工業的には昆布や鰹節やシイタケから生産されるわけではない。

 

この人工味細胞を利用して開発されたのが味認識装置で、開発したのが本書の著者の一人である都甲潔教授なのである。現在この装置は、食品や医薬品メーカー、研究所、大学などに普及しており、味の数値化や商品の品質保証に活躍しているという。

都甲先生によると、味はバーチャルなものだという。先生には『プリンに醤油でウニになる』『ハイブリッド・レシピ』などの著作もある。ここで、「プリン+醤油=ウニ」以外の味覚センサーも保証する味の組み合わせをいくつか挙げておこう。

 

 

①麦茶+牛乳+砂糖

 

=コーヒー牛乳

 

 

②牛乳+酢

 

=ヨーグルト

 

 

③牛乳+たくわん

 

=コーンスープ

 

 

④トマト+砂糖

 

=イチゴ

 

 

⑤キュウリ+蜂蜜

 

=メロン

 

 

⑥豆板醤+マヨネーズ

 

=辛子明太子

 

 

⑦薄皮をむいたミカンに醤油をつけたノリを巻く

 

=イクラ


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第8章・嗅覚を再現する

におい分子は嗅細胞の生体膜で受容される。嗅覚の特徴はその高い感受性にある。嗅覚も味覚と同じく化学物質を受容する感覚だが、味覚のように基本臭に分類するというような単純なものでないようだ。

味覚の場合は、酸味だと腐った味、苦味だと毒の味、と判断するするように生理的な意味があり、先天的に決まっていることが多いと云える。それに対して、嗅覚は経験や学習、状況によって快不快が決まり、後天的な要因が多いと云える。

味細胞は上皮細胞が変化したものであるのに対して、嗅細胞は神経細胞が変化してできた細胞なので、直接インパルスを発することができる。嗅細胞がにおいを受容するメカニズムは味覚よりも複雑である。ヒトの場合、嗅細胞の数は500万個(イヌは2億個)といわれており、約350種類のレセプター(受容体)が存在すると推定されている。1つのにおい物質は多種類のレセプターと結合し、各レセプターは数種類のにおい物質を受容する。

これをコード化して考えてみると、たとえば、におい物質の構造や化学的性質などの特性を3種類(A、B、C)選んで、それぞれのパターンを分類して番号(A001~100、B101~200、C201~350)を与えるとすると、それぞれのにおい物質が3つの番号を持つことになる。レセプターはそれぞれ固有の番号を持ち同じ番号のにおい物質を受容するとする。におい物質は数十万種類あるともいわれているが、1つのにおい物質が3つのレセプターと結合する場合は、上の場合だと150万通りになる。これはかなり単純化したモデルで、実際のメカニズムとは異なるが、約350種類のレセプターだけで十分対応できるといってもよいだろう。

特性基で分類する場合、たとえば、水酸基を有するアルコール類(お酒のにおいなど)とフェニル基を有する芳香族化合物(シンナー臭など)に対して、両方の特徴を有する芳香族アルコール(バラのにおいなど)がある。この2つの特性基を部分構造と考えると、2次元モデルでにおいを表現することができる。3~4の部分構造を有する化学物質は多数存在し、この場合は、3次元モデルや4次元モデルになる。特性基は数多く種類があるので、その組み合わせに応じて、においの多次元モデルが存在することになる。この点が嗅覚は、視覚(3次元)や味覚(5次元)とは大きく異なり複雑である。

このように複数の異なるレセプターから構成される化学物質のにおい情報を「においコード」と考えると、においコードを計測できれば「においコードセンサー」が開発できることになる。ただし、このセンサーは、においの生じる元々の化学物質を同定、または再構築はできない。化学物質の持つ性質の一部しかわからないからである。

このにおいセンサーの開発のために考案されたにおいセンサー用電極に、自己組織的に単分子膜を形成できる物質を利用すると、対象物質を吸着させる穴を形成させることができ、人工のレセプターができるという。

 

一般に、コーヒーのにおい、ワインの香り、リンゴのにおい、という場合、これらは必ずしも1つの化学物質からは構成されない。それとは対照的に、1種類の分子による1つのにおいが重要となる場合がある。たとえば、フェロモンがそうであり、麻薬や爆薬のにおいがそうである。麻薬を検知する犬のように、嗅覚には単一の化学物質を超高感度で検出できるという側面もある。爆薬を検出する超高感度においセンサーも開発されている。

フェロモンの効果について、ドミトリー(寄宿舎)効果というのが本書で紹介されていて興味深かった。これは、共同生活をしている女性同士の月経周期が同期する、というものである。月経周期を延長させたり、短縮させたりするフェロモンあり、これが部屋を飛び交い互いを同調させるのだという。

 

 

第9章・生体パーツを取り込むデバイス技術

この章は、タンパク質や細胞を部品として使う技術の紹介である。そこで重要なのが、これらの生体由来の部品が元来有する自己組織化のプログラムをうまく誘導することであるという。タンパク質を部品として応用する研究で特に進んでいるのが、ある特定の反応だけを触媒とする酵素と、特定の分子とだけ正確に結合を形成する抗体であるという。

ミトコンドリアのエネルギー変換を真似たバイオ燃料電池の開発では、酵素や(酵素の詰まった)微生物を使った研究が進んでいる。これは、寿命が限られるなどの弱点があるものの安全性が高いので体内に埋め込んで利用することが期待できるという。また、バイオセンサーでも酵素の利用が進められていて、血糖値センサーが紹介されている。他にも抗体を利用するバイオセンシング技術やイオンチャンネルを利用したセンサーなどが紹介されているが、話がだんだん専門的になっていくので、少しゲンナリした。

細胞を部品とする応用研究の領域が、再生医療創薬、バイオアッセイ、バイオリアクター、新しい情報デバイス、マイクロロボットへと急速に展開し、目が離せない分野となっているのだそうだ。

※バイオアッセイ(bioassay)は、生体由来の材料を用いて生物学的な応答を分析するための方法のこと(生物検定)。 バイオリアクター(bioreactor)は、生体触媒を用いて生化学反応を行う装置の総称。

新しい情報デバイスの研究としては、半導体バイスと培養細胞を組み合わせた神経チップが紹介されている。これはサイボーグ工学の領域である。この研究が進展すれば、人工脳が生み出されるかもしれない。

マイクロロボットの研究としては、心筋細胞によって歩くマイクロマシンが紹介されている。細胞を取り込んだデバイスは、培養液中の栄養分をATPに変換して動くので電源を必要としない。小型化を必要とするシステムの部品にうってつけなのだという。こうした技術は、ますます進展していくことであろう。

 

 


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本書は、生体系が自己組織化を利用して出来上がった機能体であるという説明から始まって、生体を模倣した技術である自己組織化テクノロジーへの応用が多数紹介されていて工学的で比較的専門的な内容になっている。一般向き解説書としては少し難しい方かもしれない。バイオナノテクノロジーは最先端の分野であるし、どこへ向かおうとしているのか、興味深くはある。

味覚センサーでは、味は分かっても「おいしさ」は分からないらしい。「おいしさ」は味だけで決まるものではないからだろう。人の五感のうち、視覚、聴覚、触覚に対応するセンサーは、味覚や嗅覚のセンサーに比べると難しくはないので既にある。味覚センサーと嗅覚センサーが開発されたことにより、五感センサーが可能になったわけである。従って、人間の感覚をロボットで再現することが可能になったのである。いずれ、「おいしさ」が分かるロボットが出現するに違いない。

 

 

 

 

自己組織化とは何か 第2版―自分で自分を作り上げる驚異の現象とその応用 (ブルーバックス)

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📄関連図書 

 

 

ハイブリッド・レシピ

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~田園調布はどう超高級住宅街になった?


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🔘田園調布でブラタモリ(2/3) - 森の踏切番日記の続き

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多摩川浅間神社


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映画『シン・ゴジラ』のタバ作戦ね。


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「タバ」は、多摩の古い呼び方からきているとか言われてますね。


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西部邁さんが自殺したのもこの辺りなのかな。


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丸子橋と東急東横線

 

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天気がよければ富士山が…


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荏原台古墳群

 

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のうちの田園調布古墳群


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東横線の北側に宝来山古墳、亀甲山古墳などの古墳があります。

 

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浅間神社古墳


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そのまんま


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ゴゴゴゴゴ


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タモリ「あのカーブを曲がらなきゃいけないのよ」


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ゴゴゴゴゴ

 

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ゴゴゴゴゴ


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ハニ?


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恐るべし東急東横線

 

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でもタモリさんはうれしそう。

 


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🔍田園調布駅Google マップ


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まとまった住宅街をつくりにくい場所でした。


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普通は駅前は商店街だものね。


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更に、ここには不便な地形をを逆手に取り…

 

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あったなあ、そういえば。


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日本一の囲碁


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碁石デカッ!


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電車に乗客を呼び込むための沿線開発の意味合いもあったと思う。


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プロレスやコンサートなどが平成元年に閉鎖されるまでに数多く行われました。

 

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プロレス! なつかし!

こんばんは、ラッシャー木村です

あれも田園コロシアム

 

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つくられたものだったそうな。


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慶應義塾大学野球部の専用球場だったそうな。

 


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多摩川駅


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最盛期は東京オリンピックの頃だったとか。


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創業当時の案内図


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抱き合わせで買わされたとか。


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他に利用の方法がなかったとか。


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ライオン壁泉が気になるわ。


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大山すべり跡


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当時は、ヒノキのすべり台が直線に走っていたそうな。


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こうして見たら、結構コワいかも。


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これも、電車に乗客を呼び込むための沿線開発の意味合いもあっただろうな。

 

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苦肉の策とも言うよね。


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渋沢秀雄自身も、もちろんのこと田園調布に家を建て住人となりました。海外視察をした彼自身がこんな街に住みたいなと思った理想を現実化したのが田園調布だったのだろうと思いました。

 


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おじいちゃんの散歩に初めてつきあった孫娘の感想でした。


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どっちにしても、オイラには縁がねえや。

 


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お昼は蕎麦ね。


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1928年(昭和3)分譲を完了した田園都市株式会社は、その役割を終え、目黒蒲田電鉄に吸収合併されました。渋沢秀雄は、目黒蒲田電鉄監査役に就任しました。

 

 

 

おまけ

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多摩川大田区)から見た富士山

 

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葛飾北斎富嶽三十六景 武州玉川』
 

 

次回は

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有馬温泉でブラタモリ(1/3) - 森の踏切番日記

 

 

 

 

 

田園調布でブラタモリ(2/3)

ブラタモリ #96田園調布(2/3)

~田園調布はどう超高級住宅街になった?


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🔘田園調布でブラタモリ(1/3) - 森の踏切番日記の続き

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行ってみましょう。


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子供に気をとられる近江アナ。


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なんと、築83年。ということは、昭和10年頃か。


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へえ~


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田園調布3丁目4-7

 

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「Sticka」という名前のお店

 

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週1オープンの北欧ビンテージ雑貨店だそうな。


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ご本人の Twitter によると、コピーライターで北欧Book主宰。北欧関係の本を出版している人のようです。

 

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さすがに、放送翌日の日曜日はお客さんが集中して大忙しだったそうな。

 

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ネコもいるみたいね。

 

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いやいや、ご謙遜を。


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1坪15円~60円、平均40円ほどだったようです。今の価格でいうと1坪4~16万円、平均10~11万円になります。(大卒初任給から計算)


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前に出た建築規則に建築工費は1坪120~130円以上という条件がありました。また、建物敷地は宅地の五割以下という条件もありました。100坪の平均的な地価の土地に50坪の家を建てると、確かに今の価格で3000万円程度になります。


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ただし、これは平均であって、前に出た分譲当初の区画図を見ると、地価が高そうな駅の近くは敷地が広いので、土地だけで今の価格で3000万円以上したと考えられます。建築費も3000万円以上になると思われます。

 

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また、地価の低そうな駅から遠い所は敷地の狭い区画が多いので手頃だっただろうと考えられます。つまり、ピンキリがあったということです。

 

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宝樹「都心で働く人たちが心安らかに暮らせる場所として」

 

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森「とくに年配の方」

 

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森「たまに涙ぐまれる方とかもいらして」


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これは残しておいてほしいなと思うことがある。


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ものすごく怪しまれた。


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タモリ(わっ、これはいかん!)

 

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セールスマンと勘違いされた。


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分かるんですと。


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近江友里恵の素朴な疑問。


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切り立った台地になっています。

 

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水分が周囲の低い土地に抜けていくので地盤が安定している。


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パトカー。

 

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築地「そろそろ、その答えが分かる人がやって来る筈なんですね」


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警官?


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出前?


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さらに、白バイまで!

 

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タモリ「出前の方でもない」


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出前の方でした。


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由緒あるおそば屋さん?


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バイクでの出前の先駆け?


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タモリ「坂道が多いから」


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ということで、坂を下って右に曲がっておそば屋さんへ。


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兵隊家!


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さすがのタモリさんも知らなかった。


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もともとは陸軍の軍人でした。


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1923年(大正12)8月、田園調布分譲開始

9月1日、関東大震災


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地盤の強い高台に住むようになった。


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先に分譲を始めた洗足田園都市地震の被害がほとんどなかったということもあったようです。


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海軍技術研究所は「#57目黒」の時に出てきました。(👉目黒でブラタモリ - 森の踏切番日記

 

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旧海軍技術研究所


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職住近接


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ということは、ごく早い段階で軍関係者が住み始めたということになりますかな。それから、地震の被害にあった富裕層も住み始めたということでしょうな。


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鳩山由紀夫とか


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石原慎太郎とか


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田園調布といえば、やっぱり長嶋茂雄さんだなあ。


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現在の田園調布の基準地価の平均は約68万円/㎡です。坪単価は190万円~340万円くらいになります。平均すると、250万円/坪くらいです。


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近年では、東京都の地価の平均よりもやや低いくらいだとか。


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バブルの頃が異常だったということでしょう。

 


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人気の場所だったとな?


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感慨深い?

 

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ここで終わる。


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近江(田園調布なのに国分寺?)

 

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近江(ガイセン?)


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近江(国分寺凱旋? 国分寺外線?)

 

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河岸段丘ですな。


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次の記事へと続く

 

 


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『日本列島100万年史』山崎晴雄・久保純子著(講談社ブルーバックス)より

 

 

 

 

田園調布でブラタモリ(1/3)

ブラタモリ #96田園調布(1/3)

~田園調布はどう超高級住宅街になった?


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近江(今日は田園調布でタモさんぽ🎵) 

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タモリ「うちの近くなんですけどね」


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タモリさんの自宅は目黒区八雲にあります。

東横線でいうと都立大学前が最寄りの駅でしょうか。

直線距離だと3kmくらい。

 

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およそ9000世帯。人口約1万9000人。

 

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弁が立つ、腕が立つ、田園調布に家が建つ!


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ナスは茄子と那須の掛詞になっている。


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1971年結成、2003年コンビ解消

右・星セント(1948-2004)

左・星ルイス(1948-2005)


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大田区になるんだ。


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タモリ「今日はセレブ感を出して」


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田園調布駅。本当の駅は地下にあります。

1990年に駅地下化のため旧駅舎は解体されて、2000年にシンボルとして復元されました。


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駅の東口から西口へ。


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駅の東側は階段があるけれど、西側は平坦。

つまり、東側よりも西側の方が高いということになります。


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大田区だけど築地さん。


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渋沢栄一らが田園都市株式会社を立ち上げたのが、1918年(大正7)です。

 

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実際に分譲が開始されたのは、1923年(大正12)8月からです。


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どのような様子だったか?


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築地「人家はほとんどありません」


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草彅「それは東京の中心部で人口が急増していたことでした」


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草彅「そこで、当時まだ開発が進んでいなかった郊外に」


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草彅「実はそこには、それまでの日本になかった」


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欧米風


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それを言うなら大阪の方が早いで。

 

 

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初代通天閣(1912年)

凱旋門の上にエッフェル塔までついてる。

手前はルナパーク。


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これは前回の『宝塚でブラタモリ』でも紹介した大阪商業会会頭・土居通夫の発案です。通天閣の「通」は、土居通夫の「通」を盛り込んだとも言われています。


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放射状に3本、道がのびてるしね。


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今日は田園調布でブラタモリ

 


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タモリ「駅からすぐ住宅街、これがすごいところ」

ご機嫌なタモリさん。


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ずっと曲がっていますね。


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放射状の道と環状道路を組み合わせた構造が田園調布の特徴。

 

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タモリ「土地が分譲しづらい」


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渋沢栄一の四男。この人の発案です。

設計したのは、矢部金太郎。田園調布駅の設計もこの人。


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渋沢栄一らは、欧米の都市を念頭においた郊外住宅の開発と鉄道などの整備を構想して、1918年(大正7)に田園都市株式会社を立ち上げました。

1919年(大正8)渋沢秀雄田園都市視察のため欧米11カ国を訪問します。

1920年(大正9)秀雄は田園都市株式会社取締役に就任します。ところがこの年、第一次世界大戦後の恐慌で株式が暴落し、経営が悪化します。


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それで、その不況下でも阪神地区で沿線開発に成功していた小林一三にアドバイスを求めることになったわけです。

 

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最初は固辞していた小林でしたが、名前を出さず、報酬も受け取らず、役員会には月に一度だけの出席という条件で、1921年(大正10)に田園都市株式会社の実質的な経営者になります。


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1922年(大正11)まず、洗足地区の洗足田園都市の予約分譲が始まり、購入希望者が殺到します。こちらの道路は碁盤状。

ところが小林は、せっかく方針を定めてもさっぱり実行できないから、もっと実行力のある役員を入れろと言って、五島慶太を推挙します。

そして、鉄道部門を分離独立させて目黒蒲田電鉄株式会社を設立し、五島慶太に経営を任せます。


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1923年(大正12)3月、目黒蒲田電鉄株式会社の目黒-丸子(現・沼部)間(目黒線)が開業。

同年8月、田園調布の分譲が始まることになるわけです。

田園都市 (企業) - Wikipediaを参考にしました)


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渋沢秀雄は、のちに東宝の会長もつとめます。

 


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宝樹さん。宝の樹とはお金持ちそうな名前。


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田園調布生まれの田園調布育ち

 

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わざわざ道をカーブにしたねらいは何だったのでしょう?


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道がまっすぐの場合。


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カーブしている場合。緑の印象が強くなる。


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大正時代に分譲地がつくられたばかりの頃の建築規則がこちら👇


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瀟洒典雅のものたらしむること


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ただし、採算を度外視した構想だったようで、小林一三があきれたのも無理ないと思います。


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そこは、自ら阪急グループを一から築き上げた実業家・小林一三と、四男坊・渋沢秀雄の経営に対する姿勢の違いでしょう。


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確かに、大変。

 

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宝樹「散歩しても非常に楽しい」


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タモリさんの名言「直線を見たら秀吉と思え」


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近江「カーブが好きな方も…」


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秀吉と比較するところがブラタモリらしい。


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なるほどねえ。

 


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築地「もともとは調布村という村名」

1889年(明治22)上沼部村、下沼部村など4つの村が合併して調布村となる。


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1928年(昭和3)町制施行の際、北多摩郡調布町と区別するために、東調布町と改称。

1932年(昭和7)東京市に編入。大森区となる。

 

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あ、何だっけ?

 

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ありました。


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交響曲第6番へ長調『Pastorale』


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あ、ガーデンな。


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ガーデンシティーな。


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厳密に言うと、イギリスのガーデンシティと渋沢らの田園都市構想は少し違うらしい。

田園都市 (企業) - Wikipediaの「田園都市の理念」の項に詳しい解説があります。


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1923年(大正12)に分譲されたときの名称は「田園都市多摩川台」でした。

この年先に開業した目蒲線の駅名は「調布駅」でした。


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1926年(大正15)に調布駅が「田園調布駅」と改称されます。この頃、分譲地の一般呼称は「調布田園都市」でした。

つまり、「田園調布」という呼称は駅名が最初だったのです。それがだんだんと広まっていったわけです。


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1932年(昭和7)に東京市大森区に編入された時、行政区画として「田園調布」の地名が誕生しました。この時、一部は編入されずに、「玉川田園調布(世田谷区)」になりました。

田園調布 - Wikipediaを参考にしました)


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「田園」をそのまま英訳すると、countryside とか rural area とかになりそうね。


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「街全体を庭園都市とすることを建設の目的とした」ということですね。

 


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次の記事へと続きます

 

 

 

 

📄ブラタモリこの記事の前

🎵宝塚でブラタモリ(1/3) - 森の踏切番日記

🎵宝塚でブラタモリ(2/3) - 森の踏切番日記

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