森の踏切番日記

ただのグダグダな日記です/2018年4月からはマイクラ日記をつけています/スマホでのんびりしたサバイバル生活をしています/面倒くさいことは基本しません

読書

『青の数学2』の感想~数学よりも女心の方が難しいぞ

2月の読書録03ーーーーーーー 青の数学2 ユークリッド・エクスプローラー 王城夕紀 新潮文庫(2016/11/01) 1702-03★★★ ──────────────────── 数式(まほう)は解け、 僕の青春が始まる。 数学オリンピック出場者との夏合宿を終えた栢山は、自分を見失い始…

夏目漱石生誕150年

2月の読書録01ーーーーーーー 夏目漱石 十川信介 岩波新書(2016/11/18) 1702-01★★★☆ ──────────────────── 写真で見る漱石は、いつも真面目な、多少気難しい顔をしている。 と言っても、彼の不機嫌な顔はその一面であり、友人や教え子たちとは談笑し、彼…

徳川家康は偉大な凡人か?

BOOKーーーーーーーーーーーー 家康 (一)自立篇 (幻冬舎単行本) 作者: 安部龍太郎 出版社/メーカー: 幻冬舎 発売日: 2016/12/21 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (1件) を見る ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 2月5日(日曜日)の朝…

月岡芳年の『新形三十六怪撰』

MY LIBRARYーーーーーーーーー 妖怪 YOKAI 小松和彦監修 角川ソフィア文庫(2015/01/25) 1505-02★★★ ──────────────────── 芳年 Yoshitoshi 国芳門下月岡芳年は江戸の浮世絵の伝統を生きた絵師で、「最後の浮世絵師」とも称された。凄惨な画風の血みどろ絵…

荒ぶる虎のごとき生涯『光圀伝』

MY LIBRARYーーーーーーーーー 光圀伝(上・下) 冲方丁 角川文庫(2015/06/25:2012) ★★★★ ──────────────────── 竹内栖鳳《雄風》(京都市美術館所蔵) 🔘光圀伝・上 「なぜあの男を自らの手で殺めることになったのか」老齢の光圀は、水戸・西山荘の書斎で…

猫も百人一首をする

1月の読書録05ーーーーーーー 百人一首の謎を解く 草野隆 新潮新書(2016/01/20) 1701-05★★★ ──────────────────── 著者は、1957年神奈川県生まれ。上智大学文学部国文学科卒、同大学院文学研究科博士課程後期中退。修士(国文学)。跡見学園女子大学、立…

複雑系のカオス的小説とエッセイ

1月の読書録03ーーーーーーー カオスの紡ぐ夢の中で 金子邦彦 小学館文庫(1998/01/01) 1701-03★★★ ──────────────────── ◾著者の金子邦彦は、1956年、横浜市生まれ。79年、東京大学理学部物理学科卒。84年、東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。東京…

『珈琲店タレーランの事件簿5』の感想~鴛鴦茶は飲んだことがない

1月の読書録02ーーーーーーー 珈琲店タレーランの事件簿5 この鴛鴦茶がおいしくなりますように 岡崎琢磨 宝島社文庫(2016/11/22) 1701-02★★☆ ──────────────────── アオヤマが理想のコーヒーを探し求めるきっかけとなった理想の女性・眞子。11年ぶりに偶…

漱石の孫娘(姉)

12月の読書録04ーーーーーーー 漱石夫妻 愛のかたち 松岡陽子マックレイン 朝日新書(2007/10/30) 1612-04★★★ ──────────────────── 著書は、1924年、東京生まれ。父は作家松岡譲、母は夏目漱石の長女筆子。津田塾専門学校(現津田塾大学)を卒業後、52年に…

後藤又兵衛という漢

12月の読書録03ーーーーーーー 後藤又兵衛 麻倉一矢 学陽書房人物文庫(2013/05/08:1994) 1612-03★★☆ ──────────────────────────── この本は、ブックオフ・オンラインでたまたま見つけた。108円だったので、ついでに買って読んでみた。元々のタイトルは『…

『貴族探偵対女探偵』の感想~かさしのふこのもも

12月の読書録02ーーーーーーー 貴族探偵対女探偵 麻耶雄嵩 集英社文庫(2016/09/25:2013) 1612-02★★★☆ ──────────────────── 本書は2010年に刊行されて、2013年に集英社文庫化された短編集『貴族探偵』に続く貴族探偵シリーズ二作目となる短編集である。 …

『祈りの幕が下りる時』の感想 ~親は子のために何をすべきか

12月の読書録01ーーーーーーー 祈りの幕が下りる時 東野圭吾 講談社文庫(2016/09/15:2013) 1612-01★★★☆ ──────────────────── 本書は、言わずと知れた東野圭吾の「加賀恭一郎」シリーズの十作目にあたる。吉川英治文学賞受賞作である。 明治座に幼馴染み…

『城塞』下巻再読・大坂城炎上

『城塞』再読(17) 司馬遼太郎『城塞』の再読もようやく最終回になりました。 岡山口の戦い ◾岡山口の総帥は、大野主馬であった。兵力は二万余。対する将軍秀忠率いる東軍の兵力は六万、先鋒の加賀前田軍だけでも一万五千の兵力であった。 ▶主馬は、旧真田…

『城塞』下巻再読・真田幸村の最期

『城塞』再読(16) 司馬遼太郎『城塞』下巻を再読しております。いよいよ運命の日がやってまいりました。 目指すは家康の首! ただ一つ! 慶長20年(1615)5月7日 ◾真田幸村の主力は茶臼山の南谷に布陣している。真田軍には大谷刑部吉継の長男吉治もいた。…

春寒み胃がいたむなり京のこひ  ~京における夏目漱石

12月9日は、漱石の命日。なむなむ。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 京における夏目漱石 漱石は、生涯で四度、京都を訪れている。 ◾明治25年(1892:25歳)7月、正岡子規とともに京都、大阪、堺を旅行。 7月8日京都着、麩屋町通り姉小路上ルの柊…

『城塞』下巻再読・道明寺の戦い

『城塞』再読(15) 司馬遼太郎の『城塞』下巻を再読しております。今回は、ついに夏の陣開戦です。 ◼元和元年(1615)4月30日、大坂城軍議 ※すでに惣濠を失った大坂城では、要塞戦の強味を発揮することができない。「人々の口は重かった」(長宗我部盛親談…

子規逝くや十七日の月明に 虚子

『正岡子規 言葉と生きる』 坪内稔典著(岩波新書) を読む・その5 ──────────────────────────── 明治33年12月24日 第五章:仰臥時代 ◾明治34年(1901)1月、「墨汁一滴」を『日本』に連載開始。 ◽6月、病室の前に糸瓜棚が作られる。 ◽9月2日、「仰臥漫録…

鶏頭の十四五本もありぬべし 子規

『正岡子規 言葉と生きる』 坪内稔典著(岩波新書) を読む・その4 ──────────────────────────── 病床で仕事をする子規(明治31年:三宅雪嶺撮影) 第4章:病床時代(続き) ◾明治31年(1898)2月、「歌よみに与ふる書」を『日本』に連載開始。 ◽3月、一…

柿食ヒの俳句好みしと伝ふべし  子規

『正岡子規 言葉と生きる』 坪内稔典著(岩波新書) を読む・その3 ──────────────────────────── 第4章:病床時代 ◾明治29年(1896)1月3日、子規庵で初句会が催され、鴎外、漱石が同席。 ◽2月、左の腰部が腫れ、痛みがひどく歩行困難になる。 ◽3月27日、…

『城塞』下巻再読・樫井の戦闘

『城塞』再読(14) 司馬遼太郎の『城塞』下巻を再読しております。今回は、大河ドラマ『真田丸』に先駆けて、大坂夏の陣前哨戦を振り返ります。 ◾元和元年4月25日、徳川方先鋒を務める藤堂高虎隊と井伊直孝隊が、それぞれ淀と伏見を進発する。対する大坂方…

行く我にとどまる汝に秋二つ 子規

『正岡子規 言葉と生きる』 坪内稔典著(岩波新書) を読む・その2 ──────────────────────────── 明治28年 第三章:記者時代 ◾明治26年(1893)3月、帝国大学文科大学を退学する 。 ◽11月、「芭蕉雑談」を『日本』に連載開始。 ◾明治27年(1894)2月1日、…

山々が近づいている子規忌かな  坪内稔典

6月の読書録からーーーーーーー 正岡子規 言葉と生きる 坪内稔典 岩波新書(2010/12/17) 1606-08★★★☆ ──────────────────────────── 幕末に生まれた子規は明治という時代と共に成長した。彼は俳句・短歌・文章という三つの面で文学上の革新を起こし、後世に…

木瓜咲くや漱石拙を守るべく 漱石

『俳人漱石』坪内稔典(岩波新書)続き Ⅳ:ときめきの俳人・漱石 ◾明治29年(1896)4月から33年(1900)9月まで ※漱石29歳から33歳。熊本の第五高等学校教授時代。29年6月9日、鏡子と結婚。33年9月8日、イギリス留学に出発する。作句数は29年522句、30年288…

愚陀仏は主人の名なり冬籠 漱石

11月の読書録08ーーーーーーー 俳人漱石 坪内稔典 岩波新書(2003/05/20) 1611-08★★★☆ ─────────────────────── 夏目漱石は作家になる前は俳人だった。特に英語の教師として赴任した松山時代から熊本時代にかけて、友人・正岡子規の影響もあって、句作に熱…

『城塞』下巻再読・家康再征

『城塞』再読(13) 司馬遼太郎『城塞』下巻を再読しております。大河ドラマ『真田丸』に先駆けて、今回は、夏の陣に至るまでの過程を振り返ります。 ◾家康は、自分の寿命がいつまでもつのかということで気の焦りもあり、事を急いでいた。冬ノ陣の和睦直後に…

『非線形科学』メモ(3)

カオスとフラクタルと スケールフリー・ネットワーク 第五章:カオスの世界 ◾マクスウェル/アンリ・ポアンカレ/ホモクリニック交叉/保存力学系/散逸力学系/散逸力学系のカオスは軌道が不安定でありながらアトラクターである/乱流/層流/ランダウ/ロ…

『非線形科学』メモ(2)

BZ反応と蛍の木と ミレニアム・ブリッジ Belousov Zhabotinsky reaction by Stephen Morris(source http://pin.it/6ruhmgngicstbx) 第三章:パターン形成 ◾ベルーソフ・ジャボチンスキー反応(BZ反応)➡物質の濃度が時間とともに周期的に変動しながら化…

『非線形科学』メモ(1)

詩仙堂のししおどしと カルマン渦列と ローレンツ・アトラクタ ここでは、『非線形科学』(蔵本由紀著:集英社新書)を読んで、気になった人物や語句をメモしておく。 Shiva Nataraja 第一章:崩壊と創造 ◾パウル・グランスドルフとイリア・プリゴジンによる…

経験世界の非線形科学

11月の読書録07ーーーーーーー 非線形科学 蔵本由紀 集英社新書(2007/09/19) 1611-07★★★★ ──────────────────── 著者の蔵本由紀(よしき)先生は、1940年生まれ。京都大学名誉教授。国際高等研究所副所長。非線形科学の第一人者。専門は、非線形動力学・非…

『城塞』下巻再読・和睦後の幸村

『城塞』再読(12) 司馬遼太郎の『城塞』を再読しております。今回から、ようやく下巻に入ります。 徳川家康にとって冬の陣における講和は、あくまで表向きのことであり、大坂から引き上げるとすぐに大坂方を追い込むべく悪謀をめぐらせているのだが、その…